建築におけるカンチレバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 21:11 UTC 版)
「カンチレバー」の記事における「建築におけるカンチレバー」の解説
カンチレバー構造を生かした建築物としては、フランク・ロイド・ライト設計の、滝の上に張り出すように建つカウフマン邸(落水荘)などが広く知られる。他にもバルコニーや庇にはカンチレバーが多く使われる。リーズのエランドロードスタジアムのイーストスタンドは、完成した時点で、17,000人の観客を収容する世界最大のカンチレバースタンドであった。 オールド・トラッフォードのスタンドの上に建てられた屋根は片持梁を使用しているため、支柱がフィールドの景色を遮らない。老朽で近年取り壊されたマイアミスタジアムは、観客席の上に同じような屋根があった。ヨーロッパ最大の片持ち屋根はニューカッスル・ユナイテッドFCのホームスタジアム、 ニューカッスル・アポン・タインのセントジェームズパークにある 。 構造的な特性が異なる二つの部分をまたぐ部材(例えば渡り廊下や二つの建物の間にかかる屋根など)では、中間部で構造的に切断したカンチレバーとすることで、建物同士の間で応力が伝わらないようにする場合もある。この場合、接続部はエキスパンションジョイントで外気や雨水を遮断することもある。これは、地震などの際にそれぞれの建物からの力が集中して破壊されるおそれがあるためである。 鉄筋コンクリート構造の建物などでは、コンクリートのクリープなどにより次第に垂れてくることがある。中にはバルコニーが脱落した事例もあり、構造強度のみならず、適切な防水によって構造体内への雨水の浸入を防ぐなど、慎重な設計と施工が要求される。 特にカンチレバー橋やバルコニーに広く見られ(持ち送りを参照)る。カンチレバーブリッジでは、カンチレバーは通常対として作られるが、各カンチレバーは中央部の一端を支えるために使われている。スコットランドのフォース橋は片持ちトラス橋の一例である。伝統的な木造骨組みの建物の片持ち梁は桟橋またはforebayと呼ばれ、アメリカ合衆国南部の歴史的な納屋のタイプは丸太建設の片持ち梁の納屋である。部分的に構築された構造は片持ち梁を作り出すが、完成した構造は片持ち梁としては機能しない。一時的な支柱や支保工を使用して建造中の建造物を支えることができない場合(例えば、交通往来の激しい道路や川の上、深い谷など)に非常に効力を発揮する。そのためトラスアーチ橋(ナバホ橋を参照)などは、スパンが互いに達するまで片側から片持ちとして構築され、最終的に結合する前に圧縮させる。これが主な利点の一つであるので、斜張橋は片持梁を利用して作られている。多くの箱げた橋はセグメント橋、または短い断片で作られており、これらのタイプの構造は橋が単一の支持体から両方向に構築されているバランスの取れた片持ち構造に適している。カンチレバーのあまり目立たない例としては、ガイワイヤーのない自立型(垂直型)の電波塔、および煙突などがある。 フォース橋、カンチレバートラス橋の有名な例。 この橋は構築中一時的に2つの平衡カンチレバーのセットとして機能し、さらに突き出すよう型枠とカンチレバーを支持している。 インドのハウラー橋、片持ち橋。 片道式の鉄道デッキとCanton Viaductのフェンス テネシー州農村部の片持ち梁納屋 ケイズ・コーブ(英語版)のカンチレバー納屋 イギリスの二重桟橋 カンチレバーゲーム。「ジェンガ」で発生 世界最長のカンチレバー屋根を持つ、韓国の釜山にある映画の殿堂 。 ウェルトン・ベケットとKBJアーキテクツによるフロリダ州ジャクソンビルにあるリバープレイス・タワーの片持梁ファサード
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