旧民法の親権とは? わかりやすく解説

旧民法の親権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 17:08 UTC 版)

親権」の記事における「旧民法の親権」の解説

親権戸主権はまった異な別ののであるが、旧民法はこの点において戸主権家族制度)と親権個人制度)とが過渡期的に混在するものとされた。 親権直接抛棄許されない。ただし親権者である母が財産の管理辞することはできる。また他の行為間接的な効果として親権抛棄したのと同じ結果生じることはある。 親権者は、子と家を同じくする父であり、父が知れないとき、死亡したとき、家を去ったときまたは親権を行うことができないときは家にある母である(旧民法877条)。親権を行うことができないときとは親権喪失宣告受けた場合禁治産者であるとき(この場合判例認めるが、疑いもあるとされた)である。おなじひとつの家のなかで、養父母実父母先立ち実父母継父母嫡母先立つ親権を行う者が無い場合には後見人置かれる継父母嫡母後見人同様の制限監督を受ける(878条)。親権服するのは未成年の子および独立生計立てていない成年の子である(8771項)。独立生計立てていない成年の子はただ懲戒権のみに服するだけである。 親権の内容は、 子の身上に関する権利義務未成年の子監護教育権利義務 - たとえば、監護教育の方法実施するために他人に対して子の引き渡し請求することができる。(これは監護教育費用の負担義務とは別ののである。) 居所指定権 - 戸主居所指定権親権者居所指定権衝突するときは、親権者居所指定権優先する夫婦いずれも未成年でありその親権者がある場合親権者夫婦同居関係を害するような居所指定できない未成年の子兵役出願許可する権利旧民法881条) 未成年の子営業をなすことを許可する権利 - ひとたび許可与えた後であってもこれを取り消し制限をすることができる(6条、883条) 必要な範囲で自ら子を懲戒し、また裁判所許可得てこれを懲戒場に入れ権利882条、非訟事件手続法92条) 子の財産に関する権利義務未成年の子財産管理し収用する権利 - 親権者自己のためにするのと同一注意をもって(889条)管理しなければならない。子が成年達したときは父または母は遅滞なくその管理計算をしなければならない(890条)。この場合その子教育および財産の管理費用その子財産収益相殺したものとみなす(890条)。親権者または財産管理者の財産管理終了場合は妻の財産管理場合同様に委任終了規定準用される(893条)。財産の管理について生じた債権管理権消滅のときから5年間行なわないとき時効によって消滅する(894条)。 財産関す法律行為について未成年者代理する権利 - 財産上の行為であってもその子行為目的とする債務生ずべき場合本人同意要する(884条)。未成年者財産上の行為親権者が代わってなし得るのであり、未成年者意思能力があり自らその行為をする場合親権者同意なければ完全な効力生じない親権者が母である場合親族会同意を得ることを要する(886条)。親権を行う父または母とその未成年の子とで利益相反する行為については父または母はその子のために特別代理人選任することを親族会請求することを要し、父または母が数人の子に対して親権を行う場合その1人と他の子利益相反する行為についてはその一方のため特別代理人選任要する888条)。 戸主権および親権代行 - 戸主未成年であり、または未成年者に子がある場合はその親権者がこれに代わって戸主権または親権を行う(895条) 親権消滅するのは、親権者または子が死亡したとき、親権者と子とが家を同じくないようになったとき、成年の子独立生計立てようになったとき、独立生計立て未成年の子成年達したとき、親権者親権を行うことができないよになったときである。親権喪失には一部喪失(897条)と全部喪失896条。人事訴訟手続法31条。旧戸籍法107条)とがある。親権者親権親権喪失宣告によって消滅する。父または母が親権濫用しまたは著しく不行跡場合には、裁判所は子の親族または検事請求によって親権喪失宣告をおこなうことができる。この宣告によって親権者親権喪失する親権喪失宣告は、継父母継子虐待する、あるいは親権者である母が子の教育監護不適当認められるていどに素行修まらないような場合なされることが多かった。 母が亡父遺子教育する必要から他の男性の妾となったことが著し不行跡として親権喪失原因となるか否か問題となったことがある。この問題について大審院具体的な事実によって判断するかないと解釈した

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