医師の告発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 15:19 UTC 版)
「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」の記事における「医師の告発」の解説
李文亮 李文亮医師は、艾の投稿を紹介して早期に警鐘を鳴らしたが、武漢の公安当局から訓戒処分を受け、その後新型肺炎で死去した。 2019年12月30日午後6時42分、李医師は「コロナウイルスの感染が確認され、どのタイプかまだ調査中」などSNSの医師グループで発信したが、31日未明に当局に呼び出され、デマを流したとして「自己批判文」への署名を強要された。 2020年1月3日、武漢市公安局が「社会秩序を混乱させた」「デマ伝播者」の一人として李文亮に訓戒処分を下した。 1月9日、李文亮医師は高齢の患者に発熱や肺炎の症状が現れたため新型肺炎を強く疑った。翌10日、李医師自身も咳や発熱などの症状が現れた。12日、李医師は入院し、集中治療室で隔離治療を受け始めた。しかし、1月30日まで何度も核酸検査を受けたが、陽性ではなかった。 2月1日に李医師の感染が確認され、同日、彼の両親や同僚医師の感染も確認された。2月6日、死去した。34歳没。 艾芬 2019年12月30日、ウイルス検査を担当していた武漢市中心病院救急科主任の艾芬医師は原因不明の肺炎患者のウイルス検査報告を医師のSNSチャットグループに投稿した。 処分は受けなかったが、2020年1月1日、勤務先の病院経由で武漢政府から「パニックを避けるため、情報を外部に公表してはならない」と通知され、その後、病院幹部に「デマを流した」と責められ、今後は一切口外しないよう厳命された。 その後、病院では肺炎患者が急増し、艾は1月初旬に「人から人への感染」を確信するが、発言できなかった。中国政府が人から人への感染を認めたのは2020年1月20日になってからだった。艾芬医師は「もし1月1日に皆が用心できていれば(情報が公表できていれば)、このような多くの悲劇はおきなかった」と後悔の念を述べた。李文亮医師は艾医師の同僚で、艾の投稿を紹介して早期に警鐘を鳴らした 2020年3月10日にインターネットで閲覧できる共産党系の中国誌「人物」に公開した記事「笛をくばる人」で、武漢政府による口封じがあったと発表した。艾芬の記事は投稿後2時間で当局に削除されたがSNSなどで転載され続け、「言論の自由」を求める声が中国国内で高まった。記事は英語、日本語、ドイツ語に翻訳されたが、これは削除されていった。さらにAI(人工知能)を用いた検閲から削除されないよう、写真、篆書体や甲骨文字や毛沢東の書体などの書道、DNA配列、点字、楽譜、逆さ読み、QRコード、バーコード、モールス信号、絵文字など33種類の形式で転載されていった。 3月10日の艾芬医師の告発以降、中国国内をはじめ各地で中国政府の初動体勢が批判されている(後述)。検閲当局は3月11日夜以降は転載記事は削除されなくなった。インターネット上では「(李医師と)同じ悲劇を繰り返すな」「これ以上の言論封殺は許さない」など批判が続いた。 これに対し、人民日報の姉妹紙『環球時報』は「これは不満を表した一種のネット上の芸術だ。大したことではない」と言及した。3月11日、胡錫進同紙編集長はSNSで「中国ではネット上に集まった意見は、削除されても政策には反映される」と述べた。
※この「医師の告発」の解説は、「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」の解説の一部です。
「医師の告発」を含む「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」の記事については、「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」の概要を参照ください。
- 医師の告発のページへのリンク