無効機能の有効化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 01:53 UTC 版)
「AMD Phenom II」の記事における「無効機能の有効化」の解説
Phenom II X4 の「Deneb」と Phenom II X3 の「Heka」、Phenom II X2 の「Callisto」は実装部品が共通で、X4 の4つのコアとL2キャッシュのうちの1組を無効化したものが X3、2組を無効化したものが X2 である。これは、ダイサイズの拡大と、マルチコア化を推進する上で避けられない、歩留まりの低下をできるだけ抑えるためにも重要な製品群である。 CPUの高性能化につれ必要なトランジスタの数は増え続けており、それに伴いダイサイズも増大するが、定期的な製造プロセスの微細化によって無用なサイズの拡大を防いでいる。その一方、欠陥のないシリコンウエハーの製造方法は依然として確立されていない。そのため、ウエハーを細分化する際、ダイサイズを抑える(一つのウエハーからたくさん切り出す)ことで歩留まりの向上を図り、ダイの複数実装によって総面積を確保する手法が採られているが、それでも欠陥ダイによる不良コアの発生は避けられない。phenom II X4 の場合、製造過程で4つずつ備わるコアとL3キャッシュのうち、どれか1つにでも欠陥が見つかった場合、当然4コア製品としては成り立たないが、それを無効化することで正常な3コア・2コア製品として出荷できるようになる。これで Phenom II シリーズ全体の利益が確保できる上、多品種化で価格帯の下限を引き下げ、Athlon II シリーズとのギャップを埋めることも可能となっている。 この共通性のため、自作PCユーザーの間では、Phenom II X3 、Phenom II X2 の一部でマザーボードのBIOS設定を変えると、4つのコア全てが動作するようになるとの報告がある。しかし、上記のような理由から、新たに有効となったコアが正常である保証は無く、そのままのコア電圧と動作周波数では動作温度の上限値である「Tcase」を超えるため、これがリスクの高い行為であることがわかる。実際に、4コア化でCPUの温度検知ができなくなるなどの例もあり、この場合、温度が上昇した際でも、クロックダウンやシャットダウンなどのフェイルセーフ機能が働かない可能性がある。 また、Phenom II X4 800 Seriesは、同900 SeriesのL3キャッシュの一部(2MB分)を無効化したものであるが、これも一部のCPUでBIOS設定を変えると、全て (6 MB) のL3キャッシュが有効になるという報告がある。但し、Athlon II のL3キャッシュの件も含め、これらの行為はメーカーの推奨する使用方法から外れるものであり、上記の行為による機器の故障はメーカーサポートや保証の対象外となる。
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