恒星の中心核
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/13 03:24 UTC 版)
恒星の質量が小さい場合、中心核の温度に対して密度が高くなるため、プラズマ中の電子がフェルミ縮退を起こす。フェルミ縮退すると温度の割にエネルギーの高い電子が多くなるので、圧力が高くなる。このようにして生じる余分な圧力を縮退圧という。通常のプラズマの圧力は密度と温度に依存するが、縮退圧は密度だけに依存し、温度には依存しない。 フェルミ縮退していない場合には、核融合の加速によって温度が上昇すると、圧力を一定に保つために密度が減少する。つまりガスの膨張が起きるので、その仕事に発生した熱が使われて温度が下がり、もとの温度に戻る。しかしフェルミ縮退した中心核では、核融合の加速によって温度が上昇しても圧力が変化しないので、密度はそのままである。そのため、温度が上昇し、核融合反応はさらに加速されて暴走する。この暴走は、フェルミ縮退が解ける温度に上昇するまで続く。 太陽程度の質量の恒星では、ヘリウム燃焼過程が開始するときに、中心核がフェルミ縮退しているために、この現象が起こる。これをヘリウムフラッシュという。なお、ヘリウムフラッシュには、フェルミ縮退とは関係ない機構で起こる場合もある。 また、太陽の7 - 8倍程度の恒星では、炭素燃焼過程が開始するときにこの現象が起き、フェルミ縮退が解ける温度まで上昇する前に星全体が吹き飛ばされてしまう。これは超新星爆発の一種であり、炭素爆燃型超新星という。
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