概算要求(がいさんようきゅうきじゅん)
各省庁は、行政運営に必要な次年度予算を獲得するため、概算要求書を作成して財務大臣に提出する。概算要求には、次年度に実行される施策とその必要経費を盛り込む。
国の予算を編成する権限は、憲法で内閣に与えられている。そこで、内閣府にある経済財政諮問会議が予算編成の基本方針を打ち出し、閣議で概算要求基準(シーリング)を了解することになっている。この基準に沿って作成された各省庁からの概算要求は、すべて財務大臣に提出され、財務省が予算編成の事務(ヒアリングと査定)にあたる。
概算要求は、毎年8月末日が提出の締め切りとなっているため、この時期は次年度に予定されている施策が次々と明らかになる。ただし、財務省主計局の査定を受け、政府予算案となっている段階では変更の余地が残されている。結局、通常国会の審議を経て、予算が成立する翌年3月ごろに正式決定となる運びだ。
2002年度予算の概算要求では、省庁間の縦割り構造の弊害を取り払う工夫が取り込まれた。例えば、IT政策など「重点7分野」に該当するものについては、経済財政諮問会議、総合科学技術会議、IT戦略本部など内閣府に設置されている会議との間で調整を行ったうえで、概算要求書を提出しなければならない。
(2001.08.21更新)
概算要求基準
(概算要求 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/16 01:23 UTC 版)
財政 |
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日本において、概算要求基準(がいさんようきゅうきじゅん)は、国の予算編成に先立って財務省が各省庁に示す予算方針である。「シーリング」ともよばれる。歳出の無制限な増大を抑制するほか、国の重点投資項目を内外に示す意義も持つ。
概要
1961年(昭和36年)の「予算概算要求枠」に端を発する制度で、1985年(昭和60年)には「予算概算要求基準」と名称変更。1998年(平成10年)から「○○年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」、と更に名称が変わった。
年度の予算編成にあたっては、前年度の夏から秋頃までに各省庁が必要な予算額を財務省に示す。これが「概算要求」である。これを財務省の主計局がとりまとめて「財務原案」と呼ばれる予算の原案を作成するという手順になる。
概算要求基準は、この概算要求の上限をあらかじめ財務省が設定して各省庁に通知するものであり、英語で天井・限度を意味する「シーリング( ceiling )」と称される。この数字は経済財政諮問会議で議論された上で閣議了解されることで決定される。
シーリングは、官庁や族議員の要求を押さえて予算支出を制限する効果があった一方で、シーリングを盾に各省庁ににらみをきかせる財務省への権力集中を批判する声もあった。ただし、補正予算はシーリングの対象に入らず抜け穴となった。
2009年に鳩山由紀夫内閣が「官僚主導の画一的な予算配分を見直す」として廃止したが、要求額が増大する弊害が出たため菅直人内閣が翌2010年に復活させた[1]。
脚注
- ^ “概算要求とは - コトバンク”. 2022年6月14日閲覧。
関連項目
「概算要求」の例文・使い方・用例・文例
概算要求と同じ種類の言葉
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