国鉄の新会社移行作業
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「日本国有鉄道」の記事における「国鉄の新会社移行作業」の解説
1986年(昭和61年)11月28日の参議院本会議で、日本国有鉄道改革法など国鉄分割民営化関連8法案は自民党などの賛成多数で成立した。これを受け国鉄は12月3日付で、本社内に採用職員や新会社の経営組織・体制を決定する以下の「設立準備室」および「移行準備室」を設置(かっこ内は室長。役職名は国鉄→新法人の順)。これらの準備室が事実上新会社の母体となった。また各準備室を統括する国鉄本社新会社設立委員会(設立委員長・斎藤英四郎経団連会長)が設けられ、12月11日に初会合が開かれた。 北海道旅客会社設立準備室(大森義弘北海道総局長→JR北海道社長) 東日本旅客会社設立準備室(山之内秀一郎常務理事→JR東日本副社長) 東海旅客会社設立準備室(川口順啓常務理事→JR東海常務) 西日本旅客会社設立準備室(山田度常務理事→JR西日本常務) 四国旅客会社設立準備室(伊東弘敦常務理事→JR四国社長) 九州旅客会社設立準備室(石井幸孝九州総局長→JR九州社長) 日本貨物会社設立準備室(岡田昌久常務理事→JR貨物常務) 新幹線保有機構設立準備室(前田喜代治常務理事→国鉄清算事業団副理事長) 日本国有鉄道清算事業団移行準備室(同上) 12月9日には分割民営化の新会社第1号となる鉄道通信株式会社と鉄道情報システム株式会社の創立総会が国鉄本社で開かれた。12月15日には旅客、列車、業務の本社各指令を廃止し、北海道総局、首都圏本部、名古屋鉄道管理局、大阪鉄道管理局、四国総局、九州総局の6局にそれぞれ「本社指令」を設置。全国一元の指令体制が消滅した。また国鉄本社は、政府・自民党の示したガイドラインに基づき、新法人が引き継ぐすべての事業、資産、債務の割り振りを定める「承継実施計画」の作成を開始した。 新会社設立委員会は21万5,000人を採用する基本計画をまとめ、12月24日から「配属先希望調査表」を職員に配布。1987年(昭和62年)1月7日の期限までに22万7600人が提出した。新会社への就職希望者は21万9130人で、1月18日までに公安部門転出者を含む3万1476人が退職希望を明らかにした。2月2日には鉄労、動労など労使協調路線の組合で構成する全日本鉄道労働組合総連合会(鉄道労連)が発足した。設立委員会は20万4126人の採用を内定し、2月16日から採用通知書の交付を開始した。通知後の辞退者が多く、清算事業団を除いた11法人がすべて定員割れとなったが、欠員の補充採用は民営化後に各社が行うこととされた。 新会社移行に向けた職員の大規模異動は2月14日付の管理職異動から始まった。14日付の異動対象は本社および総局・鉄道管理局の幹部職員、現場管理職の合わせて8,400人(うち3,200人が退職)で、国鉄本社からは幹部職員の約3割が管理局などに転出した。2月17日には橋本龍太郎運輸大臣が新会社首脳人事を発表(全役員人事は3月17日発表)。新会社の経営陣には財界人や運輸省元幹部らが加わったが、7社全役員の約6割にあたる62人は常務理事や本社局長など、横滑りした国鉄幹部が占めた。 職員の大規模異動が終盤を迎え、民営化を1カ月後に控えた3月1日から、全国の現業機関は各設立準備室が決定した新会社の運営体制に合わせた業務体制に移行した。同時に新会社の営業エリアに合わせて全国14路線で管理局界の変更が行われた。作成作業が進められていた承継実施計画は3月4日に国鉄本社から運輸省に提出され、各法人が承継する路線および車両、施設、債務額などが確定した。3月16日には一般職員に対し、新会社の所属部署や職名の通知書が交付された。3月23日から3月25日にかけて新会社各社の創立総会が相次いで開かれ、4月1日午前0時から各新会社による運営に移行した。
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