九州遊学から松下村塾入門へとは? わかりやすく解説

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九州遊学から松下村塾入門へ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 03:01 UTC 版)

久坂玄瑞」の記事における「九州遊学から松下村塾入門へ」の解説

安政3年1856年)、玄瑞は兄事する中村道太郎のすすめで九州遊学する九州各地著名な文人訪ね名勝地巡りつつ詩作にふける旅に出た。玄瑞がこの旅で作った詩は、のちに『西遊稿』としてまとめている。熊本宮部鼎蔵訪ねた際、吉田松陰に従学することを強く勧められた。玄瑞はかねてから亡兄旧友である月性上人から松陰に従学することを勧められており、久坂帰る松陰手紙書き松陰友人土屋蕭海通じて届けてもらった。 まず玄瑞が松陰送った手紙の内容は、「弘安の役時の如く外国使者斬るべし。そうすれば、必ず米国来襲する。来襲すれば、綱紀緩んだ武士達も覚醒し期せずして国防厳重になるであろう」という意見であった。しかし松陰は、玄瑞の手紙をそのまま送り返し、その欄外に「あなたの議論浮ついており、思慮も浅い。至誠より発する言葉ではない。私はこの種の文章憎みこの種の人間を憎む。アメリカ使節斬るのは今はもう遅い。昔の死んだような事例をもとに、現在のまったく違った出来事解決しようということ思慮が浅いと言うのだ。つまらぬ迷言を費すよりも、至誠積み蓄えるべきだ。実践抜きにした言説は駄目だ」と書いて玄瑞の論を酷評した。 だが、松陰が玄瑞に痛烈な批判加えたのは考えがあってのことだった。玄瑞を紹介した土屋の手紙に松陰は、「久坂士気は平凡ではない。何とか大成させよう思い、力をこめて弁駁しました。これで激昂して反駁してくる勢いがあれば、私の本望です。もし、これでうわべを繕って受け入れたふりをするような人ならば、私の見込み違いであったというべきでしょう。」と玄瑞を試していたのであった。玄瑞は猛然と反駁した。「米英仏が強いことは昔の朝鮮如きとは比較ならない米英仏の巨大な戦艦大砲鉄砲には我が国太刀打ちできないだからといって座して国が亡びるのを待つのは如何なものであろうか。まず守り固めるべきである。」「あなたの不遜な言説では私は屈しない」「もしあなたがこのような罵詈妄言不遜をなす男ならば、先に宮部殿があなたを称賛したのも、私があなたを豪傑だと思ったのも、誤りであったようだ。私は手紙に対して憤激のあまり拳を手紙撃ちつけてしまった。」と書いた。 松陰はすぐに返事はせずに約1カ月の間をおいて筆を執った。「今や幕府諸外国条約結んでしまった。それがだめだといっても、我が国から断交すべきではない。国家間信義を失うことは避けなければならない外国とは平穏な関係を続けながら、我が国の力を蓄えアジア中国インド手を携えたのちに欧米諸国対峙すればいいあなたは医学生ありながら空論弄び天下大計を言う。あなたの滔々と語る言説はただの空論だ。一つとしてあなたの実践に基づくものはない。すべて空論である。一時憤激でその気持ちを書くような態度はやめよ。」と返書した。 しかし、三度玄瑞は反論の筆を執った。「外国人との交易はどちらを利しているのか」「人心現状を保つことに汲々としているが、武器はいつ備えるのか。士気はいつ高まるのか。危急存亡について誰が考えているのか」と食い下がった。これに対して松陰3度目返信は、それまではうってかわって、「あなたが外国使いを斬ろうとするのを空論思っていたのは間違いだった。今から米使を斬るようにつとめてほしい。私はあなたの才略傍観させていただこう。私の才略あなたにとうてい及ばない。私もかつてはアメリカ使いを斬ろうとしたことがあるが、無益であることをさとってやめた。そして、考えたことが手紙書いたことである。あなたは言葉通り、私と同じにならないように断固としてやってほしい。もし、そうでないと、私はあなたの大言壮語を一層非難するであろう。」と書いた。 松陰は玄瑞に実践求めたであったが、玄瑞に米使を斬る手だてはなかった。ここに両者議論決着がついた。このやりとりの後しばらくして玄瑞は、翌安政4年1857年晩春正式に松門弟子入りした松下村塾では晋作と共に村塾の双璧」、晋作吉田稔麿入江九一と共に松門四天王」といわれた。松陰は玄瑞を長州第一俊才であるとし、晋作と争わせて才能開花させるよう努めた。そして、安政4年1857年12月5日松陰自分の妹・文を玄瑞に嫁がせた。

※この「九州遊学から松下村塾入門へ」の解説は、「久坂玄瑞」の解説の一部です。
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