名称と表現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 21:01 UTC 版)
「エネルギー効率改善都市」の記事における「名称と表現」の解説
エネルギー効率改善都市という呼称は日本が独自に訳した造語である。国連気候サミット(2009年開催の国連気候変動サミットとは異なる)で、国連のパン・ギムン事務総長が主導する地球温暖化への対策としての「SE4ALL(英語版)(サスティナブル・エネルギー・フォー・オール、すべての人のための持続可能なエネルギー)」で掲げた「Global Energy Efficiency Accelerator Platform(グローバル・エネルギー・エフィシエンシー・アクセラレータ・プラットフォーム、世界的エネルギー効率加速プラットフォーム)」を推進するためにいくつかのモデルケースを示した。 その中の一つ「District Energy in Cities Initiative(ディストリクト・エネルギー・イン・シティズ・イチシアチブ、都市主導の地域エネルギー)」を促進するにあたり、先行事例となる実践都市・模範都市としてアメリカのミルウォーキー、メキシコのメキシコシティ、ペルーのリマ、デンマークのコペンハーゲン、そして富山市の名が上げられた。これをもって日本では「エネルギー効率改善都市」と命名した。この和名を富山市では公式に採用しているが、当初は政府や外務省・環境省では用いていなかった。 その語源は、2014年(平成26年)7月29日に外務省参与で地球環境問題担当大使の堀江正彦が富山市を視察訪問した際、「富山市が世界のエネルギー効率改善のモデル都市になるよう期待している」との発言が報道され、その文中で既に「エネルギー効率改善都市」と記されている。これは、同月15日に富山市を視察訪問したSE4ALLニューヨーク事務所代表の高田実から「富山市を国連気候サミットへ招待する」と連絡をうけ、富山市側に報告した経緯によるものであった。9月1日の富山市長による記者会見では、「国際連合 気候サミットにおける「エネルギー効率改善都市」特別セッションへの出席について」と正式にエネルギー効率改善都市の名称を用いている。 一方、初報から「国連が選定するエネルギー効率改善都市」と記載され、富山市も「選定」と称したことから、一般には「認定・登録された」と誤認波及した。選定という言い方は、富山市が2008年(平成20年)に第一期の環境モデル都市に「選定」されたことが影響していると思われる。しかし、District Energy in Cities Initiativeを紹介する原文には、選定を意味する「selection」や「choice」という文言はなく、「registration(登録)」「authorization(認定)」「designation(指定)」「sanction(承認)」なども見当たらない。そもそもエネルギー効率改善都市は世界遺産のような条約に基づく保護根拠もなければ、登録制でもない。エネルギー効率改善都市の手本として紹介された5つの都市は「顕彰された」とするのが妥当である。 さらに、ポーランドのワルシャワ、ブータンのティンプー、マレーシアのイスカンダル地域(計画地区)などもエネルギー効率改善都市に選定されたとの報道もあったが、こちらも原文では「participating」とあり、選定されたというよりは「(自ら)参加の意思を表明した」ものであり、富山市と同等に扱うことなど解釈に語弊がある。
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