宇宙技術の自立に向けて
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「インドの宇宙開発」の記事における「宇宙技術の自立に向けて」の解説
第3世代の打ち上げロケットとしてPSLVが開発された。これまでに比べはるかに野心的なロケットであり、極軌道に対してリモートセンシング衛星など1トンの重量の貨物を投入可能になっている。ブースターと4段のロケットからなるロケットであり、ブースターおよび第1段は固体燃料、第2段はスネクマ製バイキングのライセンス生産品の液体燃料ロケットヴィカース、第3段は固体で、第4段は液体燃料となっている。1993年に初打ち上げが行われ、初打ち上げは失敗だったものの以降の打ち上げはすべて成功している。PSLVは低軌道で3700kgの貨物を打ち上げることが可能で、ISROの衛星打ち上げのための標準打ち上げロケットになっている。2015年末までに30回の打ち上げが行われている。 1990年には、インドが静止軌道への衛星投入能力を保有するための新しい計画として、最も強力なロケットGSLVの開発がISROによって開始された。静止軌道に2トンというより大きな輸送能力を達成するために、ISROは多くの国外技術を採用している。ブースターは欧州のアリアン4の液体燃料補助ロケットに近いヴィカースを使用しており、第1段にはインドが開発した固体燃料ロケットが利用されている。第2段はヴィカース、第3段はロシア製の液体水素/酸素系で二段燃焼サイクル式のRD-56Mエンジンが搭載されていた。1993年、インドはロシアからロケットエンジンのライセンスを得る予定であったが、ミサイル技術管理レジームに基づいてアメリカ合衆国がロシアからインドへの技術移転に圧力を加え、ロシアは技術移転を拒否した。ロシアは7機のRD-56Mエンジンを販売し、このエンジンはGSLVの第3段に使われたが、その後インドはエンジンを独自開発することにし、CE-7.5の開発を始めた。 1992年、画像など宇宙活動由来の製品を販売するために国営のアントリクス(英語版)社が設立された。1999年、ISROはPSLVでドイツのDLR-Tubsat(ドイツ語版)と韓国のKITSAT-3を打ち上げ、初めて他国の衛星の商業的な打ち上げを行った。2000年、ISROはヴィカースエンジンの極低温での試験運用を開始し、これは就役が2010年に延期されたGSLVの修正型に搭載された。2001年のGSLVの初打ち上げは予定起動よりも到達点が低く失敗、その後2回は成功したが、ロシア製の第3段をインド製に交換した2010年の打ち上げも含め、2006年から2010年の間に4回の打ち上げに失敗した。その後、2014年1月5日に行われた打ち上げではエンジンは正常に稼動し打ち上げに成功している。 2002年、インドとイスラエルは宇宙の平和利用に関する協力協定に調印した。2005年、インド防衛省は軍用偵察衛星を開発し、2007年までに運用すると発表した。2007年には月を対象とした共同科学ミッションのためにロシア連邦宇宙局と10年間の契約に調印している。2008年10月22日にはPSLVがインド初の月探査機としてチャンドラヤーン1号を打ち上げ、チャンドラヤーン1号は11月8日に月周回軌道へ投入され、月の科学的な観測を始めている。
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