少年陰陽師の登場人物とは? わかりやすく解説

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少年陰陽師の登場人物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/20 22:28 UTC 版)

少年陰陽師 > 少年陰陽師の登場人物

少年陰陽師の登場人物(しょうねんおんみょうじのとうじょうじんぶつ)では、小説アニメ少年陰陽師』に登場する人物(及びそれに類する人間以外のもの)について説明する。声優に関しての記述がある部分は一部を除き、ドラマCD・アニメ共通の出演者である。

主要人物

安倍家

安倍昌浩(あべの まさひろ)
- 甲斐田ゆき[1]
本作主人公。安倍晴明の末の孫であり、祖父譲りの強い霊力を持つ安倍晴明の唯一の後継者ではあるが、「晴明の孫」と言われるのが何よりも嫌いで、言われる度に「孫、言うなっ!!」と怒鳴っている。安倍家の中で若菜の面影を強く受け継いでいる。年齢は窮奇編で13歳、風音編で14歳、籠目編で15歳、尸櫻編で17→18歳。
晴明以外で唯一天狐の血が濃く顕れたため、力の強い妖から昌浩を守るため晴明が昌浩の初の妖怪退治までその力を封印していたほどに霊力が強く、その才能は安倍家でも群を抜いている。凶将騰蛇を恐れない数少ない人間で、「誰も傷付けない、誰も犠牲にしない最高の陰陽師」になることを約束し、騰蛇を「紅蓮」の名で呼ぶ権利を持つと同時に、もっくんとは深い絆で結ばれていて大切に想っている。自身の修行を兼ねて都の平安を守るため夜警に出る際には必ず相棒である物の怪のもっくん(紅蓮)を伴っていく。
素直で優しく、負けず嫌いで正義感が強い。いささか天然な面(特に恋愛)もある。生涯をかけて守り通すと彰子と約束し、その通り彼女の危機には必ず駆け、命をも顧みない行動をおこす。彰子のことをとても大切に想っており、彼女のこととなると、後先考えずに突っ走る傾向がある。当初は無自覚であったが、徐々に彰子に対し恋愛感情の自覚を持つようになる。彼女の事でもっくんや成親達にからかわれ、しばしば硬直したり、取り乱したりしている。昌浩が持っている匂い袋は彰子からの贈物で、肌身離さず常に持ち歩き、大事にしている[2]。「来年絶対、蛍を見に行こう」と約束をしているが、原作ではまだ果たされていない(アニメでは最終回に訪れており、またコミック版でも訪れている[3])。
風音編において、紅蓮のままで騰蛇を蘇らせるため、自らの命を犠牲にすることを決意し、三途の川へと向かうが、祖母の若菜に諭され生き返ることができた。だがその代償として、見鬼の才を失う(『視』えないだけで、声を聞いたり気配を感じることは出来る)。現在は、晴明が道反の大神に請い手に入れた道反の丸玉のおかげで『視』えるようになっている。
天狐編では天命ではない死を遂げようとする晴明に誰よりも祖父の延命を願うなど、普段は憎まれ口をたたきつつも、祖父に対する深い想いを見せた。彰子の異母姉妹であり彰子と瓜二つの章子に想いを寄せられるが、彰子への想いを言い募り「彼女(彰子)でなければ駄目なんです…!」と発言する[4]
珂神編では命の危機にさらされている彰子を見て、人に術を向け自らの誓いを犯してしまう。さらに彰子が昌浩を庇い傷ついたため心に深い傷を負い、危うい精神状態に陥っていた。玉依編で、玉依姫の助けにより心の傷を癒した後は、地御柱(つちのみはしら)を覆う黒い縄を断ち切り、国を守る。
颯峰編では、颯峰に外法師と誤解され命を狙われるも、疾風の救命に尽力する。
籠目編では播磨から約定を果たしに来た螢が曾祖父の決めた許嫁だと知り、困惑する。同じころ藤原公任を刺し、皇后定子を呪詛したという濡れ衣を着せられ、あやうく処刑されかかるが螢や車之輔の尽力で都を脱出。公任が目覚め、帝が真実を知って疑いが晴れるまで播磨に滞在する。嫌疑が晴れた後帝の勅命で陰陽生になり、ただちの参内が命じられるが、その数カ月の間に自らの未熟さを知り、しばらく播磨に滞在して夕霧に叩き直してもらうことにした[5]
尸櫻編では17歳になり、道長と帝の計らいで播磨国郡衙として都から派遣されたことになっていた。成親からの文で帰京。その後年が明けたので18歳になった。成長して悩みの種だった背が伸び(藤原敏次や長兄の成親、十二神将の勾陳、若晴明よりも身長が高くなった)、声も父の吉昌に似てきた[6]。晴明と陰陽寮の当てもの勝負の第三試合で、成親の手助けをして陰陽寮の実力を見せつけることに陰ながら活躍。それを唯一見抜いた脩子に専属の陰陽師になることを請われ、数日置きに竹三条宮に通うようになった。
藤原彰子(ふじわらの あきこ)
声 - 小林沙苗[1]
本作のヒロイン。藤原道長の一の姫(史実では、一条天皇中宮)。 歳は昌浩より1歳下の13歳(満12歳)で身長は130cmである。優しく温厚な性格で誰にでも好かれ、その人柄は十二神将達にも好意的に取られ認められている。常に自分にできることはないかと考えており、それが彼女の美徳である。貴船の祭神も認めるほどの美貌の持ち主。弟の鶴君(たづぎみ)を「ちょっと乱暴だけど根はいい子」と評する。
晴明や昌浩をも超える当代一の見鬼の才を持ち、神将が穏形していても居場所を感知できる。そのすさまじい見鬼に紅蓮を初め、六合や玄武などの神将が感嘆していた。だが、その高い霊力のせいで度々敵に狙われる。
妖怪・窮奇に狙われた際、一生消えない呪詛を負い、入内せず安倍家に半永久的に滞在することとなった(異母姉妹の章子が代わりに入内することになる)。そのため素姓を知られてはいけない。名を伏せているため、事情を知っている者からは「藤花」と呼ばれることがある。安部家に来て間もない頃、その順応性の高さをもっくんに好評された。安倍家での生活に馴染んでおり、雑鬼たちと仲良くしたり、露樹に頼まれよく市に買出しに行ったりする。その際、天一や玄武などが護衛についていく。昌浩の出迎えなどをした際は、その姿が妻のようだと雑鬼達に冷やかされることもある。昌浩に憑依した高神に遭遇した後は、もっくんより神様講座を受けたりしている。彰子が愛用している瑪瑙の腕飾りは昌浩の贈物で大切にしている。
貴船で鶚とに操られて昌浩を懐剣で刺したことを深く悔やんでおり、そのことが心の傷となっていた。
天狐編では、神将でさえ容易に近づけない瘴気を放ち、天狐の血の暴走に苦しむ昌浩に近づき、その血の暴走を止め、救った。
玉依編では、心の傷から抜け出そうともがく昌浩を見て、「自分は昌浩のそばにいないほうがいいのではないか」と思い、今上の帝の強い希望により、内親王脩子とともに伊勢に向かう。その中でいままで誰にも見せなかった自分の弱音を太陰に打ち明ける。後に風音に「大切なのは、今あなたはどうしたいのか」と諭されたことで昌浩に会いたいという答えを見つけ、会う決意をする。
颯峰編では、晴明とともに伊勢から帰ってないため、文(ふみ)だけの登場となる。
籠目編では、定子の病気は治ると軽々しく言ってしまい、のちに定子の死を知った脩子からうそつきと責められてしまう。その後脩子は黄泉の行列に囚われかけたが、魔除けである瑪瑙の腕飾りを投げつけたことで風音と太陰が脩子を救う隙を作る。昏睡状態に陥った脩子に付き添い、助けてと昌浩に助けを求め続けていたところ、脩子が目を覚まし、離れていても心は繋がっていることに気づき、帰京後は安部邸に戻らないと決意。引き続き脩子の女房・藤花として竹三条宮で仕えている。
安倍晴明(あべの せいめい)
声 - 麦人(じい様)[1]石田彰(青年)[1]
稀代の大陰陽師で昌浩の祖父。齢80間近だが、とても元気である。神に通ずる天狐・葛の葉(晶霞)を母に持ち、稀に見る霊力の強さを誇る。配下の十二神将を朋友(とも)と呼ぶ。一度決めたらてこでも動かず、十二神将たちがどれだけ反対しても我を通す。昔は昌浩のように夜にひっそりと抜け出したこともあった。
