十二処
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/01 04:28 UTC 版)
十二処(じゅうにしょ)または十二入(「処」は梵: āyatana) - 12の知覚を生じる場。六根、六境。 後に「処」の字をつけて呼ぶこともある。「処」とは、阿毘達磨倶舎論においては、心と心作用(心所)の生じてくる門(生門(しょうもん))のこと。 六根(ろっこん、梵: ṣaḍ-indriya) - 主観の側の六種の器官、感官のこと。六内入処(ろくないにゅうしょ)とも。 眼(げん、梵: cakṣus) - 視覚能力もしくは視覚器官 耳(に、梵: śrotra) - 聴覚能力もしくは聴覚器官 鼻(び、梵: ghrāṇa) - 嗅覚能力もしくは嗅覚器官 舌(ぜつ、梵: jihvā) - 味覚能力もしくは味覚器官 身(しん、梵: kāya) - 触覚能力もしくは触覚器官 意(い、梵: manas) - 知覚能力もしくは知覚器官 眼・耳・鼻・舌・身の5つを「五根」といい、人間の感覚能力 すなわち五感であり、意は認識するはたらきの拠り所となる感官である。 六境(ろっきょう、梵: ṣaḍ-viṣaya) - 客観の側の六種の対象、感官の対象のこと。六外入処(ろくげにゅうしょ)とも。 色(しき、梵: rūpa) - 眼根によって見られる色彩と形象 「色 (仏教)」も参照 .mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}顕色(けんじき)(いろ)と形色(ぎょうしき)(かたち)の2種類に分たれ、また、青、黄、赤、白、長、短、方、円、高(凸形)、下(凹形)、正(規則的な形)、不正(不規則な形)、雲、煙、塵、霧、影、光、明、闇の20種に分たれる。 声(しょう、梵: śabda) - 聴覚の対象 苦楽の感覚を発する有情身の発する音とそうでない音、意味を伝える音とそうでない音、および快い音とそうでない音との別により8種に分たれる。 香(こう、梵: gandha) - 嗅覚の対象 良い香りと悪い香り、適度な香りとそうでない香りの別により4種に分たれる。 味(み、梵: rasa) - 味覚の対象 甘さ、酸っぱさ、しおからさ、辛さ、苦さ、渋さの6種に分たれる。 触(そく、梵: sparśa) - 身根によって感じられる堅さ、熱さ、重さなど 滑らかさ、粗さ、重さ、軽さ、冷たさ、ひもじさ、渇きの7種、および地、水、火、風の4種(四大もしくは四大種という)の合計11種に分たれる。 法(ほう、梵: manas) - 意根によって知覚される概念を含むすべての存在 また、五根に対応する境の部分(色・声・香・味・触)を五境、そこに生じる欲を五欲(五塵)と表現したりもする。五根と五境をあわせて十色界という。 六根、六境(、後述の六界)の順序は、現在の法を対象とするものを先にし、四大種によって作られた色(所造色)のみを対象とする眼、耳、鼻、舌を先にし、より遠い対象に作用するものを先にし(眼、耳の順)、より速やかに明らかに作用するものを先とし(鼻、舌の順)、あるいは感覚器官の位置の高いほど先とし(眼、耳、鼻、舌の順で、身は多くの部分がこの下にあるからこれらの次とし、意はとどまる場所がないから最後となる)。
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