ていじゅうじりつけん‐こうそう〔テイヂユウジリツケンコウサウ〕【定住自立圏構想】
読み方:ていじゅうじりつけんこうそう
地方から東京など大都市圏への人口流出を抑制するため総務省が推進する施策。平成20年(2008)に「定住自立圏構想推進要綱」を公表。人口5万人程度以上で昼間人口が多い(昼夜間人口比率が1以上)都市が「中心市」となり、生活・経済面で関わりの深い「周辺市町村」と協定を締結し、定住自立圏を形成。中心市が策定する定住自立圏共生ビジョンに沿って、地域全体で、医療・福祉・教育など生活機能の強化、交通・ICTインフラの整備や地域内外の住民の交流、人材育成など人口定住に必要な生活機能の確保に取り組む。
[補説] 山口県下関市、新潟県長岡市など130市が中心市として宣言。116の定住自立圏が形成され、110市が定住自立圏共生ビジョンを策定している(平成29年3月現在)。
定住自立圏構想
安心して暮らせる地域づくりを通して地方の魅力を高めることができれば、東京圏への人口流出を防ぎ、地方への人の流れを創出することができます。また地方分権化やライフスタイルの多様化といった時代の要請にこたえることもできる、というわけです。
具体的には、ブロードバンド回線など情報通信技術を導入することで、中心市に集中する機能(総合病院や大型ショッピングセンターなど)を周辺都市で積極活用できる環境を整えます。また中心市と周辺市町村が相互連携することにより、周辺市町村で生産する農産物のロット拡大や地域ブランド化を図りやすくします。
とりわけブロードバンド基盤の構築は、若者の定住や企業誘致に不可欠の要素といえます。ブロードバンドは光回線を中心に、NTTグループやKDDIをはじめ、関西電力100%出資のケイ・オプティコムといった電力系などの民間事業者がその普及に力を入れています。総務省の調査によると、ブロードバンドサービスが提供されていないブロードバンド・ゼロ地域は全国に25町村(07年3月末、前年末は40町村)あり、ゼロ地域の解消に向けて、民間事業者の役割は重要です。
総務省は「定住自立圏構想」を推進するため、有識者によるアドバイザリーボードを設置して先行実施地域の取り組み状況を調査・研究、課題を洗い出します。また全国で市町村長を集めた会議を開催して地方の理解を深めたり、構想実現のツールとなる遠隔医療や遠隔教育、テレワークなどを活用できるブロードバンド環境を整備したりします。同省は09年度予算概算要求に約160億円を盛り込んでいます。
構想を実現し地域活性化を図るには、人口の大都市への流出を防ぐことがカギです。そのためには地場産業の振興や企業を誘致し雇用の確保を図ることが重要で、こうした課題は官民挙げて取り組む必要があるでしょう。
(掲載日:2008/09/25)
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