末孫の昌浩を大事に思っていて、可愛がりながらもおちょくりすぎたせいか、怒らせたり「古だぬき」・「たぬき爺」と呼ばれたりする。しかし大切な時には頼りになる存在。離魂術で一番霊力が高かった頃の姿をとることが可能だが、大量の霊力を消耗し心身に負担をかけるため、十二神将たち(特に青龍と天后)には怒られている。彰子には客人というより孫娘に近い感情を抱いており、雑鬼に臆することもなく他愛もなく話しかけ、礼に菓子を振舞う彰子に実に面白い姫君と評して温かく見守る。優しい眼差しで、昌浩と彰子の幸せを願っている。
天狐編で天命を待たずに命が尽きかけたが、母が遺した天珠によって延命することになった。
十二神将を式に下した直後、冥府の官吏・小野篁と最初にして最悪の邂逅をした。その当時は血気盛んな20代の若造だったので激昂したものだが、今では「どう転んでもかなわない相手」だと素直に受け止め比較的穏やかに会話ができる。が、神将たちは自分の制止さえ蹴飛ばして一触即発となるので困っている。
伊勢に滞在中に都では思いも寄らぬ出来事が起こる。成親と吉平が相次いで襲われて重体となり、更には播磨陰陽師「神祓衆(かんばらしゅう)」の長の家の娘で、冥官の血を引く小野螢(おののほたる)が昌浩の許婚として安倍家にやって来たのだった。かつて亡き父・益材(ますき)が晶霞を娶る際に「神祓衆」と揉めに揉め、長の血筋に天狐の血を引く子を娶わせるという約定を交わしていた。安倍家は数代前まで播磨にいたが遷都に伴って「神祓衆」から枝分かれし、都の鬼門鎮めの為に移り住んだ家柄であり、益材はさして能力は無かったが血筋自体は強い霊力を持つ者を輩出する家系であった。
尸櫻編では、帰京後ひっきりなしに貴族たちの依頼が立て込み、律儀に受けていた結果何度も床に臥せていた。その上帝に連日呼び出されていたが、それに吉平と吉昌が父親の体を気遣ったうえでもう少し仕事を減らすように言われ、年寄扱いするなと言い返した結果、陰陽寮と帝を巻き込んだ壮大な親子喧嘩に発展してしまう。帝や貴族に陰陽寮の実力を認めさせるために御前で行った当てもの勝負では1勝1敗1分で、十分陰陽寮の実力は見せつけられた。しかし、依然貴族の依頼は減らず、貴族があきらめるまで都から追い出そうという成親主導の計画により、吉野にある成親の義父の別邸に向かうが、途中で行方不明になってしまう。
安倍吉昌(あべの よしまさ)
声 - 新垣樽助
晴明の次男。晴明に似ず真面目な性格で、成親・昌親・昌浩たち三兄弟を父親として、優しく案じている。当初、紅蓮(騰蛇)が昌浩につくことに反対していたが[7]、どのように昌浩についているのかを対面して知って言葉を失う程の衝撃を受けた[8]
陰陽寮における地位は天文博士で、子供たちを特別扱いしないように心がけている。が、晴明の命で隠密行動を取ると周囲の風評が悪くなる昌浩を案じ、陰陽頭を目指そうかと思っている。このあたり、吉昌は昌浩にかなり甘いのだが、本人に自覚はない。
尸櫻編で、帰京してからひっきりなしに舞い込む依頼を受けて何度も倒れた晴明を気遣い、吉平とともにもう少し休んでほしいと頼むも、晴明が年寄扱いするなと言い返したことと、陰陽寮がもっと頼ってほしいと懇願したものの帝がわかってくれないということで、陰陽寮と帝を巻き込んだ壮大な親子喧嘩になる。陰陽寮の実力を見せつけるための当てもの勝負では、第二試合で晴明に中身を変えられたために敗北した[9]。勝負後も依頼が絶えない晴明を、成親とともに吉野へ追い出した。
安倍露樹(あべの つゆき)
声 - 重松朋
いつでも昌浩たち三兄弟を温かく見守る母親で、吉昌の妻。見鬼の才は無い。夫である吉昌とは幼馴染の間柄で不可思議な事柄には耐性があり、多少のことでは動じない女性である。彼女の方が2歳年上だが、吉昌は彼女と結婚できて幸せなんだろうな、と昌浩が思うくらいに夫婦仲は大変良い。彰子の高い身分にもなんとなく気づいているが、何も言わずに縫い物などを教える。
籠目編では、安部邸が騒がしく落ち着かないため実家に帰っていた。
アニメでは昌浩が夜に抜け出していることを知っている。
安倍成親(あべの なりちか)
声 - 神奈延年
安倍家の長男。昌浩とは14歳の年が離れた兄。その飄々としたたぬきぶりが最も晴明に似ていると言われている。祖父にも劣らぬ言動はときに昌浩を「石化」させる。口が達者で本気になると誰も勝てない。誤魔化しながらも嘘なしに昌浩には見鬼の才があるが不安定だと敏次に告げ、もっくんに「流石は参議の娘婿」と惜しみない賛辞を贈られた。
物心つく頃から、晴明の後継として立派な陰陽師になる努力を重ねてきたため、当代五指に入る実力がそなわっているが、昌浩が持って生まれた祖父の後継としての能力を認めた後は昌浩の将来のため心を砕き、彰子との未来のために着々と根回しをしている。
妻・篤子(すみこ、声:氷上恭子)との間に6歳(満5歳)の長男・国成(声:木村はるか)、5歳(満4歳)の次男・忠基(声:〆野潤子)、2歳(満1歳)の長女・瑛子(てるこ)(声:松山智美)がいる。尸櫻編で国成は10歳(満9歳)、忠基は9歳(満8歳)、瑛子は7歳(満6歳)になった。行成は妻の幼馴染でもあり、彼とは親しく付き合っている。
家族の前であろうと妻を名前ではなく「あれ」とか「北の方」と呼ぶため、昌浩は義姉の名前を知らずにいる(妻との馴れ初めが語られた番外編[10]で太裳の前で呼んだことはある)。
暦博士であるが武術の心得もあり、朱雀と勾陣直伝の剣技を得意とする。
籠目編では、疫鬼に襲われて一時昏睡状態に陥るも、螢のおかげで起き上れるようになる。その後は安部邸で静養し、安部氏に喧嘩を売ったことを後悔させてやると決死の覚悟で呪詛返しを行った[11]
尸櫻編では陰陽博士に昇進。その前に博士だった伯父吉平は陰陽助になった[12]。祖父と父・伯父兄弟による壮大な親子喧嘩に始まった当てもの勝負では、第三試合で昌浩の助けを得て勝利する。が、それでも晴明の仕事が減らないため、晴明を義父の所有する吉野の別邸に追いやる計画を立てた。
また、尸櫻編で篤子の第四子懐妊が判明したが、体調がすぐれず、臥せりがちである。第四子は男がいいと願っている(神祓衆にとられたくないため)。
安倍昌親(あべの まさちか)
声 - 杉山紀彰[13]
安倍家の次男。真面目な天文学生で、吉昌の血を濃く受け継いでいる。成親同様妻の家に入っており、妻・千鶴との間に2歳(満1歳)の娘・梓がいる。尸櫻編では6歳(満5歳)になっている。
武術の心得があり、太裳直伝の弓を得意とする。退魔術は苦手なため天文生に進んだ。昌浩が生まれるまでは、跡を継ぐであろう長兄成親の助力をするのが自分の役目だと思っていた。昌浩が見鬼の「目」を失ったときには、天文生には無用と「目」を昌浩に移し変えてもらえたら、と悩んでいたほど。
千鶴と結婚する際、千鶴の両親が娘の病弱さから結婚を渋っていたところを、半年も通い詰めて承諾を得た。梓の出産時には、元服前だった昌浩まで安倍家が総動員で祈祷を行っている。その梓は母親の病弱さを受け継いでしまったのかあまり丈夫ではなく、六歳にしては小柄で他家の4、5歳の姫のほうが背もあるほど。しかし両親の長所を受け継いだ、控えめで大人しく、利発で素直な見目良い姫。[14]
玉依編で、帝の勅命により昌浩と共に内親王の一行を追いかける。その途中で益荒たちに連れて行かれた海津見宮で、昌浩の負った心の傷について知った。
籠目編で、疫鬼に倒れた兄成親を看病し、呪詛返しも手伝う。
尸櫻編で、試験に及第して天文得業生となった。
安倍若菜(あべの わかな)
声 - 鈴木菜穂子
晴明の妻で故人。見鬼の才を持っていたが、彰子とは異なり、十二神将や妖たちを見るたびに悲鳴をあげて晴明の後ろに隠れてしまい、そのせいで台所に入れなかったこともある。晴明のことを誰よりも理解し、深く愛し支えていた。泣き虫だが、晴明は彼女に一度も勝てたことはないらしい。
吉昌が3歳(満2歳)の時に病気でこの世を去るが、現在は三途の川を渡らず、冥府の役人に無理を言って川岸に留まり、晴明を見守り待ち続けている。そのため、彼岸の時期にも現世に戻ってくることはできない。橘家出身の姫で、冥府の官吏の親友・橘融の子孫である。昔、鬼人という大陸から来た妖に魅入られ、心を壊されて命を奪われかけたところを晴明に助けられた。それが彼らの馴れ初めである。この事件は晴明が十二神将を従えるきっかけにもなった。

