善光寺造営図〈享禄四年四月/〉
主名称: | 善光寺造営図〈享禄四年四月/〉 |
指定番号: | 42 |
枝番: | 0 |
指定年月日: | 1988.06.06(昭和63.06.06) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 歴史資料 |
ト書: | |
員数: | 8幅 |
時代区分: | 室町 |
年代: | 享禄4年 |
検索年代: | |
解説文: | 長野の善光寺に伝来した造営図で、享禄四年(一五三一)の再建に係わるものである。ただし、現在の本堂は元禄年間に火災にあった後、宝永四年(一七〇七)に再建されている。 本図は巻子装に仕立てられ、縦は一五三・五センチに及ぶ大巻で、楼門建地割図、鐘楼正面図、回廊断面図、回廊見上図、熊野三社正面図、神明社側面図、四脚門側面図並正面図の六棟分九図を存している。各図ともいずれも十分の一の縮尺で描かれ、立面図には建具類が省略されるが、軒先などの部分の断面図も書き加えられている。さらに紙背に同じ建物の部分図を描いている例もある。鐘楼正面図には「善□【(光)】寺 大工」、「享禄四年四月吉日」と年紀があり、熊野三社側面図には「熊野三ちや屋しろのさしす」と題があり、「如来之大工遠江守七十才之時之作、目かすみ候間□【(の)】きわあしく候へともをゝかた仕候、後見之人ハ念佛一返御ゑかう所仰候、」との墨書注記がみえている。また、楼門を除いては寸法等の注記が付されているが、図の体裁や注記の筆跡等からみていずれも享禄四年の時の作図になり、当時の門その他付属建物再建に関する設計図と考えられる。図に描かれた建物は、全体に和様を基調とし、これに禅宗様(唐様)の要素を交え、斗・肘木の曲線、拳鼻・懸魚等の絵様や繰形、垂木の形状、木負・茅負の断面などは室町時代後期の手法を示しており、また作図の方法も墨〓を以て描くなど室町時代の特色を伝えている。さらに絵様、繰形や桁を三本通す庇組物の形式などは現存する信濃地方の社寺建築の特徴と一致するところがあり、同地方における中世建築様式のあり方を知る上にも注目される。 この善光寺造営図は、後掲の談山神社本殿造営図とともに遺例稀れな室町時代の建築設計図で、作図の年紀を明らかにする現存最古の造営図として中世建築史研究上に貴重である。 |
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