情動を巡る論争とは? わかりやすく解説

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情動を巡る論争

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/14 06:05 UTC 版)

情動」の記事における「情動を巡る論争」の解説

情動原因を何とするかについては、学問において議論交わされてきた歴史がある。 情動原因を巡る主張相違に関して有名な歴史論争として、ジェームズ・ランゲJames-Lange(1890年)、キャノン・バードCannon-Bard(1927年)、シャクター・シンガーSchachter-Singer(1964年)らの論争がある。「感情生理要素認知からくる」とするジェームズ・ランゲ説英語版)と, 「脳神経からくる」とするキャノン・バート説(英語版)と、「周囲の環境で人は自分感情ですら勘違いしてしまう」とするシャクター・シンガー理論情動の二要因説(英語版))がある。この三説間の論争である。 脳が原因であるか、ホルモン免疫系などの生体物質原因であるのか、何らかの外的要因誘発)や内的要因創発)を原因とした身体反応であるのかは、全ての生理信号(脳、生体分泌物質、ホルモン身体反応など)をリアルタイム同時計測する方法以外では検証実証難しい。感情起源については、現在でも科学では明確な答え出ていない。情動感情基本問題ともされている。 ジェームズ・ランゲ説身体変化認知情動生むという説。ウィリアム・ジェームズとカール・ランゲ(デンマーク語版、英語版)による。情動は(1)外部刺戟→(2)身体反応(3)身体反応意識化の順に生じる。身体反応状況認知直接結果であり,主観情動体験付属物ではない。情動身体反応(の認知)の影響を受ける。アルコールを飲むと気分が変わる、女性犯罪62%は月経直前1週間起こり月経直後2%しか起こらないことを根拠にする。 キャノン・バート説:中枢起源説視床情動反応調整する中枢であると生理学者ウォルター・B・キャノン提唱、フィリップ・バード(スペイン語版)が動物実験実証した情動は(1)知覚→(2)視床興奮(3)情動反応末梢)と情動体験皮質)の順に起こる。 キャノンバード実験キャノン情動生理学先駆研究最初に行った大脳皮質除去されは"偽の怒り"(sham rage)と呼ばれる攻撃伴わない 威嚇表出見せる。このことを踏まえ猫の皮質、視床視床下部除去する実験行った皮質視床視床下部前部除去しても偽の怒り見られる。しかし、視床下部全て除去されるとこの行動見られなくなる。現在では、情動には視床下部大脳辺縁系網様体大脳新皮質などが関与していると考えられている。 また、キャノンバード以外にも,M.D.エガーとJ.P.フリンによる攻撃実験1963年)、ジェームズ・オールズ(英語版)とピーター・ミルナー(英語版)によるネズミ報酬実験1954年)などがある。 シャクター・シンガー理論 : 情動身体反応とその原因認知両方不可欠情動の二要因説)とする。社会心理学者スタンレー・シャクターとジェローム・シンガー(英語版)によって提唱された。大学生興奮剤としてアドレナリンを投与して実験した実験の結果身体反応が同じでも、状況によって喜び怒り異なることを確認した感情は(ランゲ主張する身体反応知覚そのものではなく身体反応原因説明するためにつけた認知解釈ラベルであるとする。 実験の詳細6つ被験者グループ作り実験行った身体与え影響心拍上昇など)について、「1. 正しく教示された」「2. 偽の影響教示された」「3. 影響について教示されない」の3つの教示グループ作りそれぞれアドレナリンと生理食塩水注射したグループ作った注射後、「サクラ」のいる部屋被験者入れられた。この「サクラ」は,怒りを誘う「サクラ」と、喜びを誘う「サクラ」である。部屋出た被験者主体)に感情聞き身体反応が同じでも、状況によって感情が違うことを突き止めた

※この「情動を巡る論争」の解説は、「情動」の解説の一部です。
「情動を巡る論争」を含む「情動」の記事については、「情動」の概要を参照ください。

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