日本の交流形電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 06:22 UTC 版)
主に新幹線全線(50/60Hz)、北海道、東北地方(50Hz)、九州島内(60Hz)のJR在来線で使用されている。各路線の実情に合わせ、50Hz専用形、60Hz専用形、50/60Hz両周波数対応の車両がある。 国鉄時代末期まで、在来線では直流電化区間との乗り入れが不可能だった北海道を除けば、量産された営業用の交流専用電車は存在せず、交直流電車がもっぱら使用されていた。なにより、国鉄時代に交流電化と同時に地域輸送用の車両(近郊形)が投入された事例が極めてわずかで、そのなかで常磐線と九州北部は直流区間への直通を考慮した交直両用車(401/421系)であり、純然たる交流電車では711系と特急用である781系があった。これ以外の地域はもちろん、これら電車が投入された地域でも、郵便荷物輸送の問題から客車列車の牽引を交流電気機関車に置き換えただけの列車が残った。 なお、長崎本線・佐世保線客車列車置き換えを名目として九州向けに製作した713系電車も小規模ながら存在する。 もっとも、サイリスタ位相制御の実用化以前の変圧器タップ制御では、タップのアークによる破壊や、カーボンの付着による絶縁低下などの欠点があり、交流専用車にすることのメリットも薄かったが、東海道新幹線では、電車の床下に収まる寸法の電動機と、架線電圧の上限が低い直流との組み合わせでは、時速200km/hの壁を超えることは難しいとの判断から、上記のデメリットを承知の上で交流電化の採用に踏み切った。 その後も北海道以外の在来線で交流電車が普及しなかった理由は、直流区間への直通優等列車が多かったことや、PCB問題で変圧器の製造が見合わされたことなどもあるが、主因は全国的な配置転換を考慮したものであった。分割民営化後は、全国規模の配置転換がなくなり、JR各社はそれぞれの地域に合った車両を製造するようになり、交流電化区間では多くの場合、交流専用の電車を導入するようになっている。 特別高圧を扱うことから、交直流電車のように、屋根上のパンタグラフとその配線を支持する碍子を大きくして、車体との間の絶縁離隔を大きくしている。その他にも、遮断器(異常時以外は使用しない)、交流避雷器、メインヒューズ、計器用変圧器(交流電圧が加圧されているのを検知する交流電圧継電器を作動させる変圧器)を搭載する。異相区分セクション通過時に室内灯が消えないよう配慮されている。 電化方式との直接の関連はないが、在来線交流電化区間を走行する電車の出入口にはステップ(段差)のついている車両が多い。これは交流電化されている多くの路線においてプラットホームの高さが客車を対象とした列車用となっていることに起因する。国鉄分割民営化以降、客車列車の廃止とホームのかさ上げが進んだことから、ステップを埋めた車両が充当され始めたほか、ホームに合わせて車両の床面を下げる形でステップを廃した車両も増えている。 以下、交流電車の一覧を挙げる。括弧内は対応している周波数である。
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