市販品としての殺虫剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 07:59 UTC 版)
ホームセンターやドラッグストアで市販されている殺虫剤は、家庭用殺虫剤で、比較的毒性が低い成分を使用している。主な用途は、日常生活において害が強いゴキブリ、蚊、ハエ、ダニを防除するためのものであるが、これにネズミ駆除、犬猫忌避などを加えたカテゴリーを、家庭用殺虫剤と呼んでいる。中には殺虫成分を含まない駆除目的の関連商品(捕獲器など)もあり、必ずしも化学品だけではない。 主な種類を次に挙げる。但し既に発売中止の商品も含まれており、花王のキスカ、大正製薬のワイパアなどは絶版となっていて、花王や大正製薬は、殺虫剤事業から撤退している。また、白元も白元アースとなった際に、アース製薬に殺虫剤事業を集約している。 エアゾール剤(キンチョール・アースジェット・フマキラーA、ワイパア殺虫ゾルなど。また、ワンプッシュ持続性タイプの蚊除けスプレーも市販されるようになっている) 蚊取線香(金鳥の渦巻・アース渦巻・フマキラー蚊とり線香・その他、ライオンケミカル、児玉兄弟商会など。薬事法では「燻煙剤」に分類される。線香の技術を借用した香りつきのもの、天然除虫菊使用のもの、ペット対応のものなどもある) 電子(電気)蚊取(リキッド式=アースノーマット・ベープリキッド・キンチョウリキッドなど。マット式=ベープマット・ワイパア蚊とりマット・金鳥かとりマットなど。専用の器具で薬剤を加熱、蒸散させる) 燻煙剤(蚊取線香、医薬品=バルサンSXジェット・キンチョウジェット・ワイパアジェットなど。雑貨=バルサンカメムシジェットなど) 燻蒸剤(アースレッド・水ではじめるバルサン・フォグロンなど) 樹脂蒸散剤(バポナ殺虫プレート、ワイパア殺虫プレート、パナプレートなど。医薬品劇薬扱い) 粉剤(バルサンパウダー・ダニアースパウダー・キンチョールパウダー・大正粉剤・バポナわらじ虫用など) 液剤(強力フマキラー・アース・キンチョール液など) 虫除け剤(不快害虫を寄せ付けないようにするもので、殺虫目的ではない。置き型、吊り型など。関西ペイントは室内壁にピレスロイド系の薬剤を含む塗料を開発している) ベイト剤(baitとは餌、囮のこと。殺虫成分を練り込んだ食料で、虫に食べてもらうことで成分を体内に取り入れる)、ホウ酸製剤、フィプロニル製剤、ヒドラメチルノン製剤、フェニトロチオン製剤等(コンバット、ワイパアG1、ゴキブリワイパア、バルサンゴキゼロ、ゴキブリキャップなど) 捕獲器(ハエ取り紙、ゴキブリホイホイ、ワイパアゴキブリゾロゾロ、ゴキブリキャッチャーなど。医薬部外品には含まれない) などのカテゴリに分類できる。 また広義では、これに人体用殺虫剤(医薬品)、人体用忌避剤(一般に虫よけ。医薬部外品ないしは医薬品扱い)なども含まれ小売業界ではこれらを総称する。以上の商品が売れる時期は蚊やハエ、ゴキブリなどの活動が盛んになる、初夏~秋であり気温に比例する。 小売・製造サイドともに、夏場の商材としてこれらは欠かせないものであるが、暖房器具の発達によって、冬場でも家で害虫が活動しているため、ゴキブリやネズミ駆除剤に関しては、年中需要のあるものとなった。 家庭用殺虫剤業界において、最も売り上げの比重が高いものは蚊対策商品であり、以下ゴキブリ用、ダニ用と続く。 日本の市場規模は、 リキッドタイプの蚊取り器の先駆となった、アースノーマットやごきぶりホイホイなどのヒット商品を持つアース製薬が約40% 西日本に強い販路を持ち、蚊取り線香やキンチョールなどロングセラー品を持つ大日本除虫菊(金鳥)が25% 電気蚊取器ブランドのベープなどを擁するフマキラーが15% 大正製薬の殺虫剤事業からの撤退に伴い、同社からワイパアの商品名引継ぎによって業界に参入した白元及び白元グループ(両社とも白元アースに継承しておらず、親会社アース製薬に集約) 中外製薬のOTC部門などの一般向け商品事業からの撤退に伴って殺虫剤事業を譲受し加えて、独自商品の開発で市場を確保しつつあるライオン の5社で、市場の9割以上を寡占している。 その他、零細企業は100以上を数え、蚊取線香の産地として知られる、和歌山県有田市に約30社が集中する。
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