新たな実況スタイルの研究と提唱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 03:45 UTC 版)
「楠淳生」の記事における「新たな実況スタイルの研究と提唱」の解説
「野球知識の師」と仰いでいる同郷(和歌山県出身)のノンフィクション作家・佐山和夫や、日本屈指のメジャーリーグ(MLB)通であった伊東一雄からの勧めで、1994年に朝日放送の在外研修(インターンシップ)制度でMLBのシアトル・マリナーズへ派遣された。派遣期間がMLB選手会のストライキによる公式戦の中断期間と重なったため、1シーズン(半年間)の予定だった研修が4ヶ月間に短縮されたものの、8月11日のマリナーズ対オークランド・アスレチックス戦(セーフコ・フィールド)で1イニング限定ながら英語で実況。研修期間の終了後も、他のプロスポーツ(バスケットボールやアメリカンフットボールなど)の現場取材や、ローカルテレビ局への勤務を経験した。帰国後のスポーツ実況でも、このような経験を背景に、現地で定着しているスポーツ用語や表現を交えることがある。 さらに、大阪経済大学大学院での研究活動を通じて、野球中継の実況で最低限伝えるべき要素を「状況設定コメント」「予測実況」「素描」「累積実況」に分類。その後に発表した学術論文や著書では、「『状況設定コメント』と(鋭い反射神経を求められる)『素描』の維持・上達・更新を絶えず心掛ける」という姿勢を持つことを前提に、「プレーや局面に応じて『予測実況』や『累積実況』をはさみ込む」という実況スタイルを提唱している。2017年2月3日には、大学院在学中の指導教官だった中村健二(大阪経済大学准教授)との共著書『野球と実況中継』を、自身2冊目の著書として彩流社から刊行した。 「予測実況」については、北川が代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打を放った際の自身の実況(前述)を、「実況アナウンサーと中継ディレクターによる『実況と映像のコラボレーション』がうまく行った例」として提示。「北川が打席へ入った直後に、大阪東通(当時)のディレクターとしてテレビ中継車に乗っていた福家雅明(元・阪神および近鉄投手)の指示で、一塁 → 二塁 → 三塁のズームアップ映像が次々と(実況席のモニター画面に)映し出された。その映像ですべての塁上に走者がいる光景を見た瞬間に、『満塁本塁打が出たら(近鉄から見て)3点ビハインドの展開がひっくり返る』という予測が『降りてきた(頭に浮かんだ)』ので、意を決して(中村がナインを鼓舞する目的でよく口にしていた)『今年の近鉄、何かが起こる』という言葉を連呼した」と述べている。 以上の実況スタイルについては、かつてフジテレビのスポーツアナウンサーだった結城思聞(本名・松倉悦郎、現在は兵庫県姫路市の不動山善教寺住職)のように、「試合を見たいので個人の技術論や薀蓄は不要」「独りよがり」などの表現で批判的な見解を披露する者もいる[出典無効][信頼性要検証]。
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