判例としての意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 05:37 UTC 版)
「リビア・マルタ大陸棚事件」の記事における「判例としての意義」の解説
排他的経済水域の制度は、第3次国連海洋法会議の審議を経て1982年に採択され1994年に発効した国連海洋法条約の第5部に規定された制度であり、このリビア・マルタ大陸棚事件ICJ判決が下されたのは国連海洋法条約発効よりも以前のことである。会議で条約が作成されているさなかに、排他的経済水域の制度を定めた国内法を独自に制定する国が相次ぎ、そのなかには作成途中の国連海洋法条約の排他的経済水域に関する規定をそのまま引き写した規定を定めた国も少なくなかった。リビア・マルタ大陸棚事件判決でICJは、このような諸国の慣行を経たことで国連海洋法条約の発効を待たずに、排他的経済水域の制度が慣習国際法となったと判示したのである。 ICJは暫定的に等距離中間線を引き、衡平な境界画定のためにその等距離中間線を修正した境界線を示したが、これは北海大陸棚事件ICJ判決や英仏大陸棚事件仲裁判決で指摘された点を踏襲したものと見ることもできる。英仏大陸棚事件でも本件と同じように暫定的に中間線を引きそれを修正するという方法がとられたが、少なくとも海を隔てて向かい合っている国の間での大陸棚境界画定は、暫定的に中間線を引くことが、最終的に衡平な解決を導き出すためには有効との考え方がこれらの判例のなかで確立したといえる。
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