大学のボート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 00:30 UTC 版)
豊富な練習時間と多くの部員に恵まれる大学のボート界は日本のボートを牽引する存在である。多くの大学の部員は合宿所を併設した艇庫で生活し、始業時間前の早朝と授業後の夕方に練習する。毎年戸田漕艇場で開催されている全日本級の大会(全日本軽量級選手権・全日本大学選手権・全日本選手権・全日本新人選手権)には、全国各地から多くの大学が参加する。8月の全日本大学選手権には約80校の大学がエントリーしている。 大学間の対校戦の歴史は古く、代表的なものでは早稲田大学と慶應義塾大学の対校試合である早慶レガッタがあり、隅田川の春の風物詩としても有名である。毎年4月下旬(かつては5月の大型連休明けの日曜日に開催されていた)に開催される東京大学と一橋大学の対校試合の東商レガッタは2018年に第70回を迎えた伝統的なレガッタであり、2009年から2018年現在に至るまで一橋大学が10連勝中である。日本大学、明治大学、立教大学の日立明三大学レガッタも有名である。1991年から4月29日(現昭和の日-元みどりの日)に因んでグリーンレガッタと呼ばれる中央大学・日本体育大学・法政大学・東京経済大学の4大学対抗戦が戸田漕艇場で毎年実施されている。名古屋大学と大阪大学の対校戦である名阪戦も歴史あるレガッタであり、隔年に分かれて中川運河と浜寺漕艇場で実施されている。 1974年に第一回目の全日本大学選手権大会(通称インカレ)が開催された。1980年代半ばまでは大規模で資金力のある大学が優勢であった。中でも東京大学は男子エイト種目でインカレ連覇・全日本選手権4連覇といった輝かしい成績を残した。その東大の全日本選手権の連勝記録を1987年に止めたのが中央大学であり、2000年代初期に至るまで黄金期を築いた。中央大学の男子エイトは、1983年の全日本大学選手権及び全日本選手権の初優勝以来、全日本選手権の優勝が5回、そして全日本大学選手権での優勝は4連覇、3連覇を含む13回を数えた。この時期に中央大学を含む私立大学は、高校ボート経験者をスポーツ推薦で獲得して強化を進め、国公立大学との間に実力の差を拡大させていった。 2000年代に入ると日本大学が中央大学を抑えて台頭した。日本大学は高校ボートの最上位層をスポーツ推薦で獲得し、優秀な指導者の下で選手の強化を進め、現在では大学ボート界の中で最強チームとなった。早稲田大学は豊富な資金、積極的な広報活動、入試制度の多様化・スポーツ科学部(体育系学部)の新設を行い、2015年には男子エイトで優勝するなど大学ボート屈指の強豪校となっている。慶應義塾大学は附属高校大学と一貫した指導体制を敷き、2003年に男子エイトで優勝している。2002年に創部した仙台大学は高校ボート経験者を毎年数多く獲得し、浅い歴史ながらも強豪校に急成長した。練習メニューを各自で考えるなど自主性を重んじる伝統校の明治大学もスポーツ推薦の強化で屈指の強豪校となった。 少数精鋭の私立大学の活躍が目立つ中で、最近では大所帯で資金力のある一部の国立大学が私立大学を凌ぐ躍進を見せている。代表例は一橋大学であり、2009年以降インカレの男子エイト種目で決勝の常連校であり、2018年現在に至るまで準優勝3回、男子舵手なしペアでは3度の優勝といった好成績を収めている。
※この「大学のボート」の解説は、「ボート競技」の解説の一部です。
「大学のボート」を含む「ボート競技」の記事については、「ボート競技」の概要を参照ください。
- 大学のボートのページへのリンク