恩返し
『ギリシア奇談集』(アイリアノス)巻13-46 少年が小蛇を買い、丹精こめて育て、ともに遊び一緒に寝たりもした。やがて巨大な大蛇に成長したので、町の人がそれを荒野に放した。少年は成長後、ある時山賊に教われたが、大蛇が現れて山賊たちを殺し、追い散らして、彼を救った。
『今昔物語集』巻16-15 男が、捕らわれた小蛇を買い取って池に放す。小蛇は12~13歳の美女に変じて礼を述べ、男を池へ導き龍宮へ連れて行く。60歳ほどの父龍王が男をもてなし、厚さ3寸ばかりの金の餅を半分に割って土産に与える→〔無尽蔵〕1a。
『西遊記』百回本第9回 江州長官として赴任途中の陳光蕋(ちんこうずい)が、病母に食べさせるため金色の鯉を買う。しかし鯉がまばたきをするので、「ただものではない」と思い洪江に放生する。その後、陳光蕋は悪人に殺されて水中に投げ込まれるが、金色の鯉は実は龍宮の王であり、かつて救われた恩返しに、陳光蕋を蘇生させる〔*陳光蕋の息子が玄奘三蔵である〕。
『十訓抄』第1-6 戦に敗れ岩屋に隠れた余五太夫が、蜘蛛の巣にかかった蜂を助けた。その返礼に2~3百の蜂が余五太夫に味方して、敵軍の兵にとりついて刺し苦しめた。
『捜神記』巻20-1(通巻449話) 背中にできもののある龍が老人に姿を変え、隠者孫登に治療を請い、治ったら礼をすると言う。孫登が治療してやると、折からの日照りに大雨が降り、大石が割れて、水をいっぱいにたたえた井戸が現れた。
『日本霊異記』中-12 8匹の蟹を焼き食おうとしていた童に女が着物を与え、蟹を買い取って放生する。蛙を呑もうとする蛇には、汝の妻になろうと約束して蛙を解放させる。7日後、蛇がやって来るが、8匹の蟹が蛇を殺し女に恩返しする〔*同・中-8に類話〕。
『日本霊異記』中-16 讃岐の富者綾君の召使いが、釣人から牡蠣10個を米5斗で買い取って、放生する。後、召使いは松から落ちて死ぬが、冥界で法師5人・優婆塞5人(=牡蠣10個の化身)に救われ、蘇生した〔*『今昔物語集』巻20-17に類話〕。
*狼の恩返し→〔狼〕4aの『聊斎志異』巻12-459「毛大福」。
*鼠の恩返し→〔鼠〕5に記事。
『愛と誠』(梶原一騎/ながやす巧) 太賀(たいが)誠は、幼い日の早乙女愛の命を救ってくれた恩人だった。しかし、その折に誠は額に深い傷を負い、それが彼の運命を大きく狂わせた(*→〔破傷風〕3)。8年後に愛が誠と再会した時、誠は名うての不良番長になっていた。愛は一生をかけて、誠に償いをしようと決心する。愛は、政財界に顔がきく父親に頼み込んで、誠の少年刑務所送りを阻止し、自らが通う名門青葉台学園の高等部に誠を迎え入れる→〔転校生〕3。
品詞の分類
名詞およびサ変動詞(返戻) | 半済 返却 恩返し 返還 返弁 |
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