恒星の分光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 10:37 UTC 版)
表面温度による色と型の違い型温度(ケルビン)代表的な恒星O 33,000 K or 以上 とも座ζ星 B 10,500–30,000 K オリオン座γ星 A 7,500–10,000 K シリウス F 6,000–7,200 K プロキオン G 5,500–6,000 K 太陽、カペラ K 4,000–5,250 K アークトゥルス M 2,600–3,850 K ベテルギウス、ミラ 恒星の光を分光器にかけ、そのスペクトルを観察すると、暗い筋であるフラウンホーファー線が見られる。この線が現れる位置は恒星の表面温度を反映しており、19世紀末から20世紀にかけてハーバード大学天文台が高温のO型から低温のM型までの7種類の分類を施した。 O型:電離したヘリウム、高階電離状態の炭素・窒素・酸素などの線が現れる。 B型:強い中性ヘリウムや水素の吸収線が現れる。 A型:強い水素の吸収線と、金属吸収線が現れる。 F型:弱い水素の吸収線と、強い電離カルシウムのH・K線が現れる。 G型:F型よりも水素の吸収線が弱く、H・K線はより強い K型:多くの金属吸収線が現れる。 M型:K型に、酸化チタン(TiO)の吸収帯が際立つ。 現在は、この7種それぞれをさらに9段階のサブクラスに分け、合計63段階で表示される。 1940年代に、同じスペクトルに現れる線の太さや強さが着目され、これが恒星の絶対等級と関係することが明らかになった。たとえばBやA型の恒星では、絶対等級の明るい星ほど水素のパルマー線の幅が狭く、絶対等級効果と呼ばれる。これを元に光度階級という指標が導入され、ローマ数字のIからVまでの5段階で表す。 I型:もっとも直径が大きい恒星(超巨星) II型:次に直径が大きい恒星(輝巨星) III型:直径が大きい恒星(巨星) IV型:巨星と矮星の間に当たる恒星(準巨星) V型:矮星(主系列星) 上記2種類の分類を組み合わせる表示法はMK2次元分類と呼ばれる。たとえば太陽はG2V、ベガはA0V、はくちょう座のデネブはA2Iである。「スペクトル分類」も合わせて参照のこと。 スペクトルを分析すると、特定の元素が示すフラウンホーファー線は実験室で観察する線とずれが見られる場合がある。これは、恒星の固有運動によって距離が変化するために生じるドップラー効果が影響する。ここから逆に、恒星がどのような運動をしているかを分析することができる。また、恒星が含む元素構成比を測定することも可能であり、恒星の進化状況を判断する材料も与える。
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