定義された脳の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 18:44 UTC 版)
森は多くの大学の学生(標本集団である人数には触れられていない)に協力を受け、簡易脳波計を使ってテレビゲーム中の脳波の調査し、脳波の傾向などを以下の4種類に分類した。 ノーマル脳タイプ テレビゲームにほとんど接しない人の脳波とされ、森の簡易脳波計上においてβ波が低下しない。『ゲーム脳の恐怖』の中では、「初めてやることなので、次の動作を考えながら意思決定をおこなうために前頭前野が活動しており、β波の活動が低下しないものと考えられる」としている。 ノーマル脳タイプの人物像としては、被験者のうち一人の学生について「印象として、この人は礼儀正しく、学業成績は普通より上位だった」としている。塾に行く必要のない生徒が多く、学校の授業で先生が話した内容をノートに書き写す授業(攻めの授業)でもノートに書き写さなくても理解できる生徒が多い。 ビジュアル脳タイプ 頻繁に入る視覚情報によって前頭前野を使うことなく手を動かすために、後頭部の中心にある神経回路が強固になっている状態としている。この状態について、森は「前頭前野の脳細胞が働く必要性が減っていくことから、β波の急激な減少が生じるものと考えられる」としている。 ビジュアル脳タイプの人物像としては、「学業成績も普通から上の人が多い。このタイプの人のなかには、某大学で四年間成績がトップで、特待生の人もいた」としている。 半ゲーム脳タイプ 小学校低学年から大学生になるまでに、週に3〜4回、1日に3時間以下テレビゲームに接している人の脳波とされる。森の簡易脳波計上において、ゲームの開始と同時に前頭前野の活動が低下しているとしている。β波はほぼ見られなくなり、β/α値はほぼ0を示す。「後頭部中心の視覚系の回路が強固になっていると思われる」としている。 森は「ゲームを行う前のデータは少ししか計測できていませんが」と前置いたうえで、実験結果から半ゲーム脳を3つのタイプに分けており、そのなかのひとつのタイプについては「少しキレたり、自己ペースといった印象の人が多くなってくる。ゲーム中に声をかけても、"うるさい" 程度の返事しか返ってこないだろう。日常生活において集中性があまりよくなく、もの忘れも多いようだ」と推測を含めた印象を述べている。 ゲーム脳タイプ 小学校入学前、もしくは小学校低学年から大学生になるまでに、週に3〜4回、1日に2〜7時間テレビゲームに接している人の脳波とされ、「前頭前野の脳活動が消失したといっても過言でないほど低下している」としており、これを「視覚系神経回路が強烈に働き、前頭前野の細胞が一気に働かなくなるため」と説明している。 森は、このタイプの者を「キレる人が多いと思われる」と推測しており、「学業成績は普通以下の人が多い傾向。もの忘れは非常に多い人たち。時間感覚がなく、学校も休みがちになる傾向にある」との印象を述べている。またそのうちの一人が、自らを「よくもの忘れするタイプ」と申告していたことについても触れている(これはある被験者自身の主観による申告に過ぎない)。 さらに、「主観かもしれないが」と前置いたうえで、「表情が乏しく、身なりに気を遣わない。気がゆるんだ瞬間の表情は、ボーッとしているような印象で、認知症患者のものと酷似している」と森の主観での印象についても述べている。 その他、「ゲーム脳タイプ」に分類された者の特徴として以下のような分析がなされている。学校の先生の授業の内容についていけず、先生が話した内容をノートに書き写す授業(攻めの授業)では先生の話す速度についていけず、全ての内容をノートに書き写せなかった人も多い。それよりも簡単な先生が黒板に書いた事(受身の授業)をノートに書き写すが内容を理解していなかった生徒も多いらしく、塾へ行って何回も同じ問題を復習しているのに、なかなか理解できない生徒も多い。 授業中に馬鹿騒ぎ等でみんなに迷惑を掛けたり、居眠りをする生徒もいる。また、バトル漫画や対戦格闘ゲームでも言葉遣いの悪いキャラが登場する為、その言葉遣いを真似して、先生に説教されたり、気に入らない友人がいると、ストレス解消の為に面白がって友人の悪口を言う生徒もいる。 運動が苦手な生徒が多く、体育の授業で「疲れたな」と言って担当の先生に説教される。 学校に来ている理由が勉強する為でなく、給食を食べる為という生徒もおり、ちゃんと授業を受けない生徒が、給食の時間になると真面目な顔になり、ご飯一粒残さずに綺麗に完食する。 このタイプ分けが正しいとする前提の元で、実践的に活用された例として埼玉県川口市の市立東本郷小学校で行われた取り組みが挙げられる。この小学校では、森の協力により、保護者の承諾を得られた児童約300人(全児童の約9割)を対象に脳波を測定した。この測定結果をもとに、児童たちをそれぞれ「ノーマル脳」「半ゲーム脳」「ゲーム脳」の3種類に分類し、それぞれのタイプ別に生活の改善指導が行われた。
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