十二神将

紅蓮(ぐれん)/騰蛇(とうだ)
声 - 小西克幸[1]
昌浩の護衛兼相棒。昌浩を何より大切に想っており、彼が危険に陥ると我を忘れてしまう。
本性は、驚恐を司る十二神将最強にして最凶の闘将、煉獄の将・騰蛇(とうだ)。身長186cm。精悍な顔つきに、黒とも見紛う深い紅の髪と切れ長の黄金の双眸をもつ。褐色の肌で、一切の無駄のない逞しい体躯をしている。怒りや哀しみに我を忘れると金の眼が深紅に染まる。その身に纏う焔はあらゆるものを灰すら残さず無に帰す甚大苛烈な焔ゆえに地獄の業火と忌み嫌われる。抑制していてもこぼれ出る圧倒的な通力に人は恐れを抱き、同胞からすらも疎まれる。晴明に、彼の発する炎が水面に咲き誇る紅の蓮のようだと二つ名「紅蓮(ぐれん)」を与えられる。晴明のほかは昌浩のみがこの名前を呼ぶことを許された。晴明と出会う前は青龍以上に頑なで険があり誰とも心を通わそうとしなかった。
その絶大なる通力にあてられることにより、通常赤子は側にいるだけで熱を出すまで泣き全身で嫌悪するが、生まれたばかりの昌浩は幼い手を伸ばして指を掴み笑いかけてきた。この時を境に少しずつ変わっていき、晴明が昌浩を後継と定める前から常に昌浩を守っていた。昌浩は彼にとって闇を裂く光、行く先を示す導のような存在であるため、昌浩を守り同胞に同じ苦しみを味わわせるくらいなら何度でも理を冒す覚悟がある。
55年前に榎斎の縛魂術に操られて主である晴明を殺しかけ、術が解けて事実を知って逆上のあまり斎を殺そうとしてしまい、二度も理を犯す。そのため、元々あった同胞との溝はさらに深くなった。しかし、昌浩の誕生以降、変わっていく彼に対し六合や玄武などのように考え方を改めていく者もいる。
勾陣の二つ名をある理由から晴明から教えられて以来、言霊で呼ぶことで心を無条件に縛ってしまうのを避けるため、彼女を「勾」と呼んでいる。晴明でさえも知らなかった勾陣の利き手が左であることを知っていた。
颯峰編では都を襲ってきた天狗の総領と互角に渡り合い、そのことを気に入られ天狗の秘境へと招かれる。が、総領の側近の態度に激怒して通力を開放し、勾陣と共に牢へ閉じ込められる。
籠目編では勾陣とともに昌浩の逃亡に同行。途中蟲を植え付けられるが、夕霧にとってもらった。その後播磨にとどまることを決めた昌浩と播磨に滞在する。
もっくん
声 - 大谷育江 (ドラマCD窮奇編、風音編)、野田順子 (ドラマCD天狐編第1巻より[15]、TVアニメ&ゲーム&番外編)
紅蓮が普段とっている異形の姿。大きな猫か小さな犬のような体躯と、長い耳とあいまって兎にも似たかわいい顔だが口は悪く態度もでかい。また、体毛は白だが、額の模様や首回りにある勾玉のような突起・瞳の色など赤い色がアクセントとなっている。この姿の時には悪ふざけをする、昌浩に対して文句をたれるなど、同胞の十二神将達でさえも驚く言動をしている。
昌浩に「物の怪のもっくん」と命名され、彰子にもそう呼ばれるが、「物の怪」の定義には当てはまらず、本人も嫌なので「物の怪」や「もっくん」と呼ばれると反論する。作中では物の怪と表記される。
誤解から昌浩に嫌味を言ったことがあったうえ、その誤解が解けた後も昌浩に対して上から物を言う敏次を嫌っており、見えないことをいいことに「えせ陰陽師!」と罵倒したり蹴り付けたりしているが、同行することの多い六合にしばしばたしなめられている。彰子には本性の姿(騰蛇)は見せないと決めているらしい。
勾陣(こうちん)
声 - 早水リサ[16]
十二神将の一人で土将。紅蓮(騰蛇)と同じく凶将で、四闘将の一人で最強である騰蛇に次ぐ通力の持ち主。身長165cm。肩に付かない位置で切りそろえた漆黒の髪に濡れたような黒曜の瞳を持つ女性。暴走すると黒曜の瞳が金色に変わる。武器は二振りの筆架叉。左利きであるが、気づいていたのは紅蓮のみで、晴明と他の神将は右利きだと思っていた。同胞たちの本質を、紅蓮は最も情の深い男、六合は情の強い男、青龍は情の激しい男、朱雀は情の怖い男、天一は情を曲げない、と評する。
晴明による二つ名は常に大局を見据えることから「慧斗(けいと)」。いつも傍観者の立場にいるため自分に焦点を当てられることが苦手。
普段は理性で力を制御しているが、瀕死に陥るなどして理性の制御が外れ本能のみの状態になると暴走してしまい、その際には、制止することが可能なのは紅蓮だけである。
玉依編では、都に勃発していた地震を鎮めるために、冥府の官吏により神気を根こそぎ奪われたことで、青龍が勢いに呑まれておとなしくなるほどに激怒した(これは伊勢から帰ってきた紅蓮に一喝されるまで続く)。
颯峰編では都に攻め込んできた大勢の天狗をたった一人で食い止め、そのことを気に入られ天狗の秘境に招かれる。
籠目編では紅蓮とともに昌浩の逃亡に同行した。その後紅蓮と同じく、昌浩に伴って播磨に滞在。
六合(りくごう)
声 - 高橋広樹[16]
慶賀を司る十二神将の一人で木将、四闘将の一人。他の神将よりは高いものの通力は四闘将中で最も劣っており、黒い霊布や甲冑、鎖等は戦闘時の神通力不足を物理的に補うものらしい。紅蓮以外で昌浩を「晴明の後継」と認めた最初の一人である。身長184cm。普段から、主である晴明にさえ気配で応答するのが殆どであるほど無口で、あまり表情を変えることがない。腰の辺りで一つに括った鳶色の長い髪と、黄褐色の瞳をしている(激昂すると緋色に変わる)。
晴明に命ぜられ、紅蓮と共に昌浩の護衛についている。最初こそ命令だったが、昌浩を認めはじめてからは自主的につくこともある。彰子が一人で市に行くことを心配した昌浩の必死の「お願い」により、彰子の護衛にもつき、危うく「りっくん」と呼ばれそうになった。昌浩やもっくんに同行するようになってから、その行動や言動に突っ込んだり、肩を震わせて笑ったりという珍しい場面も見られるようになった。
晴明による二つ名は、夜明けの光に似ている瞳から「(さいき)」。晴明と風音のみが知り呼ぶことを許される。理を犯すことさえ厭わないほど風音を大切に思っており、彼女を守るためなら自らを省みずに行動する。「大事な姫」の風音の心をさらったとして道反の守護妖からは快く思われておらず、力を試すためと称して戦いを挑まれたり、半ば本気の殺気を向けられたりする。そのため、晴明や同胞たちからは同情を寄せられている。玉依編後半で脩子内親王の伊勢行きに、晴明と風音と共に同行した。
青龍(せいりゅう)
声 - 森川智之[16]
福助を司る十二神将の一人で木将。四闘将の一人でその通力は勾陣に次ぐ。身長185cm。不揃いな長くて青い髪と夜の湖のような深い蒼の瞳をしている(激すると赤紫や青紫に変わる)。頑固者であり、口調は冷ややかで厳しいが、誰よりも晴明の身を案じている。同胞に向ける視線も同様に冷ややかなものだが、天后に対して分かりにくい優しさを向ける事もある。緊張感に欠ける太裳にはいらだつことが多いが、そのやり取りは漫才のようである。
木将だが、龍という字から水の性質も持っているため、紅蓮との相性が元より悪かった。50年前の事件で亀裂が決定的になってからは何かと反発しており、行き過ぎて天空に瞬殺され、「青二才!」と怒鳴られたことも。唯一冥官に対してのみは、紅蓮と思いが一致している。
昌浩のことを未だ認めていない。貴船の一件から彼の実力を少し認めるようにはなるが、晴明がたびたび危険を冒して離魂術を使うため「これ以上孫のために力を使うな」と強い不快感を表す。
晴明による二つ名は、 頑固で融通がきかないところが穏やかな宵の空のようになればという願いをこめられた「宵藍(しょうらん)」というもの。しかしその願いは叶いそうもない。紅蓮と並び、二つ名で呼ばれることが多い。
朱雀(すざく)
声 - 鈴村健一[16]
十二神将の一人で紅蓮と同じく火将。身長179cmで外見年齢は17歳くらい。闘将ではないが、通力は六合に次ぐ五番手である。身の丈よりも大きい剣を使う。浄化の炎を操り、唯一「神将殺し」の力を持ち「同族殺し」を許された神将である。濃い朱色の髪とくすんだ金の瞳をしている。
恋人である天一のことが何よりも大切で、天一がからむと人が変わる。「天一を危険な目に遭わせた」という理由で昌浩に平手打ちを食らわせたり、敏次を蹴り飛ばしたり、「天一に色目を使った」という理由で敏次を大剣の柄でしたたか殴って気絶させたことも。
嫌いなことは天一が術を使うことと、晴明や天一に叱られること。頭に巻いている白い布は天一の領巾(ひれ)である。大親友だった先代の貴人が、努力も叶わず目の前で絶命してしまった過去がある。そのために、生まれ変わって新たに生を受けた現在の天一を何より大切にしている。
天一(てんいつ)
声 - 田中理恵[16]
十二神将の一人で土将。豊穣を司る。本名は天乙貴人(てんおつきじん)で、朱雀のみ天貴(てんき)と呼ぶ。身長160cmで外見年齢は昌浩より少し上くらい。優雅に結い上げた陽の光のような金の髪と、晴れ渡る冬空や淡く凍てついた湖にも似た色の瞳の美少女で朱雀の最愛の恋人。儚げな印象だが芯が強い。
呪詛や他人の傷を自分に移して浄化する力「移し身の術」を持っている。この術のせいで何度か瀕死の事態に陥ったことがあり、朱雀は彼女がこの術を使うことを非常に嫌う。身に着けている耳飾りは朱雀のもの。十二神将の中で唯一死を迎え再生された神将であるが、その死因については唯一の目撃者である朱雀が沈黙を守っている。先代の天一は朱雀に常日頃剣の勝負を挑むような快活な女性で、今とは正反対だったという。
尸櫻編にて先代の死の真相が語られる。それは咲光映を救ったことで捧げられるべき生贄を失い、尸櫻が花を咲かせようとしたのを止めるため、屍が彼女を生贄として召喚したためだった。
太陰(たいいん)
声 - 今野宏美[16]
十二神将の一人で風将。身長112cm。桔梗色の瞳で、栗色の長い髪を耳の上の高い位置でツインテールに結っている。6歳ほどの幼い外見と共に気性も子供。気も意志も強いが、繊細で打たれ弱い一面を持つ。風の扱いはかなり過激で荒っぽく大雑把、総じて力技であり、風読みなど細かいことは苦手。
白虎の説教が苦手で、四刻(=約8時間、最高記録)連続の説教を受けた際にはしばらく異界で反省の海につかりっぱなしになっていた。しかしその通力は白虎より上で、十二神将六番手。水将の玄武とは名コンビで、大抵行動をともにしている。
神将たちの中でもことさら騰蛇を恐れており、せめて物の怪の姿の時は大丈夫になるようにと努力しているものの、それは実っておらず風流中に騰蛇を発見することで着地に失敗することもある。
玄武(げんぶ)
声 - 皆川純子[16]
十二神将の一人で水将。同じ水将である天后とは水鏡を使って対話ができる。身長123cm。見た目は太陰同様、子供(10歳くらいの少年)の姿だが、口調は重々しく冷静沈着、一人称は「我」。よく太陰と一緒にいるため振り回されることも多く、そのとばっちりを受けることもある。戦う術を持たない4人の中では一番通力が弱い。
天一と共に彰子の護衛をするようになってからは、物の怪姿の騰蛇と接することが増え、忌み嫌われている彼が深く傷つき、望んで最凶の称号を持っているわけではないのだと気づく。
晴明の命で護衛をした汐という名の盲目の少女に想いを寄せていた。[17]
天后(てんこう)
声 - 桑谷夏子
十二神将の一人で玄武と同じく水将。身長163cm。外見は20歳くらい。長い銀髪に翠色の瞳、菩薩のような衣装をまとっていて、腕には透き通る玉の腕飾りをはめている。優しく柔軟な性質ではあるが、曲がったことが嫌いで、道反での事件から騰蛇のことを許していないが、彼を見ると青ざめるほど恐れてもいる。同時に、いつも騰蛇と一緒に居る昌浩のことを心配している。青龍とは一緒にいることが多く、頑固な点では青龍と似たもの同士。
戦う術を持っている8人の神将の中では最も力が弱いため後衛に回されることが多く、役に立てないことに憤りを感じている。青龍が太裳相手に謝るまで許さない様子を見ていたので、青龍が不機嫌になるとまず謝るようになった。勾陣とは仲がよい。
白虎(びゃっこ)
声 - 中多和宏
十二神将の一人で太陰と同じく風将。身長178cm。肩につかない亜麻色の総髪とくすんだ灰色の瞳で、大きな体躯をしている。通力を使う以外に肉弾戦をすることもある。外見年齢は30代後半から40代前半。主な役目は太陰へのお説教役。その説教は非常に長く懇々と説くようになされ、太陰が苦手としている。
太陰の苦手とする風読みなどを得意とし、穏やかな風を操るが速さは太陰に劣る。太陰や玄武達と並ぶと親子のように見える。
天空(てんくう)
声 - 有川博[18]
十二神将の一人で土将。身長175cm。天界(異界)の空を覆う雲のような灰白色の長い髪を持ち、口元とあごに蓄えたひげは胸に届くほどで、暗色の衣装を纏い常に硬く瞼を閉じている(盲目というわけではなく滅多に目を開かないだけ[19])。顔にはしわがあり老人の姿をしている。十二神将を束ねる役目を担う。
青龍や勾陣を「若造」「跳ね返り」と呼び、十二神将の殆どが「相手にしたくない」と言うほどの人物であり、晴明ですら初戦敗退の記憶を引きずり頭があがらない。戦う力は持っていないものの、織り成す結界は十二神将随一であり、異界から通力を飛ばすだけでもほぼ完全に敵の動きを封じることができ、神将中で唯一、紅蓮の神気を一時的とはいえ封じることも可能。無機物を造る力を持っており、武器を携えている十二神将の武器はほとんど彼が作った。
籠目編にて、呪詛返しの補助で疲労困憊だった昌親に目を開けてねぎらいの言葉をかけた。彼が目を開けるのは非常にまれなことであり、昌親は少しだけ得をしたのだろうかと思った。
イントネーションは「天[20]
太裳(たいじょう)
声 - 松風雅也[18]
十二神将の一人で土将。身長173cm。青磁の髪に紫苑の双眸、左目の際には銀の飾りをつけていて大陸の官人服に似た服を纏っている。神将の中で二番目に強力な結界を張ることができる。
穏やかな性格をしていて、誰に対しても丁寧な口調で話す。傍から見ると青龍をおちょくっているとしか思えない発言が多く、自分が青龍を怒らせていることに気づかずに一人で話を続け、だいぶ時間が経ってからようやく青龍が怒っているのに気づき、正座して謝罪するということも。天一や玄武など比較的紅蓮と接する機会が多くなった神将たちよりもほとんど紅蓮と顔を合わせることがないので彼を見ると萎縮するほど恐れてしまう。
普段はあまり姿を見せないが、昌浩が幼い頃は成親のそばに控えていたことが多かった。

