日本における警戒情報の告知
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 00:04 UTC 版)
日本では、洪水に警戒を呼びかける情報として、基本的に気象庁が市町村ごとに出す気象警報・注意報と、気象庁と国土交通省または各都道府県が共同して各河川ごとに出す洪水予報の2種類が存在する。洪水予報は、国土交通省の管轄する一級河川が国土交通大臣との共同、それ以外の河川が都道府県との共同発表となっている。 なお、河川から堤防を越えて襲う氾濫の恐れを示すのが「洪水警報」や「洪水注意報」、堤防の外である市街地内などの増水・浸水の恐れを示すのが括弧書きの「大雨警報(浸水害)」や「大雨注意報(浸水害)」である。 2017年から、大雨警報・注意報(浸水害)の基準は雨量および表面雨量指数、洪水警報の基準は雨量および流域雨量指数を(一部で表面雨量指数も)併用している。指数は、雨水の地表での蓄積や川への流出を、地形の起伏や土地利用による差異を考慮して算出した数値。ダム制御、潮位、河川の合流、排水ポンプなどインフラの整備の影響はモデルに組み込まれていないが、過去の水害発生時の値を20年間以上精査したうえで設定していることから、気象庁は"一定程度反映できる"としている。なお、降雪・融雪の影響は正しく反映できない場合があるという。 洪水予報では、警戒事項とともに各河川の水位や流域の雨量の観測値と予測値、浸水の想定区域などを発表する。対象(洪水予報河川)はすべての一級河川および流域面積・洪水時の被害が大きな主要河川。それ以外の主要河川でも、水位を観測している河川(水位周知河川)では「水位到達情報」により避難判断水位などに達したことを通知する。これら水位や雨量などのリアルタイム情報は、国土交通省の「川の防災情報」などのウェブサイトで逐次公開されている。また気象庁のウェブサイトでは、流域雨量指数・表面雨量指数の経過・予測を洪水警報や大雨警報(浸水害)の「危険度分布」として公開しており、これは水位観測が行われていない一部の中小河川も対象となっている。 また、市町村長から住民に対して、避難を促すため状況に応じて「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示」が発令されることもある。 気象庁・市町村が発表・発令する洪水の危険性や避難の情報警戒レベル 避難などの行動を促す情報とるべき行動自ら行動をとる際の判断に 参考となる情報 レベル5市町村が(可能な範囲で)発令する 「災害発生情報」 すでに災害が発生している。命を守る最善の行動をとるべき。 氾濫発生情報 ( 大雨特別警報(浸水害)) レベル4市町村が発令する「避難勧告」もしくはより重い「避難指示(緊急)」 災害発生の恐れが極めて高い。速やかに避難先(公的な避難場所、あるいは安全なところ)へ避難するべき。 氾濫危険情報 洪水警報の危険度分布が 「非常に危険」または、それを超える 「極めて危険」 レベル3市町村が発令する 「避難準備・高齢者避難開始」 避難に時間を要する人(高齢者、障害者、乳幼児など)と支援者は避難を始める。その他の人は避難の準備を整え、状況に応じ自発的に避難を始める。 洪水警報 氾濫警戒情報 洪水警報の危険度分布が 「警戒」 レベル2気象庁が発表する 「洪水注意報」「大雨注意報」 ハザードマップで避難経路・避難先を確かめるなど、避難行動を確認する。 氾濫注意情報 洪水警報の危険度分布が 「注意」 レベル1気象庁が発表する 「早期注意情報」(警報級の可能性) 災害への心構えを高める。 ― ―気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」、内閣府「避難勧告等に関するガイドラインの改定(平成31年3月29日)」より2019年6月26日時点で一部複製、改変の上作成
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