ルバーイー詩形についてとは? わかりやすく解説

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ルバーイー詩形について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 02:54 UTC 版)

ルバイヤート」の記事における「ルバーイー詩形について」の解説

ルバーイヤート」とはアラビア語で「四行詩」を意味するルバーイイ/ルバーイーアラビア語: رباعی‎ Rubā`iy/Rubā`ī)」の複数形であるので、直訳すると「四行詩集」という題になる。 ルバーイー詩形とはペルシア語詩の形式一つである。ペルシア語詩はアラビア語詩の詩形韻律に負うところが大きいが、半句(ミスラーウ アラビア語: مصراع‎ miṣrā`)と対句バイト アラビア語: بيت‎ bayt)からなり半句ふたつで1対句となることを基本とする。これに各々半句および対句での脚韻押韻によって様々な詩形形作られるが、例えアラビア語詩の詩形由来するカスィーダ詩形アラビア語: قصيدة‎ qaṣīda)は、最初対句両方半句で同じ脚韻をつくり、ふたつめ対句から最後対句まで、後半半句最初対句脚韻同じにする。また、マスナヴィー詩形アラビア語: مثنوي‎ mathnawī/masnavī)では、最初対句での両方半句脚韻同じにし、つぎの対句両方半句脚韻別の韻を踏み、つぎの対句両方半句脚韻別の韻を踏む、という具合脚韻をどんどん変えることによって、変化に富んだ韻律によって場合によっては数万対句におよぶ長大な詩となる。ペルシア語詩独自の詩形であり、フィルダウスィーの『王書』やニザーミーの『五部作』、14世紀サアディーの『果樹園』などの長大叙事詩神秘主義詩などがマスナヴィー形式著されており、13世紀高名な神秘主義思想家で詩人でもあったジャラールッディーン・ルーミーの『精神的マスナヴィー』の書名ともなっている。 ルバーイー詩形場合ペルシア語詩として独自に発展したもので、4つ半句からなるが、第1、第2、第4半句は同じ脚韻押韻するが、第3半句脚韻押韻しなくても良いことになっているルバーイー詩形長大なものが多いペルシア語詩のなかで、起承転結有する簡潔な詩形であること特徴としている。簡潔にして要を得た表現に最も適しており、素ありながら余韻余情こもった表現形式と言える近世ペルシア語詩の嚆矢といえる10世紀サーマーン朝宮廷活躍したルーダキーダキーキーシャヒードなどの詩人たちもルバーイー詩を残しているが、ルバーイー詩形名手呼びうる詩人たちが多く輩出されるようになるのは、神秘主義思想スーフィズム)が興隆する1112世紀になってからである。今日、「ルバーイヤートといえばウマル・ハイヤームのものが想起されるが、ルバーイー詩形彼の先達としては、11世紀ホラーサーン活躍したアブー・サイード・ブン・アブル=ハイル(? - 1049年)、同じくハマダーンのバーバー・ターヒル・ウルヤーン(? - 1055年?)、12世紀後半ヘラート出身のアブドゥッラーフ・アンサーリー(1005年 - 1089年)などがいる。彼らは共通して当時興隆していたスーフィズム思想精髄ルバーイー詩形託しスーフィズム思想民衆にも親しみやすく伝えたことであろう。アンサーリーなどはサジュウ体( アラビア語: سجع‎ saj`:押韻散文の1スタイル)の散文作品祈禱の書( アラビア語: مناجات‎ Munājāt)』の著者としても有名であり後代までもスーフィーとしても詩人として高名であったひとりであった。 ウマル・ハイヤーム存命していた時代ルバーイーは、アンサーリーに代表される通り基本的にスーフィズム思潮の濃いものが大半占めていた。世の無常観飲酒への讃美時には神へのアイロニカル心情吐露するウマル・ハイヤームルバーイーは、(ジャーヒリーヤ時代アラブ飲酒詩や世の無常を嘆くニヒリスティックな詩の伝統を組むものとも理解出来るが)当時ルバーイー傾向からすると、やや特異な位置づけにあるものと言える。そのため、彼よりもジャラールッディーン・ルーミーなどに代表されように酒による酩酊スーフィズム的な陶酔境をになぞらえたり恋人同士互い求め心情スーフィズム的な神への専一的な求道喩えることがスーフィズム的な神秘主義詩セオリーとなっていったようにウマル・ハイヤームルバーイーでの文言スーフィズム的なものを含意しているのではないかという解釈生まれたルバーイー形式脚韻 ━━━━━○ ━━━━━○━━━━━(○) ━━━━━○ ルバーイー形式韻律(Hazaj Muthamman 体の一種長音は─、単音はUで表現ルバーイー形式半句用いられる長音単音韻律は以下の4つ用いられる。 1) ─ ─ U U | ─ U ─ U | ─ ─ ─ | ─2) ─ ─ U U | ─ U ─ U | ─ ─ U U | ─3) ─ ─ U U | ─ ─ U U | ─ ─ ─ | ─4) ─ ─ ─ | ─ ─ ─ | ─ ─ U U | ─ ウマル・ハイヤームルバーイヤートは3) ─ ─ U U | ─ ─ U U | ─ ─ ─ | ─ が好まれた。 「四行詩集(ルバーイヤート)」を著した者は数あれど、今日近現代西欧でのウマル・ハイヤーム認知度の高さの影響によって、一般には「ルバーイヤートといえばウマル・ハイヤーム詩集を指す言葉として用いられる

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