その他・主要な人物

都の人々

藤原行成(ふじわらの ゆきなり)
声 - 関俊彦[16]
右大弁と蔵人頭を兼ね、左大臣道長の信頼の厚い出世頭。昌浩の加冠役で、温厚で頼りになる。敏次とは縁戚関係で、赤子の時から知っている。敏次が欠勤続きの昌浩に対していやみ攻撃を仕掛けていたときも、昌浩には理由があって仕事を休んだのだということを理解していた。もっくんが気に入っている人間である。
成親の妻とは幼馴染の間柄で、その縁もあり成親と親しい。
長男は早くに亡くしている。その後3歳の姫と次男の実経に恵まれる[21]。しかし昌浩が播磨に滞在している間に妻と生まれたばかりの子供を亡くした。
藤原敏次(ふじわらの としつぐ)
声 - 福山潤[16]
陰陽生の中でも筆頭の実力を持っている青年で昌浩の3つ上の先輩。作者から付けられた愛称は「とっしー」。見鬼の才は持っていないが、厳しい修行を重ねており、昌浩の相を言い当てたことがある。生真面目だが融通がきかず、一時期誤解から昌浩に嫌味攻撃を仕掛けたことがあったが、昌浩が真面目に仕事をこなすようになってからは、気を配ったり世話を焼いたりしている。そのため、昌浩からは尊敬されているが、もっくんは癪に障っている様子で、見えないのをいいことに回し蹴り攻撃を受けたり罵詈雑言を叩きつけられたりしている。修行の成果により、十二神将の気配を感じ取ることは出来るが、見鬼の才がないので声を聞いたり姿を見たりすることはできない。
風音編で自分を身を挺して守ってくれた天一に想いを寄せ「天女の君」と呼んでいる。
籠目編で冤罪を着せられた昌浩を救おうと尽力。結果無事に冤罪は晴れる。昌浩が帰京する前の秋に試験に及第し、最年少で陰陽得業生となった[22]
脩子内親王(ながこないしんのう)
声 - 谷井あすか
一条天皇(声:羽多野渉)と中宮(後に皇后)定子(声:斉木美帆)の間に生まれた御年5歳(満4歳)の第一皇女。籠目編四巻で数え6歳になる。尸櫻編で数え8歳、のちに9歳。彰子にはおよばないが「見鬼の才」の持ち主である。また天照大御神の分御霊であるため、実に鋭い着眼点を持った聡明な皇女。
弟である敦康親王に両親の愛情を奪われたと感じ寂しい思いをしていたところを、女房として潜入した風音に利用され黄泉の瘴穴を開いてしまう。瘴穴の中で、昌浩の説得で母が自分をどんなに心配しているかを知り、帰る決意をする。内裏に戻された脩子は母の暖かい胸に抱かれるが、それまでの風音らに関する記憶を消されていた。
玉依編にて、内裏の異変や自分に付くようになった女房「阿曇(あずみ)」に底知れぬ恐怖を覚え眠れぬ夜を過ごし、消された記憶の中に朧に浮かぶ者たちに心の中で助けを求め続けていた。駆け付けた風音の姿を見て記憶が甦る。鴉である嵬が喋ることに最初は驚いたものの、すぐに打ち解けて嵬を抱いて眠るようになった。天照大御神の神勅により、伊勢に向かうことになる。(表向きは母定子の病臥回復祈願のため賀茂社に向かったことになっている。)
思いがけず母の死を知ってしまい、偶然現われた黄泉の葬列に魂を連れ去られてしまう。その後冥府の官吏や斎の手で母が妹と自分の代わりになって亡くなったことを知り、戻ってくる。
帰京後は宮中に戻らず、母が最後の日々を過ごした竹三条宮で暮らしている。弟妹は章子に託している。彰子が女房として仕える許しを求めてきた際、母に似ている彰子が父に見初められないよう、帝の前にも殿上人の前にも出てはならないという条件をつけた。
当てもの勝負の第三試合で、花吹雪を出したのは成親ではなく昌浩だとただ一人見抜く。何かあった時にいつでも頼れる陰陽師を欲していたため、父に頼んで昌浩を専属の陰陽師にした[23]
一条天皇(いちじょうてんのう)
声 - 羽多野渉
今上の帝。脩子内親王、敦康親王媄子内親王の父。皇后は定子、中宮は章子。ほかに女御が3人いる。母は道長の姉で東三条院藤原詮子。母は怖い。
定子をとにかく寵愛し、愛情は子供たちよりも定子に向いている。定子が子内親王の懐妊中に病臥し、段々と弱っていったのでどんな手を使ってでも助けようとしている。それゆえに伊周が紹介した播磨陰陽師の言うことを信じ、占に現れた昌浩を「定子を呪詛し、公任を刺した張本人」として処刑を命じる。さらに道長と章子が自分を欺いていると思い込み、徹底的に避けた。
定子を寵愛するあまり、正体の知れない声に生まれる子どもの命を渡そうとしてしまう。その後回復して参内した公任の言葉と道長が持参した吉昌の文で真実を知り、昌浩や道長、章子への疑いを解いた。昌浩に対しては「許せ」と行成に言付け、陰陽生としてただちに参内するようにと勅許を下した。
こよなく寵愛した定子を失ったあと、面影を宿した御匣殿(定子の妹)を寵愛。御匣殿は懐妊するも、出産前に亡くなった。その前に定子と母東三条院を立て続けに亡くしており、ショックで尸櫻編では臥せりがちになっている。
藤原定子(ふじわらの さだこ)
声 - 斉木美帆
一条天皇の中宮、のちに皇后。脩子内親王、敦康親王、子内親王の母。伊周の妹。妹に御匣殿、東宮妃原子がいる。彰子からみて従姉に当たる。
帝からこよなく愛され、三子を授かる。帝のことを深く愛し、子供たちのことも深く愛している。だが帝が自分に向ける愛情ゆえに道を誤ることを恐れている。
長徳の変で兄弟が検非違使に囚われたのを見てショックを受け、落飾してしまう。その後望まれて還俗し、変わらず寵愛を受ける。
少納言という女房がいて、この女房は定子に陶酔しているらしい。
第三子懐妊後から病を得て病臥することが増え、ついに竹三条宮に宿下がりする。しかし病状は悪化し、籠目編四巻の師走望月の晩に難産の末子内親王を出産する。その翌日の寅の刻に呪詛をかけられた子供を救う身代わりとなって亡くなった。この姫宮は生まれてすぐに産声を上げなかったため周囲を恐慌状態に陥らせた。死後、敦康親王と子内親王は、万が一を頼んでいた妹の御匣殿が預かる。息を引き取る直前、脩子内親王に彼女の弟妹を託した。敦康親王と子内親王は、御匣殿の死後、章子に養育される。

