中国政府の報復措置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 14:50 UTC 版)
「尖閣諸島中国漁船衝突事件」の記事における「中国政府の報復措置」の解説
9月19日に検察による船長の2度目の勾留延長が決定し、日本側の船長の起訴に向けての司法方針がさらに明確になると、中国政府は即座に複数の報復措置を繰り出した。中国政府は勾留延長決定の同日中に「日本との閣僚級の往来を停止」「航空路線増便の交渉中止」、「石炭関係会議の延期」および「日本への中国人観光団の規模縮小」を決定した。翌20日には、在中国トヨタの販売促進費用を賄賂と断定し罰金を科すと決定し、21日より予定されていた日本人大学生の上海万博招致の中止を通達した。さらに同日中に中国本土にいたフジタの社員4人を「許可なく軍事管理区域を撮影した」として身柄を拘束し、レアアースの日本への輸出を、複数の税関での通関業務を意図的に遅滞させることで事実上止めた(共に23日に判明)。なお、中国政府関係者はレアアースの輸出差し止め措置について「日本経済の弱いところを突くような制裁を検討するように指示された」としている。さらに21日には、ニューヨークを訪れていた温家宝首相が「われわれは(日本に対し)必要な強制的措置を取らざるを得ない」と在米華僑らとの会合で述べ、外国に対しては異例となる「強制的措置」との文言を使って日本に対して更なる報復を仄めかした。 また、中国農業部が主管する「中国漁業報」の20日付記事では、中国政府が今後尖閣海域での「漁政」によるパトロールを常態化させることを決定した事が報じられた。 政府・与党の反応 仙谷官房長官は、中国の報復措置に対して「日本も中国も偏狭で極端なナショナリズムに刺激しないことを政府の担当者として心すべきだ」と述べた。 馬淵国交相は、2010年9月22日より実施されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の観光担当相会合における中国との2国間協議を取り止めた。 玄葉光一郎国家戦略担当相は、「国内の世論対策という側面もあるのではないか。日本は法治国家なので法にのっとって対応するのが大切だ」と述べている。 野党の反応 日本共産党は9月20日に「日本の領有は正当」との見解を提出している。志位和夫委員長も9月25日の第2回中央委員会総会にて、「日本の領海で、外国漁船の不法な操業を海上保安庁が取り締まるのは当然」と述べた。 地方自治体の反応 9月21日、那覇市議会は9月定例本会議で中国政府への抗議決議、日本政府への意見書の両案を全会一致で可決した。 同日、石原慎太郎東京都知事は「中国のやっていることは理不尽で、やくざがやっていることと同じ」と述べた。石原は北京市主催の「都市問題」に関する国際フォーラム(2010年10月開催予定)に招待されていたが、「あんな国、頼まれても行かない」と、訪中を取り止めた。また、船長が釈放された24日の記者会見では、「パンダをもらって尖閣をやるのか」と政府の対応を非難した。また、「衝突時のビデオを公表するべき」と主張した。 中国政府の反応 政府系シンクタンクの社会科学院日本研究所の専門家が尖閣問題にからみ日本に対する圧力のかけ方として、円資産を買い増しして円高誘導すればいいと主張している。 日中両国の民間の反応 9月22日、上海体育場で10月9日・10日に開催予定だったSMAPのコンサートが延期が決定した(チケット販売は、販売会社より9月19日に停止)。 9月23日、28日に海上保安庁黙認の下で日本青年社と八重山漁業組合員ら200人が20隻の漁船で尖閣諸島に行く予定が、首相官邸の指示により出港停止措置となった。 9月23日に、中国のニュースサイト環球網が実施したオンライン・アンケートでは、「あなたは、中国が軍艦を派遣して釣魚島を巡視することに賛成ですか?(您是否赞成中国派军舰赴钓鱼岛巡逻?)」という質問に対して、「賛成」が98.2%、「不賛成」が1.8%という結果が出た。
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