垣谷家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 01:08 UTC 版)
「風の市兵衛シリーズの登場人物」の記事における「垣谷家」の解説
垣谷 貢(かきたに みつぐ) 旗本2500石の当主で、このたび15年ほど勤めた京都東町奉行の職を解かれて江戸に戻ってきた。「東御役所の鬼の垣谷」と呼ばれるほど厳しい取り締まりを行なったが、京で世話になった矢藤太によれば、付け届けを欠かさなければ目こぼしや口利きをしてくれる町奉行だった。逆に言えば金にがめつく、各方面から集まる付け届けを元手に投資で稼いだ。また、禁裏の総勘定を改める役目を利用し、司高和に命じて勘定をごまかして私腹を肥やしていた。裏勘定が露見するとすべての罪を高和になすりつけて斬首刑にしてしまう。そして、所司代から公儀の政に不満を持つ者たちへの取り締まりを厳しくせよと命ぜられると、以前から目を付けていた明石五郎左衛門を、罪を捏造した上で捕縛し斬首刑に処した。 末子勝之助が赤間一統にさらわれて身代金3000両を要求される。そのため、矢藤太を通じて市兵衛を雇い入れ、賊のねぐらを探らせた。助弥の協力でねぐらが判明すると市兵衛の職を解き、討手を伴ってねぐらを襲撃した。しかし、多くの死者を出し自らも捕縛されて、身代金を5000両に値上げされてしまう。そして、市兵衛と節子が身代金を持参した際、司兄弟に殺された。 お吹(おすい) 垣谷が京都町奉行だったときに娶った後添え。30歳。市兵衞が京で家宰兼用心棒を務めていた九条篤重の娘で、市兵衛とは10年ぶりに再開した。市兵衞の初恋の相手で、お吹もまた市兵衞を慕っていた。そして、お吹が20歳の時、市兵衛と共に雨宿りをした際に結ばれたと思われる。 事件解決後、垣谷家を離縁され、節子と勝之助を伴って九条家に戻った。 勝之助(かつのすけ) お吹が産んだ次男。6歳。赤間一統に拉致された。小さいながら侍の子として気丈に振る舞う。赤間は金を手に入れたら勝之助を連れて逃げ、我が子として育てようかと考えた。 節子(せつこ) お吹が産んだ長女。10歳。心優しく利発で勇気があり、怯える金吾の代わりに、市兵衞と共に身代金5千両を賊の元に届けた。 物語の中で、実の父親は市兵衞であることが示唆されている。 金吾(きんご) 節子と勝之助の異母兄で、垣谷家の嫡男。生みの母は金吾が3歳の時に訳あって離縁された。父と共に京に上らず、江戸の祖父母に甘やかされて育った。15歳ながら、市兵衞が雇われたときには見下す態度を取る。しかし、市兵衞と共に身代金を届けるよう賊から命ぜられた際には、怯えて拒絶した。 父を失って家督を継ぐ身となったが、事件解決後に事が公になり、垣谷家改易の咎めもあり得た。しかし、信正の尽力もあって家禄半減に留まり、屋敷もこれまで通りという寛容な処分に留まった。 登(のぼる) 垣谷の弟。市兵衞に対して最初から最後まで傲慢な態度を取り続けた。市兵衞と助弥の働きで賊のねぐらが判明すると手勢と共にそこを襲撃したが、赤間に与した弓の達人に射られ、その後司兄弟にとどめを刺された。 覚(あきら) 先代。隠居する前は京都町奉行を勤めた。江戸に残った金吾を甘やかして育てた。登を失った上垣谷まで囚われの身となると、一旦職を解かれた市兵衛を呼び戻し、謝罪した上で改めて助力を願う。しかし、金吾を身代金受け渡しに行かせることは拒絶した。 事件解決後、手元に戻った身代金5千両は、迷惑をかけた羽田浦弁天社への寄進や命を落とした者たちの供養に用い、残ったわずかな金は3人の孫に均等に分け与えることでお吹への謝意を表した。 覚の妻 勝之助と貝谷の身代金を、賊が指定した金吾ではなく宇三郎に身代金を届けさせると言う覚に異を唱えたお吹と市兵衛を罵倒した。 柴崎 宇三郞(しばさき うさぶろう) 5年前に明石五郎左衛門が処罰された際、それを不服とする門弟からの報復を恐れた垣谷が、お吹母子を警護するために雇った家士。勝之助が3歳の時にその世話掛に任じられた。 勝之助が道場に通うのに同行したとき、赤間一統に襲撃されて腕を斬られ、勝之助を拉致されてしまう。そのため、金吾や登からなじられる。当初、勝之助拉致の理由は分からないと市兵衞に語っていたが、後に京都町奉行時代の垣谷の不正が原因だということを告げた。 お吹が離縁されるのと同時に、自身も垣谷家から暇を出され、新たに九条家に奉公することになった。
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