戦場における地雷原の突破
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 05:31 UTC 版)
戦場において地雷原を突破する際には、以下のような方法が取られる。 地雷処理用の専用機材を用いる もっとも望ましい方法であり、前述の地雷処理戦車や地雷処理用の機材(地雷原処理用のロケット弾発射機など)を使用する。以前は、戦車の前方方向に伸びた機材で対戦車地雷を捜索し爆破するスネークが使用されたこともある。 また、地雷の探知に第二次世界大戦から使用され始めた金属探知機を用いる方法もあるが、これは地雷本体の材料に木材やガラス、プラスチックなどの非金属性素材を用いた非金属性地雷に対しては効果を発揮できない。 地雷原に銃砲撃を加える 砲兵部隊の支援が受けられるならば、地雷原に砲弾を撃ち込み地雷を誘爆させるという方法もある。これは、砲兵でなくとも、進撃する戦車自身が搭載砲で道路を射撃することでも可能である。また、露出している地雷に対しては遠距離から対物ライフルなどで銃撃を加えることで安全に処理する。現在は大型の狙撃銃として知名度の高い、バレットM82がスウェーデン軍に採用されたのは、元々爆発物処理用途としてであった。その他にも、エル・アラメインの戦いで、悪魔の園と言われた二重三重に埋めてあるドイツ軍の対戦車地雷を、イギリス軍が砲撃を加えて爆破処理した例もある。 兵士が手持ち装備を用いて地雷を処理する 上記のような方法が取れないとき、兵士がスコップやナイフ、棒などを用いて地中を探り、地雷を除去する。地雷は一定以上の圧力が加わらないと爆発しないので、ナイフなどで軽くつつく程度では安全である。工兵であれば、地雷探知機のような専用の機材も用いる。地雷の除去が時間や技術の制約で難しい場合には、単にマーキングだけに留めることもある。 ただし、地雷の中には除去する人物をも対象にしたものがあるので注意が必要である。例えば、信管が複数存在する地雷や、ある一定の角度以上に傾けると爆発する地雷がある。また、そんな機能を備えていなくとも地雷を二重に設置し、下の地雷の信管を上の地雷に結ぶ・箱型地雷のフタの下やクレイモア地雷の足に手榴弾を仕掛けるなど、除去しようとした人間が地雷を持ち上げれば仕掛けが爆発する、無力化しようとする人間を標的とした一種のブービートラップも存在する(処理防止装置)。 地雷を表土ごと押しのける 工兵ブルドーザーや、車体前部にドーザーブレードを取り付けた戦車を進ませて、地雷が埋設されているであろう表土を押しのけてしまう。短時間で進路を啓開するための手法であり、起爆せず排土の中に残った地雷を別途無力化する必要がある。 非人道的な方法を用いる 上記のような「正攻法」ではなく、敵の捕虜や一般市民、懲罰部隊に送られた自軍将兵を背後から銃で脅し、味方の先頭を歩かせるという方法がある。第二次世界大戦の東部戦線では、独ソ両軍で見られた光景である。また、人間ではなく動物を使う方法もあるが、あらぬ方向に走っていく、人間よりも足裏の面積が小さ過ぎるなど成功しないことが多い。ただし、これらの方法では、重量の関係で対戦車地雷に対する効果は薄い。 無視する 悠長に地雷を処理する時間のない緊急時においては「踏んだら不運と諦めろ」というように地雷の存在を無視して行動することもある。人的な損害が軽視される、あるいは受容できうる状況下にあっては、「十個の地雷があっても、十一人の兵士がいれば必ず突破できる」という考え方がなされる場合もある。これは、ノルマンディー上陸作戦のオマハF地区での戦闘に例が見られる。
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