情動的共感と認知的共感
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/03 00:29 UTC 版)
共感のしやすさ(共感力)を客観的に測定するテストとして、対人性反応性指標(interpersonal reactivity index,IRI)が広く用いられている。IRIでは、他者の幸不幸に共感する気持ちを評価する「共感的配慮」、他者の立場に立って物事を自然に考えることができるかどうかを評価する「視点取得」、フィクションの人物に感情移入する傾向を評価する「空想」、他者の不幸な境遇を我が身に置き換えて恐怖を感じる傾向を評価する「個人的苦悩」の4つの尺度で共感力を測定する。 共感は、他者の感じていることを自分の感覚として感じる感情的側面と、相手の立場から見えるであろう状況を推測して分析する認知的側面によって成り立っている。上記の4つの尺度のうち、視点取得のみが認知的共感に分類されており、他の3つは感情的共感に分類されている。また、共感力は他者の表情や声色といった社会的信号の感受性にも左右される。 感情的共感の感情的ミラーリングメカニズムとは異なり、認知的共感は脳内のメンタライゼーションネットワークを活性化する。感情的な共感は交渉で裏目に出る可能性がある。ほとんどの場合、代わりに認知的共感を使用する方がはるかに効果的である。 マーチン・ホフマンによれば、幼児期における共感の発達段階として、自己を投影して相手も同じことを感じているであろうとする段階(いわば自己中心的な共感であり、ヒトや場合によって状況が異なる可能性を考えない)を経て、やがて自分の境遇とは異なる相手の様子を推し量る段階に達するとしている[要出典]。
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