定義とその変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 23:16 UTC 版)
イェール大学のGabrielle Joy Danielsによる2016年の論文ではカンボジア農村社会で月経の貧困(Menstrual Poverty)が新たな貧困の形として、月経への物資の支援の不足や身体的並びに精神的苦痛、周囲の反応への不安などが注目されている。 アメリカではAmerican Women’s Medical Association(アメリカ医学女性協会)によって「生理に関する衛生的な手段や教育が十分に行き届いていない状態を指す」と定義されており、経済的理由だけでなく、教育不足により生理用品にアクセスできない状況も生理の貧困であると定義している。 日本語の「生理の貧困」は「Period Poverty」という英語を和訳したものであり、「経済的な理由で生理用品が買えないことだけではなく、物資にアクセスできない」ことを指す。また、この背景には生理がタブー視されてきた歴史と、男尊女卑の政治・社会構造が影響している。 国際連合女性機関日本事務所長の石川雅恵は、「「生理の貧困」の根源は人権問題であり、女性が衛生的に生活できる環境の確保も、守れらるべき「基本的人権」である」と言う。日本国内での「生理禁忌」の風習は平安時代に溯り、慣習や風習での「生理タブー視」は今でも根強く、悩みを持った女性が声を上げづらい状況、政治の現場に女性が少ない構造につながっている。石川は「世界中の女性が生理期間を安心して過ごせるようになれば、社会的な機会損失がなくなって経済の向上にも寄与する。生理の問題は「社会全体の課題」とすべきだ」といった。 2019年10月19日に、アメリカのNPOが、この日を「National Period Day(生理の日)」と定めた。「生理をタブー視せず、生理のある誰もが生理用品を入手可能にする」こと、つまり「生理の平等化」を求め、全米の各地でデモ行進も行われた。 スコットランドでは、「生理の貧困」との呼び方が「女性のヒューマンライツを損ねる」という声が上がり、「生理の尊厳」(period pride)または「生理の公平」(period equality)という表現に変わりつつある。スコットランド地方議員アリソン・エビソンは、「女性の尊厳を守るために、言葉を変えるという考えに至った」と言った。 貧困層や学生に生理用品を配布しているイギリスのNGO"period poverty.uk"は、Twitterに「真の生理の平等には、生理用品への平等なアクセスと、生理への考え方の社会的変化が必要だ」と投稿した。
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