無効確認訴訟の訴えの利益(争点2)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 06:59 UTC 版)
「もんじゅ訴訟」の記事における「無効確認訴訟の訴えの利益(争点2)」の解説
行政事件訴訟法36条によれば、処分の無効確認の訴えは、当該処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分の無効確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができると定められている。処分の無効確認訴訟を提起し得るための要件の一つである、右の当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、当該処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味するものと解するのが相当である。 本件についてこれをみるのに、被上告人ら(原告ら)は本件原子炉施設の設置者である動力炉・核燃料開発事業団に対し、人格権等に基づき本件原子炉の建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起しているが、右民事訴訟は、行政事件訴訟法36六条にいう当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当するものとみることはできず、また、本件無効確認訴訟と比較して、本件設置許可処分に起因する本件紛争を解決するための争訟形態としてより直截的で適切なものであるともいえないから、被上告人らにおいて右民事訴訟の提起が可能であって現にこれを提起していることは、本件無効確認訴訟が同条所定の前記要件を欠くことの根拠とはなり得ない。 以上のように判断して、原子炉設置許可処分に対して最高裁は別に行政訴訟として処分の無効確認の訴えの利益を認めた。
※この「無効確認訴訟の訴えの利益(争点2)」の解説は、「もんじゅ訴訟」の解説の一部です。
「無効確認訴訟の訴えの利益(争点2)」を含む「もんじゅ訴訟」の記事については、「もんじゅ訴訟」の概要を参照ください。
- 無効確認訴訟の訴えの利益のページへのリンク