医師による治療の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 19:13 UTC 版)
神経毒への対処:酸素吸入、強心剤、昇圧剤、利尿剤の投与。 アレルギー症状への対処:アドレナリンの筋注、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤、ステロイドの投与。 刺傷部位への対処:抗ヒスタミンクリーム (Antihistamine Cream) や、ヒドロコルチゾンクリーム (Hydrocortisone Cream) などの副腎皮質ホルモン剤ステロイド外用薬の塗布。 日本国の平成15年人口動態統計では24人がスズメバチによる刺傷で死亡している。これは熊による死者数の数倍で、有毒生物による生物種類別犠牲者数では最も多い。死因はアナフィラキシーによるショック死が主で、毒液の直接作用によるものは少ないとされる。多量のハチ毒注入による直接作用もアナフィラキシー様反応が起き、アナフィラキシーとして扱う場合がある。 刺されると、直後から非常に強い痛み、数分後には患部の炎症と腫れ、体温の上昇等の症状が起こる。またハチ毒の中には神経毒の成分も含まれるため、一度に大量のハチに刺され、注入された毒の量が多いとハチ毒そのものが原因で麻痺が起き、やがて呼吸不全や心停止に至る。特に数百匹単位での集団攻撃を受けるとひとたまりもなく瞬時に死に至ることもある。 刺された場合は、更に集団で襲われることがあるので、スズメバチの攻撃行動をより刺激する危険のある大きな身振りを控えつつ、速やかにその場から離れる。そして、患部を冷やしながら出来るだけ早く病院に行くべきである。毒液が目にはいると最悪の場合角膜の潰瘍を引き起こし失明するおそれがあるので、すぐに水で目をすすぎ病院で治療を受ける必要がある。過去に刺されたことがある場合は、たとえ前回大事に至らなくても短時間でアナフィラキシーショックを起こす可能性が高くなり、場合によっては死に至ることもあるので非常に危険である。アナフィラキシーショックを起こしている場合は、気道内の浮腫や大量の分泌物による閉塞により呼吸困難に陥り死亡する。刺されてから1時間以内の死亡例が多く報告されている。 以下の場合は、直ちに救急車等で病院へ向かう。 発疹、頭痛、気分が悪い、吐き気等の症状が出た場合や数十分以内に症状が出た場合。 顔がほてり、目が痒く、涙が出て目がイガイガして呼吸が苦しくなる場合。 目を刺された場合。 以前ハチに刺され、発疹や吐き気等の症状が出た者が再度刺された場合。 沢山刺された場合(首、頭、顔、心臓に近い所は特に注意)。 刺された部分以外の皮膚に痒い赤み、蚯蚓腫れが出る場合。 抗ヒスタミン剤やステロイド系抗炎症薬を含む軟膏があれば、それを塗るのもよい。 なお、俗に言われる「ハチの毒にはアンモニアが効く=アンモニアが含まれる尿をかけるといい」というのは迷信である。これは、同じハチ目であるハチとアリの毒液成分の分析がまだ十分でなかった時代に、例外的に刺針を有しないヤマアリ亜科のアリが、ギ酸を大量に含む毒液を水鉄砲のように飛ばして敵を攻撃することが知られていたことから、他のハチ目の毒の主成分も同じであろうと拡大解釈したことによる誤解と考えられる。ヤマアリ亜科以外のハチ目の毒にはギ酸は含まれておらず、アンモニアによる中和効果は期待出来ない。そもそも、ヒトの尿に含まれる窒素排泄物は尿素であり、これを腐敗させて尿素を分解しない限りアンモニアを得ることはできない。
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