争点と大阪地裁の判断とは? わかりやすく解説

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争点と大阪地裁の判断

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/09 00:29 UTC 版)

大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判」の記事における「争点と大阪地裁の判断」の解説

大阪地裁における本裁判の争点とその判断は,以下であった。 ①「沖縄ノート」の記述は,原告梅澤又は赤松大尉を特定ないし同定するようなものであるか(特定性ないし同定可能性有無) 『沖縄ノート』には梅澤赤松大尉の名前は示されていないが、沖縄戦についての諸文献報道踏まえれば『沖縄ノート』の記述が、梅澤赤松大に関する記述であると特定ないし同定し得る。 ②「太平洋戦争」「沖縄ノート」の記述原告梅澤及び赤松大尉の社会的評価低下させるのであるか (名誉毀損性の有無) 『太平洋戦争』の記述は、梅澤が「老人・こどもは忠魂碑の前で自決せよと命令し」たとの記述があり、本来,保護してしかるべき老幼に対して無慈悲に自決することを命じた冷徹な人物であるとの印象与えるものであり、客観的な社会的評価低下させる記述である。『沖縄ノート』の記述は、慶良間列島集団自決について自決命令発した人物存在するような記述仕方となっており、また渡嘉敷島については守備隊長住民対し自決命令発した読める記述となっていることから,集団自決という平時ではあり得ない残虐な行為命じたものとして梅澤赤松大尉の客観的な社会的評価低下させるものと認められる。 ③ 「太平洋戦争」「沖縄ノート」の記述係る表現行為目的もっぱら公益を図る目的であるか(目的公益性有無) 『太平洋戦争』の集団自決記述表現行為主要な目的は、戦争体験者として、また、日本史研究者として、太平洋戦争評価研究することにあったものと認められ、それが公益を図るものであることは明らかである。『沖縄ノート』は、沖縄本土のために犠牲にされ続けてきたことを指摘し執筆時点において沖縄民衆怒り自分たち日本人向けられていることを述べ日本人とは何かを見つめ、戦後民主主義問い直したものであり、沖縄戦における集団自決記述は、この問題本土日本人問題としてとらえ返そうしたものであることが認められ、また梅澤赤松大尉が当時公務員相当する地位にあったことを考えると、その表現行為主要な目的は、日本人あり方考えひいては読者にもそのような反省促すことにあったものと認められ、それが公共利害に関する事実係り公益を図るものであることは明らかである。 ④梅澤赤松大尉が住民集団自決命じたか(真実性有無) /⑤被告らが,梅澤赤松自決命令真実であると信ずるについて相当の理由があるか(真実相当性有無) 下記別途記載 ⑥「沖縄ノート」の各記述は,赤松大尉に対す人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したのであるか(公正な論評性の有無) 『沖縄ノート』の記述は「人間としてそれをつぐなうには、あまりにも巨きい罪の巨塊のまえで、かれはなんとか正気生き伸びたいとねがう」などかなり強い表現赤松大に対して使用されている。しかし、これらはあくまで赤松大尉の実名伏せたまま、日本本土沖縄との歴史的な経緯や関係を軸に、日本人現在のままでいいか、日本人アジア世界に対して普遍的な国民であることを示すためにはどうすればよいかを自分問いかけ考えるという主題沿う形で記述展開する中で使用されている表現にすぎない。また赤松大尉の氏名明示されていないことは、赤松大尉に対す個人攻撃意図集団自決記述をしなかったことを推認せしめるそうすると沖縄ノートの各記述は、守備隊長ひいては日本軍の行動通して著者含めた日本人全体批判し反省促す構成となっているものと認められ文脈次第では人身攻撃なり得る表現もあるものの、文章全体趣旨に照らすと、その表現方法執拗なものとも、その内容いたずらに極端な揶揄愚弄嘲笑蔑視的な表現わたっているともいえず、赤松大尉に対す個人攻撃したものとは認められない。 (⑦敬愛追慕の情の侵害あったか、⑧損害回復方法及び損害額、の二争点名誉毀損理由とする損害賠償請求成立否定されたため、検討されなかった)

※この「争点と大阪地裁の判断」の解説は、「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判」の解説の一部です。
「争点と大阪地裁の判断」を含む「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判」の記事については、「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判」の概要を参照ください。

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