判例における債権者代位権の転用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 15:15 UTC 版)
「債権者代位権」の記事における「判例における債権者代位権の転用」の解説
債権者代位権は、金銭債権を保全するための制度として構築されたものである。しかし、金銭債権以外でも保全すべき債権は当然あり、債務者の同意を得ずに代位行使を認めるべき例もある。そのような場合に債権者代位権を拡張したのが債権者代位権の転用といわれる事例である。 不動産の移転登記請求Aは自分が所有する土地をBへ売却した。Bはこの購入した土地をCへ売却した。この土地の登記はまだAの元にある。BはAに、CはBに対して売買契約に基づく移転登記請求権を有している。Cが自分に登記を移すには、まずAからBへ移転登記され、その後にBからCへ移転登記する必要がある。しかし、BがAに対して移転登記請求をしない。そこでCは自己のBに対する移転登記請求権を被保全債権として、BのAに対する移転登記請求権を代位行使し、Aから直接自己に移転登記を請求した。 債権者Cは移転登記請求権を被保全債権としている。本来、債権者代位権の被保全債権は金銭債権が予定されているのだから、これは転用事例ということになる。この場合、債務者が無資力でなくてはならないという要件は要求されないのが判決例である。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で登記又は登録の請求権を保全するための債権者代位権は明文化された(423条の7)。 建物の明渡請求建物の賃借人が、賃借権を保全するため、賃貸人たる所有者に代位して、建物を不法に占拠する第三者に対しその明渡を請求する場合には、直接自己に対して明け渡すべきことを求めることができる。 消滅時効の援用金銭債権の債権者は、債務者に代位して他の債権者に対する対する債務の消滅時効を援用することができる。
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