人外の者

高淤の神(たかおのかみ)
声 - 田中敦子
貴船の祭神、漆黒の髪と瑠璃の双眸の人身を取ることもできるが、本性は巨大な白銀の龍神で、女神である。都の北方守護を司る天津神で、日本において五本の指に入る程の神格を持つ。正式な名前は(たかおかみのかみ)。昌浩には自分を「高淤(たかお)」と呼ぶことを許している。弟神である道反大神の守護妖たちには「闇淤(くらお)」と呼ばれていた。
「窮奇」一味に封じられていたが、そこから己を解き放った昌浩をいたく気に入り、時折昌浩に憑依しては気まぐれながらも情報を与え、その見返りとして厄介ごとを昌浩に押しつけることがある。「見返りに何を要求してくるか分からない」から晴明になにかをやらせることはあまりない。
天狐の晶霞は数少ない友人の一人だった。
雑鬼(ざっき)
声 - 坂巻亮侑/成家義哉/池添たかし/又吉愛
都に住んでいるイタズラ好きな妖怪たち。毎晩、夜警に出ている昌浩を見つけては仲間達で「孫!」と呼びかけ、潰していく(これを一日一潰れという)。もっくんや他の神将達は、いつも潰れを回避しているが、昌浩が見鬼の才を失った時には「見えないやつを潰すのは仁義が通らない」と言ってもっくんを潰した。昌浩が信頼するに値する陰陽師と認めてからは潰していない。
猿鬼(えんき)/ 一つ鬼(ひとつき)/ 竜鬼(たつき)
声 - 伊丸岡篤/大黒優美子/寺田はるひ
3匹は「お姫」こと彰子に名前をつけてもらった。彰子のことが大好きなようでよく屋敷を訪ねてくる。番外編では正月の間、姿を隠さなくてはいけなくなった彰子のために無人の邸を昌浩と一緒に掃除したりと、気前はいいほうである。いつも自分はなにもできないと悲しげに表情を浮かべた彰子に対し「待つのがお姫の仕事じゃないか」と言い、勇気付けたこともある。通称ざっきーズ。
颯峰編で彰子がさびしがっていると思い、白虎に頼んで伊勢に連れて行ってもらう。以降、そこで出会った脩子の遊び相手になっている。寒いのでよく脩子の茵に入り込んでいるらしい。
車之輔(くるまのすけ)
声 - 小西克幸[24]
車の妖怪で、見てくれは大きく妖力は強いものの、気が弱くて優しい性格をしており、初めて出会ったときはもっくんに活を入れられるほどだった。夜歩きが趣味で、夜警に出ていた昌浩とたまたま遭遇して驚いて逃げてしまい、昌浩も条件反射でそれを追いかけてしまったことから知り合いになった経緯がある。その出会い以来、幾度となく昌浩の移動の「足」となっている。
言葉はしゃべれず、昌浩とは轅を振ったり車輪についている顔の表情で表したりして意思疎通を図っているが、もっくんに通訳してもらうことも多い。
番外編第1巻で「いつも乗せてくれるから、そのお礼として自分の式にならないか」という昌浩の誘いで昌浩の式となる。一人称は「やつがれ」。昌浩を主人として大事に思っている。また昌浩と同様に優しい笑みをかけてくれる彰子に対しても、「大切なお方」と感じている。
籠目編では十二神将を阻む壁のせいで都から脱出できなかった昌浩を、命がけで脱出させる。その後昌親に頼まれ内裏の様子を伝えていた。のちに昌浩に夢殿へ呼ばれ、ようやく直接意思疎通ができるようになった。
冥府の官吏(めいふのかんり)
声 - 谷山紀章[24]
三途の川の警護をしている官吏で、その正体は同作者の作品『篁破幻草子』の主人公「小野篁」。端整で精悍な面差しであり、史実では紅蓮と同じ身長らしい[25]。外見年齢は20代半ば。常に墨染の狩衣を纏う。気配を消して夜の闇に乗じて現れるため、晴明曰く「神出鬼没とはこの男のためにある言葉」とか。
若菜の強情さを気に入り、冥府の理を曲げて彼女が川岸に留まる事を許し、代わりに年の瀬に現世に帰ることを禁止した。若菜が昌浩を現世に帰したり、川岸に来た晴明を現世に帰すところを見てみぬふりをする。
性格は傲岸不遜で、過去に晴明や十二神将といろいろあったらしく、神将たちには凄まじく嫌われている。玉依編で、龍脈を鎮めるために五行にあたる神将たち(青龍、朱雀、白虎、天后、勾陣)の神気を根こそぎ奪った。
『少年陰陽師 動画之書 Animation Book』の巻末にある短編集の1つの「鬼夜来」は、《篁破幻草子》シリーズの完結巻に収録されている「終わりなき、それは」の元となったものである。但し、『少年陰陽師』本編では晴明が十二神将を従えた直後から幾度かの接触があるが、「鬼夜来」&「終わりなき、それは」ではその時が昌浩だけでなくもっくんや六合も篁とは初対面、というように設定が異なる。

道反

風音(かざね)
声 - 折笠富美子
道反大神(ちがえしのおおかみ)と道反の巫女の娘である。外見は20歳ぐらいで、その霊力は晴明をもしのぐほど。
30年以上も氷の棺の中で眠り続け、目覚めた時には記憶をすべて失っていた。宗主に「母に懸想した晴明の命により父・斎は騰蛇に殺され、母は晴明に黄泉におとされた」と偽りを教えられ、榎斎が父で晴明らは両親の敵なのだと、信じていた。
その霊力と十二神将に傷を負わせることのできる蠱毒(こどく)の太刀を持ち、晴明と騰蛇に憎しみをぶつける。女房として内裏に入り脩子内親王を利用していた。風音編終盤で六合と心を通わせ、彼の二つ名を知るが、宗主の魔の手により一度その命を落とす。
命を落とした後、彼女の宿体は浄化のため聖域のの宮に、魂は父に願って勾玉に封印され(事実を知らせず)六合へと預けられる。珂神編で宿体を敵に奪われてしまい、命がけの六合がなんとか取り戻すも六合も瀕死に。父神の訴えに応えた出雲の比古神の助けで勾玉の魂を宿体に戻されたが、本来の浄化期間より早く目覚めたリスクを負う事となった。その後、物の怪に変化した状態の騰蛇との対面を果たし、時をかけて赦し合える日が来ることを誓い合う。
玉依編にて、巫女と晴明の提案で出雲を出て京へ来ることになる。その少し前から脩子からの「助けを求める声」を感じていた風音は、女房「雲居」として再び内裏に入り、脩子内親王の伊勢行きへ同行した。
道反の巫女(ちがえしのみこ)
声 - 森沢芙美
道反の大神に仕える巫女で、大神の妻であり、風音の母。晴明に聖域の異変についての調査を願い出る。彼女に心を奪われた斎に連れ去られ、黄泉の封印を守りきるも力尽き、呪縛のかかった氷の中で50数年眠り続けていた。晴明に呪縛を解かれ眠りから覚めるが、風音が命を落としたことを知り悲嘆にくれる。道反大神が風音の魂を封印した勾玉を、最も信頼できる場所として六合に預けた。珂神編では再び訪れた聖域の異変で、再度晴明たちに助力を願った。
嵬(かい)
声 - 竹内順子
風音に付き添う守護妖で人語を操る鴉。風音と同じ頃に生まれた道反の守護妖で、幼い頃から風音の守り役として傍で見守っていた。道反の巫女と風音が行方不明となった50年もの間、彼も眠りにつかされ、目覚めた風音と行動を共にしていた。
宗主によって左側にもう一つ頭を植え付けられ双頭の鴉となる。双頭となって以降、左の頭(宗主)の目があり言葉を発する事が出来なかった。宗主は左の頭を通して風音に言葉を伝えていた。最後まで風音を守り、宗主の魔の手によりその命を落とすが、道反大神により黄泉に落ちた魂を救われ、蘇生される。
玉依編では出雲を出た風音を追い、都へやって来たものの行き倒れてしまう。通りかかった雑鬼たちにより安倍の屋敷に運び込まれ、雑鬼達との一悶着の後に風音の元へと向かった。その後は脩子の護衛も兼ねて子守りをしている。智鋪の宮司によって氷柱に封じられた頃の風音と同じくらいの脩子が、険しい表情をして必死に耐えている姿を不憫に思っている。
風音と相思相愛である六合のことが気に入らず、何かと反発している。
颯峰編では文の届け役として安倍邸に滞在しており、夢の中で外法に同調しようとした昌浩を引き戻したり、昌浩にしばしば助言するなど活躍を見せた。その後籠目編では伊勢に戻っている。
守護妖(しゅごよう)
百足(声 - 平井啓二)、大蜘蛛(声 - 福原耕平)、大蜥蜴(声 - 大須賀純
道反の聖域を守る存在で、大蜘蛛、大百足、大蜥蜴のこと。体躯は巨大ではあるが、優しい性格をしている。主である道反大神の姉神である高於の神とも古い知り合い。何度か昌浩の前に姿を現し、来るべき災厄についての助言などを与えていた。
それぞれに名前があるが、この名前は道反の大神が与えた名前で大神以外は口にすることは許されていない。それぞれ「(すい)」・「巌(げん、大蜘蛛)」・「崟(ぎん)」という名前である。
大蜘蛛の名前は道反の大神だけでなく、風音も知っている。大蜘蛛は風音にも呼んでもらいたいということで教えたという。
風音編で、大蜘蛛は風音が開いた黄泉の瘴穴を命がけで封じ込め命を落としてしまうが、後に道反大神によって復活を遂げる。
嵬と同じく風音と相思相愛である六合のことが気に食わないため、道反を訪れる六合に殺気に近い眼差しを向けたり、風音の目を盗んで無理な戦いを挑んだりすることがある。

