宇宙探査と宇宙開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 15:03 UTC 版)
宇宙開発における自己複製は、打ち上げられる質量に比較して大量の原料を宇宙空間で入手することを目標としている。例えば、太陽電池を備えた独立栄養生物的な自己複製機械で月や小惑星を覆い、そこで得られたエネルギーをマイクロ波で地球に送る。自己複製可能なので、地球上で大量に製造する必要は無く、少数の機械を打ち上げて配置すれば大量生産可能な工場が宇宙に出現する。別の自己複製機械として、宇宙探査を行う自己複製する宇宙船がある。 一般にこれらのシステムは独立栄養生物的であり、考えられる人工複製子としては最も複雑である。また、遠隔地で自己複製するため、人間が指示することもできない(自律的に動作する必要がある)という点も実現を困難にしている。 宇宙での複製子の理論的研究として、1980年にNASAが行った研究報告(ロバート・フレイタス編)がある。 この研究は、主に月のレゴリスを原料としたとき、自己複製で必要とされる元素とレゴリスの組成がどう異なるかが中心であった。不足すると思われる元素は塩素であり、アルミニウムを精製するのに必要である。塩素は月のレゴリスにはほとんど含まれず、自己複製のペースを上げるには、ある程度の塩素も打ち上げる必要があるとされた。 このときの機械としての形態は、線路上を走るコンピュータ制御の電動カートのようなロボットである。各カートには単純な腕とブルドーザーのようなショベルが付属している。電源は上部の太陽電池から得る。機械はその下にある。部品の製造には鋳造技術を使う。形成の容易な石膏で鋳型を作る。流し込む材料は電気オーブンで原料を溶かして作る。 コンピュータや電子機器を製造するさらに複雑なチップ工場も検討されたが、設計者らはそれらを地球から一種の「ビタミン」として宇宙船で運搬する方が現実的であるとも指摘している。
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