争点2
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 19:55 UTC 版)
してみると、実在性の裏付け及び証言の自発性の確認ができなかったC子(センターに提出した陳述書も署名押印がなかった。)はともかく、A子事件、B子事件、D子事件(海田教授らの面談調査にD子が応じなかったけれども、第三者であるセンター事務長らによる確認がとれている。)については、質問書や申立書の存在等も含め、米澤助手の説明に依拠してこれらの事実を真実であると信ずるについては相当の理由があったものということができる(とくにA子事件は真実であると認められる。)。 したがって、A子事件、B子事件、D子事件(いずれも甲野乙子事件に比べれば、性的関係の強要には至っていないのであるから、「軽微」である。)をもって「そして三件の比較的軽微なセクハラの事実が出てきた」としたことについては、右事実を真実であると信ずるに足りる相当の理由があるというべきである。 — 京都地裁平成9年3月27日判決、平成6年(ワ)第2996号、『慰謝料請求事件』、判時1634号110頁、判タ992号190頁。 本件文書は本件手記に対する批判を内容とする河上寄稿に対する反批判として書かれたものであるから、本件手記を土台にしたものであるといえる。そして、前述のとおり、本件手記の作成・公表段階では被告にはこれを真実であると信ずるについて相当の理由があると認められる(本件手記公表後本件文書作成前の平成六年二月一〇日付け朝日新聞に掲載された原告の釈明は、事実関係を抽象的に否定するか、あるいは自分の意見を述べるものにすぎず、具体的事実について言及するところはほとんどないから、これをもってしても米澤助手の説明の信用性を動揺させるには至らないものである。それゆえ、本件文書作成時でも、前述の調査をもって真実であると信ずるについて相当の理由があるというべきである。)。 したがって、被告は相当の調査をして本件手記を公表したのであるから、「決していわゆる『伝聞』ではない。」との事実は真実であると認められる。 — 京都地裁平成9年3月27日判決、平成6年(ワ)第2996号、『慰謝料請求事件』、判時1634号110頁、判タ992号190頁。 こうして、本件文書の事実記載部分の内容は真実であり、本件手記の事実記載部分のうち「そして三件の比較的軽微なセクハラの事実が出てきた」という部分についてはこれを真実であると信ずるに足りる相当の理由があるというべきである。 — 京都地裁平成9年3月27日判決、平成6年(ワ)第2996号、『慰謝料請求事件』、判時1634号110頁、判タ992号190頁。
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