各編登場人物

窮奇編

窮奇(きゅうき)
声 - 若本規夫
異邦の大妖怪。九尾の狐との戦いに敗れて、配下と共に日本へと逃げ延びてきた。自身の霊力を回復させるために高い霊力を持つ彰子を狙い、昌浩と対峙する。自身の力を回復するためには配下すら取り込んでしまうほどの残虐性を持つ。
藤原圭子(ふじわらの けいこ)
声 - 伊藤静
彰子の遠縁で、同じく藤原の姫君。結婚を誓い合った男性を他の公家の姫に奪われ、悲しみのあまり床に伏せってしまう。その悲しみを窮奇の部下につけこまれ、彰子を捕らえるための道具にされてしまうが、呪詛が完成する直前に昌浩と晴明に救われる。
窮奇の配下達
鶚(がく)
声 - 望月健一
(しゅん)
声 - 小伏伸之
元神仙。貴船にて捉えた彰子の手首に、生涯消えず癒えない呪詛を刻み付けた2羽の鳥妖。高神復活時には昌浩に、鶚は紅蓮に倒された。
土螻(どろう)
声 - 杉崎亮
のような姿に、尖った四本の角を持つ。窮奇と決着をつけるために巨椋池にやってきた昌浩達を迎え撃つが、紅蓮と六合によって他の配下とともに全滅する。

風音編

斎(えのき りゅうさい)
声 - 諏訪部順一
晴明の友人で陰陽師。四国出身。
50数年前道反の聖域に晴明と共に向かった際、道反の巫女に心を奪われる。恋焦がれる余り黄泉の封印を砕こうとする智鋪の宗主の言葉に耳を貸してしまい、巫女を聖域から連れ出した上、瘴穴を穿ってしまう。
縛魂の術」という心を操る術を得意とし、騰蛇に十二神将の理を犯させた。後に騰蛇の手により命を奪われ、巫女への妄執を残したまま、体は宗主の器にされてしまっていた。
玉依編第4巻にて、自身の傷が生み出す闇に堕ちかけた昌浩の夢に現れ、彼の心の傷を塞ぎ励ました。誰と問われても答えなかった。昌浩は、本来の彼は太陽のようであったからその人柄に祖父は惹かれたのかもしれない、と思った。その後籠目編でも再会し、昌浩を助ける。
現在は償いになると言われ、冥府の官吏の下で夢殿にいる。
智鋪の宗主(ちしきのそうしゅ)
声 - 中尾隆聖
「智鋪の宮司」ともいう。智鋪は道敷(ちしき)につながり、黄泉の国の神を示す。智鋪地神(ちしきのちのかみ)を崇め、地上を根の国の属国にすることが目的。人の心を操り現世に瘴穴を開かせる。
50数年前にも黄泉の封印を破ろうとし、晴明に追い詰められて崖から転落、死んだと思われていたが、体を離れた魂のみ死人となった斎の体に憑依し生き続けてきた。
道反の巫女を封じ込め、風音を操って晴明と騰蛇を狙うとともに再び黄泉の封印を解こうと目論むが、風音の死に激昂した六合の銀槍によって倒される。
穂積諸尚(ほづみのもろなお)
声 - 飯島肇
風音の蛇血の反魂術によって黄泉から呼び戻された怨霊。策略によって自分を大宰府に左遷した行成の祖父を深く恨んでおり、蔵人頭の行成を別人と認識しないまま襲う。たまたま遭遇した藤原敏次に憑依して怨呪の玉を持ち出し行成呪殺を目論むが、昌浩によって倒される。
防人(さきもり)
声 - 中博史
穂積諸尚を蘇らせるため行った風音の反魂術の余波を受けて現世に呼び戻される。防人の任について帰郷を果たすことなく大宰府で死んだ男の魂で、黄泉に戻そうとする風音に追われていたが、高淤の神によって昌浩の身の内にかくまわれる。最後は昌浩の送魂によって、家族との再会を果たし浄化された。
屍鬼(しき)
風音が縛魂の術を使うとの同時に紅蓮に身のうちに入り込ませた黄泉の鬼。生きている者の命の灯火を嫌い、嬲り殺す事を楽しむ。昌浩に瀕死の重傷を負わせるものの、紅蓮の血で千引磐を砕く直前に昌浩によって倒される。

天狐編

藤原章子(ふじわらの しょうこ)
声 - 小林沙苗
彰子と同い年の異母姉妹であり、同じ日に生まれた瓜二つの容姿を持つ少女で、見鬼の才はない。彰子の身代わりとして入内したが、「章子」ではなく「彰子」として過ごす宮廷生活に苦しみ疲れていた時、自分の正体を知りながら助けてくれた昌浩に想いを寄せる。凌壽に「どうして自分が彰子の身代わりに入内しなければならないのか」「どうして彰子は昌浩の側にいるのか」という嫉妬に付け入られて襲われるが、昌浩に助けられ彼の彰子への想いを知り、思いを断ち切った。自分の本当の名の音で、「彰子(しょうこ)」と呼んでくれた一条天皇と人生を歩むこととなる。
尸櫻編では成長したことで大人の女性になり、また御匣殿の死後から敦康親王と子内親王を養育していることで本来の優しさが磨かれ、帝との仲も睦まじい。彰子とそっくりだった顔立ちは、今では似ている程度でそっくりとまでは言えないらしい。
晶霞(しょうか)
声 - 矢島晶子
神にも通ずると言われる妖怪・天孤(てんこ、あまきつねとも読む)。少女のような外見であるが、晴明の母親。内に秘めた能力は相当なもので、一族最強と謳われていた。高淤とは古くからの親友。
凌壽が九尾と手を組んで他の仲間達を襲った時に、自らも深手を負わされる。両親の命と引き換えに助け出され、命からがら海を超えて都へとやってきた。倒れていたところを人間の男性に救われ、葛の葉と名付けられる。晴明を授かった後、彼を凌壽から守る為に姿を消し、あちこちを転々としながら身を潜めていた。
最後は凌壽を倒すという目的を果たしたため、晴明の延命のために自らの天珠を授け、高淤の神に「晴明に母と呼ばれた」と満足しながら土へと還っていく。
凌壽(りょうじゅ)
声 - 檜山修之
天孤族の末裔で、天狐族には見られない漆黒の髪と目をしている。安穏とした天狐族の生活を嫌い、一族を裏切り九尾に手を貸した。姉である晶霞の天珠を狙い、晴明たちを使って晶霞をおびき寄せる。最後には晶霞によって倒される。
青龍を圧倒する等、高い妖力を持つ。
丞按(じょうあん)
声 - 立木文彦
凌壽に手を貸す怪僧。その正体は、藤原兼家に使えていた術師一族の生き残りで、幼い頃に自らを残して滅ぼされた一族の敵を討つため、藤原一族に復讐しようと目論む(初登場は短編集第2巻の「玄の幻妖を討て」)。
名乗っている「丞按」というのは自らの名前ではなく、幼くして殺された自分の弟妹の名前(弟の丞 <たすく>と妹の按莉 <あんり>)を組み合わせたもの。
一族が長い間封印していた妖怪・羅刹鳥の力を自らに取り込んだため、十二神将すらも押さえ込めてしまうほどの力を有している。
傲狼(ごうろう)
声 - 斉藤隆史
記憶を遡らせる事ができ、人々の諍いを楽しむ異邦の妖異。かつて晶霞によって封じ込められるが、晶霞をおびき出す駒として凌濤に解放される。海を根城として配下の妖獣に村を襲わせる。紅蓮と対峙した折に、紅蓮の隙を付いて記憶を遡らせるが、逆にそれが仇となり返り討ちにあって重傷を負い、逃れた先で晶霞によって止めを刺される。
羅刹(らせつ)
翼を広げると三丈にもなる巨大な黒鳥で、腹部が異様に膨れ上がった鶴のような姿をしている。羅刹鳥とも言う。自身より一回り小さい雛鳥を多数放って使役し、羅刹自身はあまり表には出てこない。丞按の一族が甕に封じて大陸に持ち込んだ妖怪で、惨殺された一族の復讐の為に丞按が体内に取り込んだ。後に、中宮章子を取り込んで藤原一族を襲うが十二神将に阻まれて昌浩と紅蓮に倒される。

