情動における役割 (辺縁系との関係)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/13 22:53 UTC 版)
「島皮質」の記事における「情動における役割 (辺縁系との関係)」の解説
島皮質、特にその前端部は辺縁系との関連がある皮質だと考えられている。島皮質は、その身体表象と主観的な感情の体験における役割に注目が集まっている。特に、アントニオ・ダマシオ (Antonio Damasio) は、この領域が、意識的な感情を生み出す情動の体験に関連する、直感的な状態をマップする役割を持つとした。この研究は、主観的な感情の体験 (つまり気分) は、脳が感情的な出来事によって起きる身体の状態変化を解釈することによって生じるとするウィリアム・ジェームズ (William James) の考えの神経科学的な定式化であるといえる。このことは身体化的認知 (embodied cognition) が生じた例である。 機能的に言えば、島皮質は収束した情報を処理することで、感覚的な体験のための情動に関連した文脈情報を生み出す。より具体的に言えば、島皮質前部は嗅覚、味覚、内臓自律系、及び辺縁系の機能により強く関わり、島皮質後部は聴覚、体性感覚、骨格運動とより強く関わっている。機能的核磁気共鳴画像法 (fMRI) による研究によって、島皮質は痛みの体験や喜怒哀楽や不快感、恐怖などの基礎的な感情の体験に重要な役割を持つことが示された。 脳機能イメージングによって島皮質と、食べ物や薬物に対する渇望などの意識的な欲望との関連が示唆されている。これらの感情に共通することとして、これらが身体の状態を変化させる点と、高い主観的特性と関連付けられる点がある。島皮質は身体状態に関連する情報を、高次認知と情動の処理に統合する役割を持つと位置付けられる。島皮質は視床を介して恒常性に関する求心性の経路から入力を受け、扁桃体や線条体腹側部や、前頭眼窩野などの、他の多くの辺縁系に関連した領域に出力する。 核磁気共鳴画像法 (MRI) による研究において、瞑想する人は右の島皮質後部が有意に厚いことが示されている。
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