企画・プロモーション
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「鬼滅の刃 (アニメ)」の記事における「企画・プロモーション」の解説
アニメ化の企画は原作漫画の連載開始から間もなく提案された。提案したのはアニプレックス所属で本作のプロデューサーでもあるアニプレックス企画制作部プロデューサーの高橋祐馬。当時はまだ宣伝プロデューサーであった高橋は、本作のジャンプ作品らしい友情・努力・勝利という不変のテーマと、単なる勧善懲悪ではない人間ドラマに魅力を感じ、集英社に企画書を提出。2017年4月、高橋はufotable制作作品『劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel]』をきっかけにプロデューサーに転身。同時期に『鬼滅の刃』のプロデューサーにも就任し、本格的に企画を動かしていく。 アニメーション制作スタジオにはufotableが選ばれた。高橋とufotableは十数年来の関係であり、高橋がまだ20代の新人宣伝担当であった2007年、ufotableとアニプレックスが初めてタッグを組み制作した劇場アニメ『空の境界』シリーズにて高橋は初めて劇場アニメの宣伝を担当。以降、ufotableが制作するアニプレックス作品の全てに高橋は宣伝プロデューサーとして十数年間関わってきた。高橋個人としてもufotableの社員たちと共同でアニメイベントをいくつも開催したり、高橋執筆、ufotableイラストによる同人小説を共同制作するなど、高橋とufotableは企業を超えて深い関係にあった。業界歴の多くをufotableと共にしてきた高橋は、ufotableが現在のアニメ制作で主流である「省略する絵作り」を行わない姿勢や映像面の全工程を社内で制作する特殊な制作体制、作品ごとに新しいチームを作るのが主流なアニメ業界で徹底して同じ制作陣で作品を作る彼らのスタイルや所属するスタッフたちを熟知しており、過去の十数年間を共にしてきて、夜のシーンや戦闘描写を得意とするufotableが制作する「鬼滅の刃」を『一人のファン』として見てみたかった高橋は、ufotableに鬼滅の刃の制作を依頼した。高橋はプロデューサーとして制作に口を挟まず、ufotableに制作のすべてを任せた。かわりに、自身は企画・宣伝面で現場をサポートした。 高橋はプロデューサーとして作品の方向性を決める仕事など映像作品の製作作業に関してはufotableにすべて任せていた一方で、宣伝プロデューサー時代にアニプレックスの話題作を多く担当してきた経験をもとに、宣伝面に特に力を入れた。高橋は放送時間帯に深夜枠の23時30分を選んだ。これは、流血描写の多い本作の大事な要素に向き合った結果、ufotableが得意とするハードな描写もしっかりと描き切るために正しい場所として選択された。高橋は視聴率にこだわりはなかったが、できうる限り多くの視聴者に作品を見てもらえる環境を作るため数か月間、放送局・配信各社と調整を繰り返し、通常の深夜アニメでは5局ほどが選択されるところを本作では20局と提携を結んだ。加えて、動画配信サービスに関しても契約できる限り声をかけ、約20社と契約した。放送前に第1期「竈門炭治郎 立志編」の第1話から第5話で構成される特別版を劇場公開し、アニメへの評価に厳しい原作ファンに対し、制作陣が作品に真摯に向き合い、面白いものをつくろうとしていることを伝える環境を設定した。放送前に劇場で放映し、SNSなどで情報が拡散することで話題性を高めた状態で、テレビアニメが並行してスタートを切れるようにプロモーション戦略を行った。さらに、ufotableからの提案で第1話ではコマーシャルを途中で挟まない方針となり、数か月をかけて放送局各社と調整を繰り返したり、放送中も視聴者が途中で視聴をやめる状況を作らないようにキャストやスタッフが出演してトークを繰り広げる「鬼滅ラヂヲ」や、AbemaTVと連動した「鬼滅テレビ」などを企画するなど、常に新しい話題を提供し、視聴者が作品に接する場を積極的に設けるプロモーション戦略を行った。 出資は企画・販売のアニプレックス、原作を出版する集英社、アニメーション制作のufotableの3社のみであり、テレビ局などの出資に頼らない形式となっている。通常10社近い企業からの出資が当たり前であり、尚且つアニメスタジオが出資することが少ない日本のアニメーション作品でも珍しい形態であるが、アニプレックスとufotableは共に組んできた十数年間の作品すべてで同様の出資形式を採用している。これは、出資企業が多くなることによりアニメーション制作に制約が出てしまうことを避けるため。そのため、アニプレックスとufotableが初めてタッグを組んだ『劇場版 空の境界』より、両社以外の製作委員会への参加企業に関しては原作を出版・発売している企業のみにするという最小の出資企業数に留めている。
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