日本における植生と雑草化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 02:40 UTC 版)
「ナガミヒナゲシ」の記事における「日本における植生と雑草化」の解説
日本では帰化植物として自生している。輸入穀物などに紛れて渡来したと推測され、1961年に東京都世田谷区で初めて確認された。以後、群馬県、福岡県などにも分布が広がり、2000年以降には全国へ爆発的に拡散した。2007年には青森県、沖縄県を除く日本全国で繁殖が確認されている。発生場所は初期には幹線道路沿いに限られていたが、2011年には農地への繁殖も認められる。2016年以降、埼玉県・千葉県・神奈川県・京都府・東京都・栃木県・茨城県・新潟県・群馬県などに位置する複数の自治体では住民に対し、「特定外来生物や生態系被害防止外来種(要注意外来生物)には指定されていないものの、これらと同様に生態系に大きな影響を与える外来植物」としてナガミヒナゲシの危険性を周知するとともに、駆除の協力を呼びかけるに至っている。 一方で周知が十分に行き届いていない面も見られ、個人レベルでは雑草駆除をこまめに行っているような人物であっても、本種は「花がきれいであるから」とし、駆除せずに残してしまうケースも多く、こうした背景も繁殖を手助けしている要因となってしまっている。 都市部に多くの繁殖が確認され、路傍や植え込みなどに大繁殖しているのがよく見られる。また、コンクリートの隙間からも生育が確認される。これらを基としてかアルカリ性土壌を好むという記述も見られるが、国立環境研究所ではナガミヒナゲシは土壌の種類は選ばず、温暖で日当たりの良い乾いた肥沃地を好むとしている。農業環境技術研究所の藤井義晴は道路沿いにできた種子が雨で濡れた車のタイヤに付着することによって運ばれることにより、分布を拡大していると推測している。日本では年度変わり以降の5月ごろに役所や企業の予算が付いて、路肩や中央分離帯、空き地などの除草作業が行われるが、この頃にはすでにほとんどの株が結実を終え枯死しているためなかなか減らない。むしろ除草機の振動により種子を周囲に撒き散らすなどするので、除草の意図とは逆に翌春になると前年より増えていることの方が多い。ナガミヒナゲシの蔓延を防ぐには花が咲く前のロゼット状態の時期に駆除することが肝要である。 1つの芥子坊主から1000 - 2000の種子(ケシ粒)をばら撒いてしまうため、爆発的な繁殖力を示す場合があり、地場のほかの草花を駆逐してしまう可能性がある。そのため、園芸花として楽しむには花が終わり次第、摘み取る(摘花)などの種子拡散を防ぐ注意が必要である。 実生 蕾。開花時には上を向き2枚の萼(がく)は落ちる。 ナガミヒナゲシの花 花が散った後の果実。この中に種子が入っている。 種子とそこに寄生するタマバエ科の幼虫 雑草化した路上のナガミヒナゲシ - 日本
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