情動の学習
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 22:21 UTC 版)
ヒトを含む高等脊椎動物において、扁桃体は情動的な出来事に関連付けられる記憶の形成と貯蔵における主要な役割を担う。恐怖条件づけの際、感覚情報は扁桃体の基底外側複合体、特に外側核へと送られ、そこで刺激の記憶と関連付けられる。刺激と予測される嫌悪的な出来事との連合は、持続的な興奮性シナプス後電位によりシナプス応答性を上げる長期増強を介して行われる。 外側核のシナプス応答に刷り込まれている情動的経験の記憶が、扁桃体の中心核との接続を介して恐怖行動を引き起こす。中心核は、硬直 (freezing) や呼吸と脈拍の増加、ストレスホルモンの放出などの多くの恐怖行動の産生に関係している。扁桃体の損傷は情動的応答の古典的条件づけの一種である恐怖条件づけの、獲得と発現の両方に障害を起こす。 扁桃体は正の条件づけにも関連している。直観的には正の刺激と負の刺激には、異なる神経細胞が応答しているように考えられる。しかし実際には、このような異なる神経細胞の集団が明確な解剖学的核を形成しているわけではない。扁桃体の異なる核は正の条件づけにおいて異なる機能を担っている。 2012年のアメリカの不安障害協会の年次会議では、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬の使用は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対し視床下部-下垂体-副腎系(HPA)軸を抑制するためストレス症状を増大させ、また、恐怖反応はGABA作動性の扁桃体機能を介して消失されるが、このような学習や記憶を無効にするため暴露療法の結果を否定的にすることが報告された。
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