家屋の倒壊と陸地の創出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 14:22 UTC 版)
「エルトフェットル」の記事における「家屋の倒壊と陸地の創出」の解説
割れ目火口に近かった家屋は噴火が始まってすぐに溶岩流に飲み込まれ、降下火山灰に押しつぶされ、破壊されてしまった。噴火開始後数日経ってから、卓越風の方向が西に移動し、その結果、膨大なテフラが島の残った部分に降り積もり、 広範囲な地所に損害を引き起こした。非常に多数の家屋が火山灰の重みに耐えかねて押し潰されてしまった。しかし、屋根から火山灰を除かし窓に板を打ち付けるためにボランティアとして集まってくれた人々が、まだのこった家々を壊れないようにし守ってくれた。1月の終わりには、テフラが島の大半を覆ってしまっていた。降り積もった高さは、所によって5 メートル (16 ft)にもなった。降下火山灰以外にも、あるいくつかの家屋は火口から放たれた火山弾の落下を受けるか、前進する溶岩の下敷きになるかして焼け落ち、破壊されてしまった。 2月初頭までには、ひどい火山灰の降下は止んだものの、かわりに溶岩流が重大な損害を及ぼしはじめた。割れ目火口の北方延長上での海底噴火が、アイスランド本土から引いてきている電力ケーブルと水道管本管を切断してしまった。さらに、溶岩流がヘイマエイ島の唯一ある港に流れ込んできていた。この状況は島民にとって非常に重大な心配を引き起こすもととなった - もし、港が溶岩で埋まり使いものにならなくなってしまったら、この島の漁業は立ち行かなくなってしまう。ヘイマエイはアイスランドにおける年間総漁獲量の約4分の1をになっていたので、国全体の経済に与える影響は無視できないほどに大きくなるだろうと考えられた。漁港としての機能を喪失することを防ぐための努力は以下で更に説明する。 溶岩流は島の東岸にも流れて行き、数百軒の家屋を破壊した。結果として面積2平方キロメートル (0.77 sq mi)以上の新しく造られた陸地を島に付けたし、これは後に街の東の一角として利用された。溶岩流は分厚いブロック状のアア溶岩(氷島語:apalhraun)だった。溶岩は平均して高さが40 メートル (130 フィート)で、場所によっては厚さ100 metre (330 ft)に至るまで地面を覆ってしまった。噴火の後しばらくして、殺到した溶岩が水産加工工場1か所を全壊させ、他2か所に損傷を与え、街の発電所を壊滅させた。 街の直ぐ近くで噴火し、また、財産へ広範囲にわたるダメージが発生していたのにもかかわらず、噴火の犠牲者は、薬を盗もうとしてドラッグ・ストアに侵入した1人の男のみである。死因は、有毒な煙を吸い込んだことによる窒息死。ごく少量の有毒ガスを含んだCO2が部分的にテフラで埋もれた建物の中に濃集し、幾人かの他の人々がこれらの建物に入るときに影響を受けた。 ガスが街中に滞留する事によって引き起こされる危険を和らげるために、各種いろいろな努力がなされた。その中には、山から来る有毒ガスを含んだ気流をそらせて街から遠くに除かせるための巨大なテフラ製の壁を建築する事も含まれていた。また、空気よりも重い二酸化炭素ガスを流し込ませて排気できるようにトレンチを掘ることもなされた。しかし、これらの身を守るやり方は、限定的な効果しか持たなかった。なぜなら、彼らは、「ガスは火道で生成されるのだ。そこから街に流れ下る。間違いない!」という思い込みを頭から信じ込んでいたからである。これらはすくなくとも、街にたまったCO2のうちいくらかは、火山のマグマを地上に導く管路の内奥部、深いところに源を発し、古い火山岩にあいている隙間を通って滲みだし、直接に地上に湧き出すのだと思われていた。
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