両大会の形式と優勝の難しさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 06:34 UTC 版)
「ワールドシリーズとワールド・ベースボール・クラシックの両方で優勝を経験した選手一覧」の記事における「両大会の形式と優勝の難しさ」の解説
ワールドシリーズを制覇するには、まずMLBのレギュラーシーズンで優秀な成績を収めてポストシーズン進出権を獲得し、さらにそのポストシーズンを勝ち進んでいかなければならない。レギュラーシーズンは3月下旬から4月上旬頃に開幕し、9月下旬から10月上旬頃に閉幕する。この6か月の間に、1球団あたり162試合を行う。MLBの全30球団は、ナショナルリーグとアメリカンリーグの2リーグに15球団ずつ、さらにリーグ内でそれぞれ東・中・西の3地区に5球団ずつが分かれ、同リーグ同地区内の対戦を中心に日程を消化していく。そして地区優勝6球団と、それ以外で勝率上位2球団ずつの "ワイルドカード" の、計10球団がポストシーズンへ駒を進める。ポストシーズンでは、まずワイルドカード球団どうしが1試合の直接対決 "ワイルドカードゲーム" を行う。そしてその勝者と地区優勝球団が、2組ずつに分かれて5戦3勝制の "ディビジョンシリーズ" で対戦する。その勝者が今度は7戦4勝制の "リーグチャンピオンシップシリーズ" で争い、これに勝利した球団がリーグ優勝のタイトルとともに、ワールドシリーズ出場を果たす。ワールドシリーズも7戦4勝制で行われる。そのため、優勝には最少でも162+3+4+4=173試合、最多だと162+1+5+7+7=182試合をこなさなければならない。ポストシーズン全日程終了には1か月かかり、レギュラーシーズンと合わせると、ワールドシリーズ制覇までは7か月の長丁場となる。 WBCの本大会は、16か国・地域のナショナルチームによって3週間ほどの期間で争われる。出場チームは4チームずつが4組に分かれて、まず1次ラウンドを戦う。ここで各組の上位2チームずつ、計8チームが2次ラウンドへ進出する。2次ラウンドでも同様に、4チームずつが2組に分かれ、上位2チームずつの計4チームが決勝ラウンドに進出する。決勝ラウンドは一発勝負の勝ち残り式トーナメントで行われ、負けたチームはその時点で敗退が決まり、準決勝→決勝と2試合に連勝したチームが優勝となる。WBC優勝に必要な本大会の試合数は、1次・2次ラウンドの形式によって変わってくる。もし第1回大会のように総当たりのリーグ戦を採用するのであれば8試合、第2回大会のようにダブルイリミネーション式トーナメントを採用するのであれば8試合から10試合となる。第2回大会では日本と大韓民国が決勝戦を含む9試合中5試合で対戦するという事態が発生したが、WBCにおいて1大会中に同じ相手と3試合以上対戦するということはそう多くはない。 野球というスポーツは、あまり短期決戦向きとはいえない。MLBのように各チームの実力差が一定の範囲内に収まった環境下で長いシーズンを戦えば、優勝球団でもある程度は負けてしまうし、逆に最下位球団でもある程度は勝つことができる。例えば、MLBで100勝62敗・勝率.617という成績は、かなりの好結果といえる。勝率.700超えとなると、100年以上の歴史のなかでも7チームしか達成していない偉業である。これに対しアメリカンフットボールのNFLでは、シーズン12勝4敗・勝率.750という成績は、まぁまぁ上出来とはいえてもMLBにおけるシーズン100勝ほどの意味は持たない。第二次世界大戦後のMLBで勝率.720以上はたった一度しかないが、NFLやバスケットボールのNBAでは、この勝率を達成するチームが毎年複数出てくる。また、MLBのシーズン最多敗戦記録を持つ1962年のニューヨーク・メッツですら、40勝120敗の勝率.250なので4試合に一度は勝っている計算になるが、NBAでは勝率.106でシーズンを終えたチームがあるし、さらにNFLの歴史には全敗チームまで存在する。FanGraphsによれば、MLBでは最低年俸で雇えるような選手だけを集めてシーズン162試合を戦っても、48勝は期待できる。 こうした特性を持つスポーツにおいては、試合数が少なくなればなるほど、チームの実力よりも運や偶然のほうが結果に影響をおよぼす割合が大きくなる。特に一発勝負ともなれば、例えば敗退のかかった試合で打球がことごとく野手の正面を突いてしまい、アウトを積み重ねたまま試合が終わってしまうようなこともありえる。そのためWBC創設当初から、少なくとも3戦2勝の、できればワールドシリーズと同じ7戦4勝のシリーズ制を導入するべきだ、との意見は少なからず存在していた。ただ、その7戦4勝制シリーズを導入しているMLBのポストシーズンも、実力が結果に正しく反映されているとは言い切れない。ハーバード大学の2013年9月の研究によれば、レギュラーシーズンで勝率の高い球団が順当にワールドシリーズを勝つ可能性は「勝率上位8球団にくじを引かせたほうが、現行のポストシーズンよりマシ」なのだという。
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