同性愛に関する法と政治
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 23:00 UTC 版)
「国・地域別のLGBTの権利」、「ヘイトクライム」、および「同性結婚」も参照 世界においては、同性愛自体が合法である国家と、違法である国家が存在する。同性愛が合法である地域の中には、同性結婚を認めている地域(スペインやオランダ、カナダ、アメリカ合衆国、イギリスなど)や、婚姻とは別の形で、パートナーシップ制度や内縁関係を認めている国家(ドイツ、オーストラリア、台湾など) がある。 一方で違法でなくても、同性カップルに関する認知制度が無く、同性カップル自体は社会制度上認められていない地域 (日本や中国など)も多く存在する。但し日本では養子縁組を結べば、対等なカップルではなく親子関係になるものの、婚姻者とほぼ同等の権利が認められる。南アフリカ共和国は、1996年に制定した新憲法でアパルトヘイトの禁止と同時に、性的指向にも言及し、同性愛と異性愛について一切の差別を行わないことを宣言している。 サウジアラビアなどイスラム国家では、同性愛は違法である場合が多い(イスラム教が多数を占める国家であっても、トルコやインドネシアのように世俗主義を採る国家は、社会的認知制度は無いものの合法)。違法である国家においては、リベリアのように軽犯罪に分類される国家はほとんど無く、多くの国家で重罪とみなされ、場合によっては終身刑が適用されうる国家(パキスタンなど)、さらには死刑が適用されうる国家(イラン、サウジアラビアなど)もある。 2008年12月に、国際連合総会において「性的指向と性自認に基づく差別の撤廃と人権保護の促進を求める」旨の声明が出された。日本はこれに賛同している。なお賛同した66ヶ国中アジア圏で賛同した国家は日本のみで、先進諸国のなかでもアメリカ合衆国は賛同しなかった。ただしアメリカ合衆国は、後にオバマ政権に移行したこともあり、賛同する方針に転換している。 加えて、以前は重罪であった国家でも、合法化へと進んでいる国家も存在する。インドは以前は重罪 (終身刑が適用されうる) であった。これはイギリス領インド帝国の時に作られた法律であったが、2008年には国連が非違法化すべきであると提案し、2009年7月にインドの高等裁判所が、同性愛は違法ではないという判決を出した。詳しくはインドにおける同性愛(英語版)を参照。 日本では、1872(明治5)年に発令された「鶏姦律条例」および1873(明治6)年に発令された「改定律例」では男性同士の肛門性交(鶏姦)が犯罪とされた(後者の第266条では懲役刑)。しかし、1880(明治13)年に制定(施行は1882年1月1日)された旧刑法には、この規定はなくなった。それ以来日本の法において、同性愛は違法とされておらず、現在法務省は性的指向による差別をなくす呼びかけを行っている。一方で、同性結婚を認める法律は存在しない。G7(フランス、アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)のうち、同性結婚もシビル・ユニオンも法制化されていない国は日本のみである。 詳細は「日本におけるLGBTの権利」および「日本における同性結婚」を参照 2013年現在、ロシアにおいては、同性結婚は認められておらず、同性愛そのものが、異性愛よりも下等であるとされている。2013年6月30日、ウラジーミル・プーチン大統領は、同性愛の宣伝行為に対して罰則を与える法案に署名、法律は成立した。この法律では、同性愛と異性愛の関係が「社会的に同等」であるという「歪んだ理解」を持たせる情報を、未成年者に広めた者に対し、最大5000 ルーブル(約1万5000円)の罰金を科すとしている。外国人にも適用され、罰金だけでなく、身柄拘束、国外退去も可能としている。
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