代表的なマイコトキシン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/02 20:53 UTC 版)
「マイコトキシン」の記事における「代表的なマイコトキシン」の解説
アフラトキシン (AFB1,AFB2) アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus、フラブスと表記される場合もある)やアスペルギルス・パラジチカス (A. parasiticus) などのカビにより産生される。 天然の物質としては現在知られている中で最も発癌性の高いものである。1971年(昭和46年)、厚生省(当時)の通達によりピーナッツ含有食品において 0.01 ppm 以下の基準が設けられ、現在では全ての食品に適用されている。 オクラトキシンA、B アスペルギルス・オクラセウス (Aspergillus ochraceus) やペニシリウム・ビリディカータム (Penicillium viridicatum) などのカビにより産生される。汚染される食品は穀類、コーヒー豆、ブドウ加工品等。腎毒性及び肝毒性を持つ。バルカン腎症の原因物質として疑われていたが、研究の結果、オクラトキシンは原因物質でないことが確認された。また、動物実験では発ガン性が確認されている。 シトリニン ペニシリウム・シトリナム (Penicillium citrinum) やペニシリウム・ビリディカータム (P. viridicatum) などのカビにより産生され、腎細尿管上皮変性を引き起こす。黄変米の毒成分のひとつ。 トリコテセン系マイコトキシン 穀物に寄生するフザリウム (Fusarium) 属の一部の種などにより産生される。汚染された穀物を摂取することにより、食中毒性無白血球症 (ATA) と言われる中毒症状(悪心、嘔吐、腹痛、下痢、造血機能障害、免疫不全など)を起こす。キノコのカエンタケも同じ毒を産生する。代表的なものにはデオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)、T-2トキシンがある。 パツリン ペニシリウム属(アオカビ類)、アスペルギルス属(コウジカビ類)によって産生される。腐ったリンゴ、モモ、ブドウなど果実の表面につき、果汁などを汚染する。消化管の充血、出血、潰瘍等(動物実験)を引き起こす。発癌性を疑われている。 ルテオスカイリン、ステリグマトシスチン アスペルギルス・ベルシコロルなど (Aspergillus versicolor) によって産生される。ルテオスカイリンは肝毒性、ステリグマトシスチンは発癌性を持つ。 シクロクロロチン ペニシリウム・イスランディクム (Penicillium islandicum) などによって産生され、出血を伴う肝細胞の壊死を引き起こす。黄変米の毒成分のひとつ。 ルブラトキシン ペニシリウム・ルブルム (Penicillium rubrum) などによって産生される。肝毒性を持つ。 ペニシリン酸 ペニシリウム・ベロッコサム (P. verrucosum) などによって産生される。 ホモプシン 特定の豆類に寄生するカビによって産生され、光線過敏症を引き起こす。 シクロピアゾン酸 (CPA) アフラトキシン産生菌によって産生される。伝統的にチーズや醸造食品の生産に用いられている菌種にも産生能があることが報告されている。 麦角アルカロイド Claviceps purpuraeなどによって産生され、跛行、乾性壊死、豚の無乳症を引き起こす。 スポリデスミン Pithomyces chartarumなどによって産生され、光線過敏症を引き起こす。 ロリトレム Neotyphodium lolliなどによって産生され、痙攣などの神経症状を引き起こす。 フモニシン (Fusarium) 属により産生され、主にトウモロコシが汚染される。馬の大脳白質部液化性壊死症やブタの肺水腫の原因物質。ヒトでは食道ガンとの因果関係が疑われているほか、新生児の神経管欠損のリスクを高める。 ゼアラレノン(ZEA,ZON,ZEN)、ブテノライド他 上記のフザリウム属が他に産生するマイコトキシン。ゼアラレノンはゼラノールの前駆体であり、強い内分泌撹乱作用を持ち、家畜に不妊、流産、外陰部肥大を引き起こす。
※この「代表的なマイコトキシン」の解説は、「マイコトキシン」の解説の一部です。
「代表的なマイコトキシン」を含む「マイコトキシン」の記事については、「マイコトキシン」の概要を参照ください。
- 代表的なマイコトキシンのページへのリンク