人柱伝説の考察とは? わかりやすく解説

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人柱伝説の考察

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 14:54 UTC 版)

人柱」の記事における「人柱伝説の考察」の解説

南方熊楠自身著書南方閑話』にて、日本含めた世界で数多存在する人柱伝説について紹介している。書かれている人柱呪術的意図に関しては、62頁の「ボムベイのワダラ池にが溜らなんだ時、村長の娘を牲にして溜まった」とあるよう人柱により何らかの恩恵求めたものや、64頁の「史記滑稽列伝見えた魏の文侯の時、鄴の巫が好女を撰んで河伯の妻として沈め洪水予防とした事」、68頁の「物をいうまい物ゆた故に、父は長柄の人柱初め此のけた時、水神のために人柱入れねばならぬと関[要曖昧さ回避]を垂水村構えて人を補えんとする」、68頁の「王ブーシーリス世に9年飢饉があり、キプルス人のフラシウスが毎年外国生まれの一人を牲にしたらよいと勧めた」とあるよう人柱によって災難予防もしくは現在起こっている災難沈静化図ったもの、69頁の「大洲城を龜の城と呼んだのは後世で、古くは此地の城と唱えた最初築いた時下手の高石垣幾度も崩れて成らず領内美女一人抽籤人柱立てるに決し、オヒヂと名づくる娘が当って生埋され、其れより崩る事無し」、71頁の「雲州松江城を堀尾氏が築く時成功せず毎晩その邊(辺)を美聲唄い通る娘を人柱にした」、87頁の「セルヴイアでは都市建てるのに人又は人の影を壁に築き込むに非ざれば成功せず。影を築き込まれた人は必ず速やかに死す信じた」とあるよう人柱によって建築物霊的な加護によって堅牢にする意図があったことが明らかとなっている。神話学者高木敏雄によれば建築物の壁などに人を生き埋めにし人柱をたてるのは、人柱となった人間の魂の作用建物崩れにくくなる迷信あったからだという。 なお、南方熊楠は『南方閑話』の92頁において座童子人柱となった子供の霊であると書いている。そのほか罪人人柱となる話や、82頁にあるようにある特殊な境遇人間の血を建物土台注いだ建物崩れにくくなるといった人柱同様の迷信存在していたことも語っている。 もっとも興味深いのは、人柱呪術的意図変化することを語っている点である。78頁の「晝間仕上げた工事毎夜土地の神が壊すを防ぐとて弟子一人オラン尊者)を生埋した。さらば欧州キリスト教化した後も人柱依然行なわれたので、此教は一神奉ずるから地神抔は薩張り(さっぱり)もてなくなり、人を牲に供えて地神慰めるという考え追々人柱土地占領確定し建築堅固にして崩れ動かざらしむるという信念変わった上記のようにその時々により、人柱の意味合い変化していくことがわかる。 布施千造は、1902年明治35年5月20日発行され東京人類学会雑誌194号の「人柱に関する研究303頁―307頁にて、「人柱の名称」「人柱方法」「人柱材料」「人柱起源」「人柱行われ範囲」「人柱宗教の関係」について書いている。「人柱方法」については、自動的なものに、「名誉を遺さんとして人柱希望するもの」「他人の為、水利を計らんとして身を沈むる者」とあり。他動的なものに、「突然拿捕せられて強制以って人柱とせらるる者」「止を得ず涙を呑んで埋めらるるもの」とある。 逆に最近の研究では、特に城郭建築人柱においては否定的な見解多く井上宗和は、「城郭建築時の人伝説立証されケース全くない人柱変えてなんらかの物を埋めたものが発見されることは存在する」と述べており、興味本位出版物を除くと、城郭人柱については全否定されている。(井上日本の城の謎」祥伝社文庫逆に北海道常紋トンネル人柱のように、タコ部屋労働苦役の末に死亡した作業員埋めたものについては、北海道開拓苦労偲ぶ目的研究多く行われている。

※この「人柱伝説の考察」の解説は、「人柱」の解説の一部です。
「人柱伝説の考察」を含む「人柱」の記事については、「人柱」の概要を参照ください。

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