伝説の自販機本
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「Jam (自販機本)」の記事における「伝説の自販機本」の解説
「高杉弾」および「自販機本」も参照 『X-magazine Jam』(以下『Jam』)は日大芸術学部を中退した高杉弾、山崎春美、隅田川乱一、八木眞一郎、佐内順一郎らヒッピー風の若者たち数人によって1979年3月に創刊され、わずか10か月で終刊した自販機本である。 『Jam』は自動販売機を介した特殊な形態で販売されたため、正規の取次ルートに乗って店頭に並ぶ通常の雑誌とは違って内容に制約がなく、独自の編集方針からナンセンスかつアナーキーな常軌を逸した誌面が徹頭徹尾にわたり展開された。その先鋭的な内容から本誌は「伝説の自販機本」と呼ばれるに至っている。 なお本誌は流通上エロ本の体裁を取っているが、実際は表紙とグラビアだけエロで、中身は編集者が「面白い」と判断したことを「冗談」「悪ふざけ」「オナニー&メディテーション」という無意味なコンセプトのもと手当たり次第に詰め込んだ奇怪極まる内容となっており、抜き目的のエロ本としては全く機能していない。また誌面ではドラッグから皇室、臨済禅、神秘主義、前衛芸術、幻想文学、カルトムービー、インディーズ、パンク、オカルト、プロレス、ヘタウマ、パロディ、サイケデリック、ニュー・ウェイヴ、ビートニク、スーフィズム、フリーミュージック(英語版) までカウンターカルチャーを縦横無尽に取り上げ、知性と諧謔と狂気と冗談と猥雑とポップとアナーキーが入り混じるパンクな誌面を展開し、ポルノグラフィとサブカルチャーが合体した唯一無二の世界観を築き上げた。 特に創刊号では「ドラッグ特集」「東京・関西のパンクシーン」「臨済と普化の対話」「女性器の拡大ポスター」「女体にジャムを塗りたくったヌード」などを取り上げたが、極めつきは当時人気絶頂だった山口百恵の自宅から出た使用済みナプキンほか約40点のゴミを大々的に公開した爆弾企画「芸能人ゴミあさりシリーズ」であった。この企画によって『Jam』は「伝説の自販機エロ本」として神格化された。 ちなみに漫画コーナーでは「ガロ系」「ヘタウマ」「面白主義」を代表する漫画家の渡辺和博(青林堂『ガロ』3代目編集長。1984年発表の著書『金魂巻』において現代の代表的職業31種に属する人々のライフスタイル、服装、行動などを金持ちと貧乏人の両極端に分けて「○金・○ビ」とネーミングして1984年度の第1回流行語大賞を受賞)と、当時漫画家をやめていた蛭子能収(青林堂『ガロ』1973年8月号掲載の入選作「パチンコ」でデビュー後、わずか数年で断筆)を連載陣に起用し、特に蛭子は編集長の高杉弾と山崎春美の依頼により『Jam』で実質的な商業デビューを果たしている。
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