仲裁判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 05:38 UTC 版)
仲裁判決による大陸棚の境界線。チャンネル諸島周辺の境界は点線。 各点の座標A.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯50度07分29秒 西経0度30分00秒 / 北緯50.12472度 西経0.50000度 / 50.12472; -0.50000 B北緯50度08分27秒 西経1度00分00秒 / 北緯50.14083度 西経1.00000度 / 50.14083; -1.00000 C北緯50度09分15秒 西経1度30分00秒 / 北緯50.15417度 西経1.50000度 / 50.15417; -1.50000 D北緯50度09分14秒 西経2度03分26秒 / 北緯50.15389度 西経2.05722度 / 50.15389; -2.05722 D1北緯49度57分50秒 西経2度48分24秒 / 北緯49.96389度 西経2.80667度 / 49.96389; -2.80667 D2北緯49度46分30秒 西経2度56分30秒 / 北緯49.77500度 西経2.94167度 / 49.77500; -2.94167 D3北緯49度38分30秒 西経3度21分00秒 / 北緯49.64167度 西経3.35000度 / 49.64167; -3.35000 D4北緯49度33分12秒 西経3度34分50秒 / 北緯49.55333度 西経3.58056度 / 49.55333; -3.58056 E北緯49度32分42秒 西経3度42分44秒 / 北緯49.54500度 西経3.71222度 / 49.54500; -3.71222 F北緯49度32分08秒 西経3度55分47秒 / 北緯49.53556度 西経3.92972度 / 49.53556; -3.92972 F1北緯49度27分40秒 西経4度17分54秒 / 北緯49.46111度 西経4.29833度 / 49.46111; -4.29833 G北緯49度27分23秒 西経4度21分46秒 / 北緯49.45639度 西経4.36278度 / 49.45639; -4.36278 H北緯49度23分14秒 西経4度32分39秒 / 北緯49.38722度 西経4.54417度 / 49.38722; -4.54417 I北緯49度14分28秒 西経5度11分00秒 / 北緯49.24111度 西経5.18333度 / 49.24111; -5.18333 J北緯49度13分22秒 西経5度18分00秒 / 北緯49.22278度 西経5.30000度 / 49.22278; -5.30000 K北緯49度13分00秒 西経5度20分40秒 / 北緯49.21667度 西経5.34444度 / 49.21667; -5.34444 L北緯49度12分10秒 西経5度40分30秒 / 北緯49.20278度 西経5.67500度 / 49.20278; -5.67500 M北緯49度12分00秒 西経5度41分30秒 / 北緯49.20000度 西経5.69167度 / 49.20000; -5.69167 N北緯48度06分00秒 西経9度36分30秒 / 北緯48.10000度 西経9.60833度 / 48.10000; -9.60833 大陸棚条約第6条について 大陸棚条約では第1条から第3条までを除き留保を宣言することを認めているため、フランスが留保を行ったことによって大陸棚条約の当事国となることを妨げることはできないが、しかし条約の当事国は他国による留保をいかなるときも受諾しなければならないわけでもない。ところがイギリスは大陸棚条約が両国間に有効な条約であることを認めており、イギリスによるフランス留保への異議表明は大陸棚条約の適用を排除する意図のものではなかったといえる。そのため大陸棚条約は本件に有効であるが、フランスが留保を行った範囲内でのみ同条約第6条は適用されない。本件においてフランスの留保が影響するのはチャンネル諸島周辺のグランビル湾のみで、その範囲内では慣習国際法が適用される。それ以外の海域に対しては大陸棚条約第6条が適用される。慣習国際法は大陸棚条約第6条解釈のための本質的な手段である。同第6条は等距離原則と「特別な事情」を規定したが、これらは衡平原則に従った大陸棚の境界画定を目指す単一の規則であり、相反するものではない。大陸棚条約第6条は等距離・中間線以外に具体的な境界画定方法を定めていないため、衡平な境界画定のためには、地理的その他の事情に照らして評価される。 北海大陸棚事件国際司法裁判所判決について 北海大陸棚事件国際司法裁判所では、大陸棚条約第6条に規定された規則が慣習国際法とはなっていない旨が判示された。しかしこれは単一の大陸棚に面して複数の国が隣り合っている場合における判断がなされたにしか過ぎず、大陸棚の境界画定の手段としての等距離原則を軽視していたわけではない。北海大陸棚事件では割り当てられる大陸棚の広さと海岸線の長さとの均衡性が考慮要因のひとつとなったが、通常は等距離線が特殊な地理的特徴や海岸線の形状のもとで境界線が衡平な境界画定であったかどうかを判断する要因のひとつである。 イギリス海峡 フランスの海岸に近い場所に位置するチャンネル諸島が存在しないのならば、イギリス海峡における大陸棚の境界画定は中間線によって大陸棚を画定することが衡平原則にも合致する。チャンネル諸島はフランス海岸に近いイギリスの属領の島であり、このチャンネル諸島に大陸棚の境界を画定するに際して完全な効果を認めれば、フランスに帰属する大陸棚が不衡平に縮小することになる。そのためチャンネル諸島の存在により、中間線ではなく「特別な事情」による境界画定が必要になる。「特別な事情」による境界画定のため、まず第一次境界線として両国沿岸からの中間線を引く。 次にD-D1-D2-D3-D4の線(右図参照)を結んだ両国の中間線をチャンネル諸島の漁業水域(当時は基線から12海里)を侵食しないように補正した線を、チャンネル諸島周辺海域における大陸棚の境界線とする。またチャンネル諸島周辺海域を除く、西経30度より西で水深1,000メートルまでの両国の大陸棚の境界線は、両国本土の海岸線からの単純な中間線とする。 大西洋 この海域においては、中間線を境界線とすることは大陸棚は陸地の自然延長であるとする大陸棚制度と両立しない。イギリスの海岸はフランスより大西洋側に突出しており、イギリス最西点に位置するシリー諸島がフランスのウェサン島よりも西に位置していることから、この海域においてはイギリスの大陸棚がフランス側に侵入する形になる。またこの海域に採用される境界画定方法は両国の本土沿岸と関係した方法とすべきである。シリー諸島とイギリス本土のコーンウォールとの距離は、ウェサン島とフランス本土のフィニステールとの距離の約2倍あることから、衡平な境界画定のため、シリー諸島が境界画定に与える効果は通常の半分とする。
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