珂神編

珂神比古(かがみひこ)
八岐大蛇(やまたのおろち)の力を借りてこの国の王となろうとする一族の長。本心では八岐大蛇や荒魂(あらみたま)に恐怖心を抱いている。年齢は昌浩の1歳上。
「珂神比古」は代々の長が継ぐ名で、彼自身の本名は「瑩祗比古(あつみひこ)」。その名前を真鉄が呼んでしまったために不完全になったと、真赭に思われていた。
川に流されていた昌浩と敵同士として再会し、心のうちをさらけ出す。荒魂を止めようとしたが、何者かに殺されたもゆらの亡骸に勾陣の筆架叉が刺さっていたことが引き金となり、「八岐大蛇荒魂の九番目の頭、珂神比古」へと変貌する。しかし、たゆらの中に入り込んでいたもゆらが比古の本当の名前を叫んだことにより正気を取り戻した。
真鉄が次の「珂神比古」に選ばれたことで、たゆらと共に生き残ることになった。
たゆら
灰黒の毛並みを持つ狼。双子の弟・もゆらとは違ってしっかりしている。もゆらが殺されたことにより変貌した珂神と、もゆらの死を何とも思わない母に不信感を抱き始め、魂となりたゆらの体の中に入り込んだもゆらと言葉を交わしたことにより、彰子と共に逃亡を図る。
比古と共に生き残った後、黒い毛並みは少し色味が薄れていた。
もゆら
たゆらの双子の弟で、灰白の毛並みを持つ狼。甘えん坊な性格で、珂神に対して親友のように振舞うため、皆からしょっちゅう怒られている。彰子をさらうが仲が良くなる。何者かに襲われ命を落とし、魂だけはたゆらの体へと入り込んでいた。
自分を見つけた彰子を介してたゆらと言葉を交わし、たゆらと彰子に逃げるように促す。もゆら自身は、不明確ではあるが真鉄(魑魅がその姿を取っていた)に殺されたことはわかっていた。比古の正気を取り戻し、荒魂を止めようと真鉄と合流する。次の「珂神比古」に選ばれた真鉄と共にいることを選び、土砂の中へと消える。
真鉄(まがね)
たゆら、もゆらと共に道反の聖域を襲い、呪物とされる八岐大蛇の鱗と風音の亡骸を奪った術師。離魂の術を用いて風音の亡骸に自分の魂を定着させたり、晴明が張った結界や術を簡単に破るほどの力を持っている。珂神が生まれるまでは、彼が次代の一族の長であるとされていたが、珂神が生まれたあとは、彼に付き従うようになった。
両親同士の付き合いが深く、珂神の母からは深い信頼を得ていて、珂神の本名を唯一知っていた。
比古が正気に戻ったことにより彼は次の「珂神比古」に選ばれるが、自分達が神ではなく妖としての八岐大蛇を祀らされていたことを知り、自らの命を持って八岐大蛇を根の国へ送り、比古とたゆらを生かすことを選ぶ。
真赭(ますほ)
たゆらともゆらの母親で、赤い毛並みを持つ狼。自分にも他者にも厳しい性格。魑魅(すだま)を作る力を持っている。比古の両親に仕えていて比古の母とはとても仲がよく、ふたりの懐妊時期は一緒だった。忠誠心が強く、「王に従っていれば何も間違いはない」とまで断言できるほど強かった。
かなり冷酷で、もゆらのことも「死んだことでようやく役に立った」と冷酷な言葉を投げつける。覚醒前の珂神比古のことも「不完全なできそこない」と思っていた。実は十四年前に真赭は殺され、別な誰かが魑魅によって作ったものが体に入っていた。
道反大神(ちがえしのおおかみ)
道反の巫女の夫にして風音の父親、高淤の神の弟でもある。天津神であり黄泉の軍勢を阻む任を持つ。道反の巫女の力を媒介にして姿を見せるため、巫女が不在だった間は姿を見せることも声を伝えることも出来ず、沈黙せざるを得えなかった。人身を取る時の姿は二十代後半で、浅黒い肌と生成りの衣姿が特徴的。風音と相思相愛の六合に対しては、少々大人気ない態度を取ったりしている。
山の比古神(やまのひこがみ)
正確には出雲の地にいるたくさんの比古神のうちのひとり。本来は天津神とは関わりを持たない国津神であり、多くの比古神が不可侵を守り沈黙する中、道反大神の必死の願いを聞き届け、六合と風音の宿体を救い出す。2人の様子と六合の勾玉に道反大神の願いの真意を見出し、その力で勾玉の魂を宿体に戻す。
その後短編集[26]において、借りを風音を自分の妻にすることで返せと言ってきた。風音の美貌と矜持に魅かれたらしいが、妻帯者であることや、その傲慢な態度から道反大神や守護妖たちから反対に遭う。風音の直接の拒絶と、彼女を追って来た六合から「申し出を取り下げろ」と刃を向けられ、しぶしぶ引き下がる。

玉依編

阿曇(あずみ)
脩子付きの女房。今内裏に出没する神将のような出で立ちの「白い女」であり、道反大神の娘である風音と互角に渡り合う力を有する。天御中主神の使いであり、玉依姫・斎の守役である。脩子に対して冷たく接する一方で、斎のことを心から大切に思っており、「斎様をお守りするためならばいくらでも咎を負う」と発言する。水気を操る。
斎(いつき)
物忌として玉依姫に仕えている少女。玉依姫の娘で父親は磯辺守直。神の声を聞く力もなく、母を狂わせてしまった自らの命を罪と思っている。玉依姫を思うあまり、天御中主神に背いても、玉依姫に死の安寧を与えようと決意する。
本当は、昌浩や昌親の抱える傷を視ることができるなど力を持つが、度会の者たちに日々呪いの言葉を掛けられ、力に気付くことができなくなっていた。玉依姫が神に還った後、次代の玉依姫となった。安曇や益荒とは今迄通りと変わらないのだが、父・守直が島に移ってきて共に過ごすようになり、お互いに戸惑っている。
益荒(ますら)
阿曇とともに、玉依姫・斎を守る青年。騰蛇と互角の力を有する。斎を心から大切に思っており、斎が潮彌に突き落とされたと知ったときは凄まじい怒りを見せた。冷気を操る。
玉依姫(たまよりひめ)
天地開闢の直後に現われた世界そのものであるという原始の神・天御中主神に仕える巫女。力が弱まり命の灯火が消えつつあり、斎達にはその力が完全に失われれば国が滅ぶと言われている。実は、既に彼女の祈りは天御中主神には届かなくなっている。
伊勢に降りた天照大御神の神勅が捻じ曲げられ、天御中主神を指す「天」が天照大御神だと言葉がすり替えられたことを知り、脩子を伊勢に入れてはならない、一刻も早く海津見宮(わたつみのみや)に連れてくるようにと命じる。精神が危うい状態の昌浩の心を救う手助けをする。
十年前、天御中主神の言葉で岩場に行ったところ、守直と出会い恋仲となった。禎壬に引き離される。斎を産むことも反対されたが、彼女を産んだ。
斎が五歳の時、斎のことを忘れ、度会のことも忘れてしまう。
斎をかばって地龍の爪を受け、守直との束の間の再会に喜びつつ亡くなる。神の器である巫女の座を自ら降りていた為、肉体は残らず神に還った。
度会 禎壬(わたらい さだとう)
玉依姫に仕える度会氏の長。神の声を聞くことはできない。罪そのものの斎を、生まれた10年前に殺せるものなら殺していたと言い放つ。今の玉依姫は「神」の声を聞くことができないのではないかと疑っている。
度会 潮彌(わたらい しおみ)
禎壬のそばに控える青年。禎壬の妹の子(甥)に当たり、次代の度会氏の長に選ばれている。玉依姫の力が弱まっているのは斎のせいだと思いこみ、彼女を海に突き落とそうとした。
暗殺集団、虚空衆のひとり。
磯辺 守直 (いそべの もりなお)
伊勢神宮の神官。成親くらいの年齢だと思われる。斎宮恭子女王(たかこじょおう。為平親王の娘、一条天皇の従妹にあたる)の身を借りて、天照大御神の神託が下されたことを伝えに来る。天照大御神は天御中主神に仕える巫女神であるという秘密を知る数少ない人物である。
海津島の一件が解決した後、神宮での役目を返上し娘と共に生きるべく島に移り住んだ。ぎこちないながらも、父と娘の時を生き始めている。

颯峰編

颯峰(さやみね)
猿田彦大神を崇める、愛宕の天狗族の青年。総領の一人息子、疾風の守り役。
疾風が失踪したのが、ちょうど昌浩ともっくんが戻った頃だったため、昌浩が疾風をさらった外法師だと思い、四日以内に疾風を戻さないと都を壊すと脅していた。のちに誤解は解け、昌浩を信頼するようになる。
尸櫻編で、急ぎの手紙の配達をしている。
疾風(はやち)
二年前に生まれたばかりの天狗族の長である大天狗の一人息子。
外法により飛べなくなり、翼がもげ落ちそうになっている。
尸櫻編では人型になれるようになった。時々子烏の姿で命の恩人である実経に会いに行っている。
飄舞(ひょうぶ)
疾風のもう一人の守り役。颯峰に「我らの中でも一、二を争う手練」と言わしめるほどの強さを持ち、昌浩に異常なまでの敵意を向ける。
疾風が拉致されたとき、外法師を追って斬り傷を負ったとのことだが、紅蓮は疑いを抱いている。
母親は外法師に孕まされ、気が狂った末に飄舞を産み落として息を引き取った。その時堕ろされるところだったが、伊吹と前総領のおかげで生まれた。前総領は育ての親。
幼少時から実父である外法師に操られ、前総領を殺したり、颯峰の父を殺してその片腕を食らったり、挙句の果てに疾風を外法師に差し出させられかけた。疾風が失踪したのは、外法師から疾風を守るために自らの手で逃がしたため。最終的には外法師に心身ともに乗っ取られるが、今際の際に意識を取り戻し、疾風に向かって手を伸ばしたまま息を引き取った[27]。死後に面は颯峰が譲り受ける。
伊吹(いぶき)
颯峰の伯父で天狗族の実質ナンバー2。過去に現総領の守り役を務め上げ、疾風の養育も任されている。隻腕であるが、飄舞と十二神将最強の紅蓮を一発で黙らせるほどの実力者。
外法師に妻ともう少しで生まれるはずだった赤子を奪われ、片腕を引き換えに仇をとった。
外法師(げほうし)
元は行者だったのだが、肝心の霊力に恵まれずに自暴自棄になって愛宕山へ入ったところを天狗に発見され、客人としてもてなされる。その後、天狗の面を授かる。
だが、力を欲するあまり天狗の女子供を襲って食らい、片腕を犠牲にした伊吹に討たれる。だが、実は伊吹の腕を食らって生き延びていた。
人界に下りていた天狗の女子を襲い、飄舞を孕ませる。

