学問上の貢献とは? わかりやすく解説

学問上の貢献

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 07:06 UTC 版)

ポール・ローマー」の記事における「学問上の貢献」の解説

内生的成長理論英語版)」および「経済成長理論」も参照 ローマー業績多く経済成長理論分野集中している。長期的な経済成長アダム・スミス以来経済学主要なテーマであったが、これを現代的なフレームワークで扱うにあたり基礎的な貢献行ったのはロバート・ソローであったソロー・モデル経済成長分析するための基礎与えるものであるが、持続的な成長説明する上で問題点抱えていた。ソロー・モデルによると、個人消費貯蓄選択により貯蓄回った所得資本投下され資本蓄積されるイノベーションが無いとするとこの資本の蓄積により定常均衡 に至るまで1人あたりの生産量成長するが、一度定常均衡達すると1人あたり生産量成長しなくなる。 たとえ貯蓄率すなわち投資率が向上したとしても、それにより新たな定常均衡生まれその新し定常均衡に至るまで成長続けに過ぎないソローによると持続的な成長もたらすいわば「成長エンジン」となるのはイノベーションである。経済成長に関するソローのもう1つ重要な貢献である成長会計では、経済全体成長源泉となるのは資本への投資労働人口加えていわゆるソロー残差あるいは全要素生産性呼ばれるのである。この全要素生産性とは生産性成長のことに他ならないが、その中にはイノベーション含まれる。さらにその後実証研究によって実際経済成長に最も貢献するのは全要素生産性の項であることが明らかになった。このようにイノベーション経済成長にとって決定的な役割を果たすにもかかわらずソロー・モデル技術成長そのもの説明せず外生的なものとしてイノベーション扱っていた。従ってソロー・モデル内発的メカニズムによってのみでは持続的な経済成長説明できず、このことが大きな問題となってきた。なお最適成長モデルもしくはラムゼイ・キャス・クープマンスモデルと呼ばれる経済成長理論におけるもう1つ重要なモデルでは、貯蓄率アド・ホック与えられるソロー・モデルに対して個人消費貯蓄配分最適化行動によって決定され最適貯蓄率モデルによって導かれるという点で異なっているが、成長メカニズムに関する含意では共通している。 持続的な成長説明できないという従来経済成長理論限界乗り越えるべく、「成長エンジン」となるメカニズムモデル組み込みそのメカニズム自体モデルによって説明しようとする試み1980年代より始まった。この試みの中から誕生した一連のモデル内生的成長理論という。そしてロバート・ルーカスと共に内生的成長理論確立先鞭をつけ一連の研究主導した経済学者こそローマーであったルーカス人的資本蓄積による生産性の向上注目したのに対しローマーイノベーション発生しそれが持続的な成長生み出すメカニズムモデル化しようと試みた1986年及び1990年論文ローマーR&Dなどで生み出される知識アイディア最終財生産投入される中間財種類増加させ、その増加最終財生産性向上させる過程としてイノベーション描き出した。ここで重要なのはアイディアが非競合財であり規模に対して収穫逓増であるという点である。そのため例えアイディア投入を2倍にすれば産出量は2倍以上になる。アイディアが非競合的規模に対して収穫逓増である理由は、アイディア生産するには最初に固定費用がかかるもの限界費用が0であるという点に求められる。すなわちあるアイディアまたは知識生み出す際にはコストがかかるが、一度生み出されアイディアコピーしてもう1単位つくるにはコストはほとんどかからない。ところでこのような性質を持つ財は完全競争市場では最適に供給されない。そこでローマー最終財市場完全競争仮定維持する一方アイディア投入要素とする中間財市場独占的競争市場としてモデル化した。逆に言えばアイディア持ち主独占的な権利(例え特許など)を与えなければアイディアには適正な価格付けられコスト回収できないためアイディア生み出し技術革新するインセンティヴ失ってしまうことになる。つまり独占力を与えることでアイディア持ち主利潤挙げることが出来新しアイディア生み出すインセンティヴを持つのであるローマーモデルではアイディア知識用いたイノベーション持続的な成長を導くメカニズム説明することに力点置いているが、その際鍵となるのはアイディア規模に対して収穫逓増であるということである。ローマーモデル斬新さ持続的な成長もたらすメカニズム明らかにした点だけではなく、そのメカニズム説明する際に規模に対して収穫逓増であるという規模の経済仮定した点にもある。 ローマーらが主導した内生的成長理論1990年代には学界席巻し、経済成長理論において主要な位置占めることとなった。また経済学において経済成長問題への関心高め上で大きな役割果たしたといえるこうした業績からローマー2018年ノーベル経済学賞受賞した

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