内容と成立年代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 16:27 UTC 版)
現存する『シビュラの託宣』は、重複する分を除けば実質的に12巻で構成され、時代の異なるさまざまな書き手が、異なる宗教的概念に従って作り上げてきたものである。それゆえ、統一的な話の筋道やモチーフは存在しない。歴史的事件に基づく事後予言は多いが、それとて時系列的に提示することが意識されている箇所ばかりではない。歴史的な関心はユダヤ教部分に強い一方、キリスト教部分はやや弱いことも指摘されている。 ただし、ユダヤ教色が強いかキリスト教色が強いかに関わりなく、どちらの文書にもローマに対する強い敵意が共通しているとも指摘されている。 以下で各巻の内容や成立時期を見ていくが、本編に関する情報を大まかにまとめておくと以下の通りである(第9巻、第10巻、第15巻を省いた理由は本文を参照のこと)。また、見解が複数に分かれる場合は、便宜上20世紀後半以降の見解を中心にまとめているので、より詳しくは該当する各節を参照のこと。 巻数行数成立年代成立場所おおよその傾向1 400 2世紀中葉 小アジア ユダヤ教の土台にキリスト教的加筆 2 347 3 829 紀元前140年頃 エジプト ユダヤ教的 4 192 西暦80年頃 シリア 5 531 西暦117年から132年頃 エジプト 6 28 2世紀ないし3世紀? シリア キリスト教的 7 162 2世紀末から3世紀初め頃 8 500 2 - 3世紀頃 近東 キリスト教的(一部ユダヤ教的) 11 324 7世紀ないし9世紀頃まで エジプト ユダヤ教的 12 299 13 173 ユダヤ教的またはキリスト教的 14 361 ユダヤ教的 これらの巻は内容や成立時期のまとまりから、第1巻と第2巻、第3巻から第5巻、第6巻から第8巻、第11巻から第14巻の4つのグループに分類できる。以下では、このグループを基準にして概説を行い、併せて各巻の内容も略述する。なお、一部の巻の概説には参考として詩句の引用とともに画像を添えたが、画像はあくまでも参考程度のもので、いずれも『シビュラの託宣』そのものを直接的な主題とするものではない。
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