籠目編

小野螢(おのの ほたる)
播磨陰陽師、神祓衆の長の娘。篁破幻草子の主人公小野篁の子孫。現影(みかげ)は夕霧。
晴明の父益材が、天孤の晶霞と結婚する代償に子孫を神祓衆と娶らせるという約定を果たしに来た。要は昌浩の婚約者。
昌浩と同い年で月足らずで生まれたため少し体が小さい。だが霊力は、颯峰編で痛めた紅蓮の喉を治せるほど。次期の長と目された兄の時守も凌いだため、彼女を長にという声もあった。
年の瀬の冬に生まれ、螢火のような燐光に包まれて生まれたため、螢と名付けられた。その出産で母は亡くなり、父は現影が父に向けられた呪詛を受け止めきれずに死亡したことで弱り亡くなった。
ときどきふらりと篁がやってきて、世間話をするらしい[28]
時守が安倍邸を訪ねる前夜に夕霧が不審な行動を取ったため後をつけ、夕霧に背中に右肩から斜めに傷を負わされた[29]。この際死にはぐれたために霊力が格段に上がったが、命を削った代わりに得たので体が弱っている[30]
時守を兄様(あにさま)と呼んで慕っていたが、憎まれていたと知って絶望した。何度も兄に殺されそうになっていたが覚えていなかった。
決着がついた後、夏に生まれる兄の子を義姉(時守の婚約者)と夕霧の三人で育て、次代の長にすると決めた。
尸櫻編で、3歳の甥時遠(ときとお)を育てている。外見は15歳の頃とさほど変化していないが、これは肉体の時をゆるやかにすることで出来るだけ寿命を延ばそうとする苦肉の策。寿命を延ばすため霊力は使っていない。体術は手加減なしで昌浩に勝てるらしい。
藤原伊周(ふじわらの これちか)
皇后定子の兄。長徳の変で大宰府に流されたが、のちに許され帰京する。
流罪になった際世話になった神祓衆を帝に紹介し、定子に呪詛が行われているかを占わせた。神祓衆の氷知(名乗らないため便宜上播磨と呼んでいる)を抱えている。
藤原公任(ふじわらの きんとう)
従三位の少納言。父の頼忠の代にはよく晴明に護符を頼みに来ていた。
晴明に頼みがあり昌浩と話をするために塗籠で二人きりになったところ何者かに腹を刺され、半月もの間生死の境をさまよった。
夕霧(ゆうぎり)
白い髪、赤い瞳を持つ、螢の現影。螢とは四歳違い。
螢の成人後から時守との仲が険悪になる。時守が上京する前夜二人で会い、そこに来た螢に刀傷を負わせて逃走した。そのため現影ではなくなった。
川に落ちた螢を助け、駆け付けた昌浩に対し「螢に欠片でも情があるなら播磨の里に近づくな」「螢に自分のことを話すな」と言う。
螢のことを案じ、螢が約定によって結婚させられるのを忌んでいる。時守が妹の螢を憎んでいることを唯一知っていた。
決着がついたのち、夏に生まれる時守の子を、時守の婚約者と螢の三人で育てることになる。
小野時守(おのの ときもり)
螢の兄。現影は氷知(ひじり)。神祓衆次期長と目されていたが夕霧に殺害された(と思われていたが、実際にとどめを刺したのは自分で喉を切ったため)。
霊力は螢に及ばないがかなり高い。家の風習で螢とは別々に暮らしていたが可愛がっていた。が、本心では螢を憎んでいた。
螢が誕生した日に牛を見に行ってそこでに出会い、螢に全てを奪われると予言される。そのため螢を何度も殺そうとしていた。しかし昌浩を迎えに行く前に改心し、螢の夫になる者(昌浩)を見定めてくると、初めて螢に心からの言葉を口にした。その直後再び件によって螢に何もかもを奪われると予言され、螢を殺すために氷知に命じて自分を神に祀りあげさせた。
帰郷後は支えになった娘との結婚が決まっていた(夏には子供が生まれる)。
氷知(ひじり)
時守の現影。夕霧と同じく白い髪に赤い瞳。時守の死で主を失った。
時守の命令に従い、時守を神に祀りあげた。その後伊周のもとに派遣する陰陽師に立候補して上京し、占を行った。
決着がついたのち、螢から時守の子を生涯懸けて守り抜くよう命じられた。

尸櫻編

屍(むくろ)
昌浩らが迷い込んだ桜の森にいた少年。共にいる咲光映を守り、彼女の望みを叶えることが彼にとって最も重要。
咲光映と同郷で、両親は盗みを働いたために里を追放され、赤ん坊だった彼は置き去りにされ、遠縁にあたる老婆に8歳まで養育される。老婆は禁厭を使う一族の子孫だったため、彼は様々な術を教わった。
老婆が亡くなってから五年後、桜の枝を望んでいた咲光映と出会う。しばらくして咲光映が森の魔物に襲われ、介抱していたところを里人に咲光映を襲っていると誤解され、追放処分を受けそうになる。咲光映の懇願で引き続き里に住むことが叶うが、名前を奪われて「屍」と呼ばれるようになった。
尸櫻の生贄に選ばれた咲光映を救おうとする。
咲光映(さきはや)
屍と共にいる、白い衣をまとった少女[31]。屍と同郷で、里長の姫。尸櫻に魅入られた梓を元の世界に帰してくれと屍に頼み、帰してもらった。
森の桜の枝を取ろうとしているときに屍と出会い、屍が桜の木に頼んで枝を落としてもらった。魔物に襲われたときの里人の誤解で屍が追放されそうになったのを長に懇願して取り下げさせる。
その後尸櫻への生贄に選ばれ、本人は「遠い国に嫁ぐことになった」と屍に別れを告げる。その後生贄に捧げられたところを屍に救われる。

ゲーム,外伝

翼よいま、天(そら)へ還れ

鳴蛇(めいだ)
声 - 速水奨
異国から渡来してきた青年。冷静沈着かつ、普段は穏やかな物腰だが、内面には冷酷さを秘めている。本性は山海経にも出ている妖。
越影(えつえい)
声 - 水島大宙
同じく異国から渡来。寡黙で慎重な性格。どこか儚げな雰囲気を持つ。長く癖のない銀髪をもつ青年の姿を取るが、本性は黒い毛並みの天馬(たてがみは銀)。昌浩が持っていた伽羅の匂い袋(彰子が作ったもの)の香りがきっかけで正気に戻り、嶺奇が作った異界に乗り込んできた昌浩たちをかばって平安京へ運び、命を落とす。自分達が嶺奇に操られた経緯と「翻羽を元に戻す」という願いを死ぬ間際に昌浩たちに伝えた。
翻羽(ほんう)
声 - 岸尾大輔
鳴蛇、越影と共に異国から渡来。感情の起伏が激しく、考えるよりも体を動かす方が好きな性格。終盤で彼も正気に戻る。また、自分の気に入った者には面倒見の良い面を見せる。黒く短い髪をもつ青年の姿を取るが、本性は銀色の毛並みの天馬でたてがみは黒。
踰輝(ゆき)
声 - 小林沙苗
翻羽の妹で天馬一族の姫。自分が殺された後、嶺奇に操られる可能性があった兄・翻羽と恋人・越影が伽羅の香りをきっかけとして正気に戻れるよう、天馬の最期の力で術を施した。彰子と雰囲気が似ているらしい。
嶺奇(りょうき)
声 - 若本規夫
窮奇の弟。窮奇がかつて自分に施した封印を破るべく、昌浩と彰子を狙う。かつて天馬の一族を襲撃した際、もっとも強力な力を持っていた翻羽の妹を、封印を解くための贄とすべくなぶり殺しにした上、妹を守りきれなかった後悔を抱えた翻羽と妹の恋人だった越影を、傀儡(くぐつ)の術で操って仲間にしていた。その全力は、窮奇でも太刀打ちできないほどに強力なため、ひそかに封印の術が施され、かつ保険として隠し呪詛が仕込まれていたほどである。

脚注

  1. ^ a b c d e 『月刊ニュータイプ 2006年8月号』 角川書店、2006年8月1日発行、53頁、ASIN B000GGRUZQ
  2. ^ 昌浩は生涯この香しか使わなかったと作中に記されている。
  3. ^ あさぎ桜画集「少年陰陽師」収録
  4. ^ 彰子はどのような人かと章子に問われた際の一部「脆い、ひとです」との昌浩の台詞の場面は作者が天狐編を考えはじめたときから書きたかったものの一つ(あとがきより)
  5. ^ 迎えに来た行成と敏次によれば、とても大きくなっていたとのこと。
  6. ^ 敏次や兄たちによれば、落ち着いた話し方なら聞き間違うとのこと。
  7. ^ 「異邦の影をさがし出せ」
  8. ^ 「うつつの夢に鎮めの歌を」内「霧の籬(まがき)を吹き払え」
  9. ^ 吉平は第一試合で晴明と同じ答えを出したため、引き分けとなっている。
  10. ^ 「其はなよ竹の姫のごとく」
  11. ^ 疫鬼を呪詛を見なしたことで呪詛返しが可能となった。結果は成功である。
  12. ^ 暦博士時代は脱走魔で暦生から仕事をしろと度々言われていたが、現在は敏次がいるため真面目に仕事をしている。まだ数える程しか脱走はしていないらしい(物の怪は「数えるほどあるのかよ」と突っ込んだ)。
  13. ^ ドラマCD、ゲームのみ
  14. ^ 成親は赤子の頃からそれを見抜き、自分の息子のどちらかを婿にどうかと持ちかけ、六歳になった現在では本気で検討している。かなりの先物買いをしていると書かれている。
  15. ^ 2006年1月に大谷が休養したため野田が引き継いだ。
  16. ^ a b c d e f g h i 少年陰陽師”. アニメハック. 2023年5月29日閲覧。
  17. ^ 番外編第3巻『思いやれども行くかたもなし』収録の同名短編。
  18. ^ a b TVアニメ&ゲーム&番外編
  19. ^ 玉依編第3巻「刹那の静寂に横たわれ」より
  20. ^ ラジオに出演した際の作者の言による
  21. ^ 年の初めに姫が、終わりに実経が生まれた。
  22. ^ 自慢するようなことではないと、昌浩には言っていなかった。そのため昌浩は竹三条宮の脩子内親王付きの命婦に言われるまで知らなかった。
  23. ^ もっくん曰く、「先物買いだなあ」とのこと。当代の皇女であるため、昌浩にとってもゆるぎない後ろ盾となる。
  24. ^ a b ドラマCDのみ
  25. ^ 文庫本の作者のあとがきなどより
  26. ^ 「思いやれども行くかたもなし」内「それはこの手の中に」
  27. ^ 作者によれば、玉依編で玉依姫が斎のことを見ずに消えてしまったのが読者にとってはたいそう悲しかったらしく、もう少し優しくしようと思った結果とのこと。
  28. ^ 彼女曰く、そんな悪い人ではないと思うとのこと。
  29. ^ これは彼女の体に埋め込まれた蟲が全身に回る前に取り除くため。
  30. ^ 作中で彼女の命はその名のごとく、螢の光のように淡く、雪のように儚いとある。
  31. ^ 梓は物語に出てくる光り輝く衣のようだと思った。



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