名探偵ホームズ全集とは? わかりやすく解説

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名探偵ホームズ全集

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 05:26 UTC 版)

山中峯太郎」の記事における「名探偵ホームズ全集」の解説

戦後になり、山中戦前諸作品が多く復刊されていたものの、山中新作発表する機会激減していた。 そのような中、ポプラ社が、海外推理小説当時呼称探偵小説)・冒険小説を、少年少女向けに読みやすく翻案した叢書世界名作探偵文庫』を企画し1953年昭和28年)に山中シャーロック・ホームズシリーズなどの執筆依頼し山中快諾した。本叢書執筆陣には、山中加えて江戸川乱歩南洋一郎らが顔を揃えていた。 『世界名作探偵文庫』は1954年昭和29年)に刊行開始され第1回配本3巻は、いずれも山中による第1巻深夜の謎』(一般的なタイトルは『緋色の研究』、以下同じ)・第2巻恐怖の谷』・第3巻怪盗の宝』(『四つの署名』)であった当初の『世界名作探偵文庫』の企画では、同叢書収録するシャーロック・ホームズシリーズはこの3点のみとする予定であり、同じく山中執筆した第4巻魔人博士』(サックス・ローマー著)と第5巻灰色怪人』(バロネス・オルツィ著)の2冊が続けて刊行された。 しかし、ホームズもの3冊が圧倒的な売れ行き示したため、ポプラ社山中執筆によるホームズものを『名探偵ホームズ全集』として独立させ、全20巻叢書として完結させることに方針変更したポプラ社担当編集者後年回想によると、自らが丹精込めて翻案したホームズものがベストセラーになったことについて、戦後髀肉の嘆かこっていた山中喜び大きく、「ホームズもの全部を訳させて欲しと言ってきた」という。各巻原稿用紙300近かったが、山中毎月一冊のペース書き進め、『名探偵ホームズ全集』(全20巻)は1956年昭和31年)末までに完結し2年間で100万近く部数達した山中各巻冒頭載せた序文において、シャーロックホームズ・シリーズ翻案趣旨を、読者たる少年少女分かりやすい言葉述べている。第1巻深夜の謎』の序文から引用する。 ところが、なにしろ英国作家だから、その小説には、当然に英国人の古い習わし風俗わからないことばなどが、多分にふくまれていて、上手な訳文でも、日本のことに少年少女にはぴったりしない点、たいくつするところすくなくない。そこで、この本は、『緋色の研究』を翻案して、日本少年少女に、もっともおもしろいように、すっかり、書きなおしたのである。 — 山中峯太郎シャーロキアンである(日本シャーロック・ホームズ・クラブ会員ベイカー・ストリート・イレギュラーズ会員平山雄一は、山中の『名探偵ホームズ全集』を下記のように評している。 コナン・ドイル執筆したシャーロックホームズシリーズ記述には、前後辻褄合わない現実にはありえない描写など、多く矛盾存在する(「シャーロキアン#研究ごっこ」を参照)。 山中はそうした矛盾いち早く気づきさまざまな修正加筆行って矛盾解消し物語として完成度高めている。 『名探偵ホームズ全集』を注意深く読むと、各国シャーロキアン難解な論文述べていることに既に山中気づいていた例、さらには今までにどのシャーロキアンも気づかなかった矛盾点山中によって見いだされている例が多く見つかり、山中独自性先進性驚かされる陸軍中央幼年学校本科卒業時に恩賜の銀時計拝受し陸士19期の先頭陸大入校果たした当時秀才選りすぐった陸軍将校中でもとりわけ頭脳明晰知られていた山中ならではの業績であり、山中日本最初の「シャーロキアン研究家」といえよう平山は、山中が自ら説明している「日本少年少女がより楽しめるようにするための翻案」に成功して好評博し、それに加えて独自にシャーロックホームズ・シリーズを高いレベル研究し、その成果を『名探偵ホームズ全集』に反映したのだと指摘している。

※この「名探偵ホームズ全集」の解説は、「山中峯太郎」の解説の一部です。
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